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営業における8つの資産

営業には商品力や価格以外に武器になる資産がたくさん隠れている

2021年11月15日

「うちは商品力が弱いから売れない」「うちは価格が高いから競合に勝てない」

営業現場でよく耳にします。


これはほとんどの会社で聞くことです。


ということは、ほとんどの会社でみんな同じことを思っている。

しかし、どこかの会社が売っている。

みんな「商品力が弱い、価格が高い」と言っているのに・・・


なぜ、売れる?



セント商事の営業担当Aさんがお客さんにセキュリティカメラを提案しました。


お客さんは多店舗展開しているスーパーマーケットを経営している会社。

提案相手は店舗管理部で、各店の設備全般の導入や設置、管理を担当しているとのこと。

今回検討しているセキュリティカメラは防犯のために使いたい。

競合のアドバイスコーポレーション(アドバイス社)とコンペになっている。


Aさんの提案内容はお客さんの要望に合わせて・・・

・防犯用に店頭と店内に設置するカメラ

・パソコンにつないで映像を確認できる

・録画もできて後で確認できる

・インターネットで接続して本部で全店舗の映像を確認できる



Aさんは会社に戻って上司に

「さっき提案してきたんですが、ちょっと厳しいかもしれません」


上司Bさん

「何が厳しいの?」


Aさん

「お客さんがうちの提案の方が少し高いって言っていました」


上司Bさん

「提案内容はアドバイス社と比べてどうなの?」


Aさん

「製品の性能も提案内容もあまり変わらないみたいです」


上司Bさん

「防犯だけじゃなくて来場者の分析にも使えるだろう。それは提案しなかったの?」

「カメラで来店者の顔の情報を収集して、性別や年齢とか来店者の傾向を把握できるからスーパーマーケットにはメリットがあるんじゃないの?」


Aさん

「提案前にお客さんに説明したんですけど、今回検討しているのは防犯用だから必要ないって言われてしまって」


上司Bさん

「そっか・・・、もうこれ以上値引きできないし”やれることやった”から結果を待つしかないな」


Aさん

「厳しいと思いますよ。うちは差別化できないし、価格も高いから売れないですよ」



1か月後、お客さんから

「申し訳ないのですが今回はもう1社のアドバイス社に決まりました。

御社の提案内容も良かったんですが、他の部とも相談して最終的に決めました」



営業現場でよくあるシーンです。

みなさんの会社ではいかがでしょう?



上司Bさんが「”やれることやった”から結果を待つしかないな」と言っていますが、本当にやれることをやったのでしょうか?



では、受注した競合のアドバイス社はどうしていたのでしょうか?



アドバイス社の営業担当Cさんは「今回は必要ない」と言われていたけれど来店者分析でも使えることを加えて提案していました。


Cさんは提案した後で会社に戻って上司に相談

「価格は若干うちの方が安いけど、セント商事は以前から取引しているのでうちの方が不利かもしれません」


Cさんの上司Dさん

「そっか、何か手を打っておいた方がいいな」

「何かできることはないか?」


Cさん

「そう思って調べてみたら、昨年の展示会でうちの企画課長Eさんがお客さんの販売促進部長と名刺交換して、その後に一度訪問しているみたいです」


Dさん

「Eさんの人脈は使えないか?」

「販売促進部だと来店者分析のニーズが考えられるだろう」


Cさん

「来店者分析も提案に加えたんですけど、やはり今回は必要ないって言われてしまって・・・検討していないみたいです」


Dさん

「そうなんだ・・・」



Cさんは、Dさんに相談した後でCさんはコンサル部のF部長に電話をしてみました。


Cさん

「今、スーパーマーケット向けに防犯用のセキュリティカメラを提案してるんですけど、何か使えそうな情報はないですか?」


Fさん

「防犯用ではなけど、一昨年に大手ドラッグストアに来店者分析用のカメラを導入したよ」

「導入後にうちが効果検証をしたんだけど、そのときのデータがあるよ」

「仕入れと陳列が改善できて客単価が上がったっていう結果も出ているし、スーパーマーケットなら興味があるんじゃないか?」


Cさん

「そうですね、そのままデータを出すことはできないけど、加工してまとめたら興味を持ってもらえるかもしれません」


Fさん

「必要だったら加工して資料を作るよ」


Cさん

「お願いします」

「私が提案しているのは店舗管理部なので興味を持ってもらえなかったんですが、企画課長のEさんがマーケティングを担当している販売促進部と面識があるみたいなのでアポイントをとってもらいます」



CさんはすぐにEさんにお願いして販売促進部長のアポイントをとってもらいました。

そして、Fさんに来店者分析の効果検証資料を作ってもらいEさんと一緒に訪問。


Cさんが説明すると販売促進部長が

「今期は予算がないから検討していないんだけど、来期は考えないといけないと思っていたんですよ」

「店舗管理部で防犯用のセキュリティカメラを検討しているんですね、知らなかった。情報ありがとう」

「来期また検討する予定だから、来店者分析にも使えるものにしてもらえるように社内で話してみるよ」



そして、1か月後にお客さんから

「御社に決めさせていただきました」

「若干安かったこともあるけど、販売促進部から防犯用で導入するなら来店者分析にも使えるものにして欲しいって言われて」



セント社のAさんが使った武器は、商品力と価格だけ。

そして「うちは差別化できないし、価格も高いから売れないですよ」


たいして、アドバイス社のCが使った武器は、商品力と価格の他に販売促進部長との人脈と大手ドラッグストアの効果検証データ。



会社の中には営業が使える武器(資産)がたくさんあります。


社長や部長、他の営業、他部門の人が会っている人、会ったことがある人

・・・どれだけいるでしょう?


社長や部長、他の営業、他部門の人が持っている知識や情報

・・・どれだけあるでしょう?


多くの様々な取引の中で作った資料やデータ

・・・どれだけあるでしょう?



しかし、目の前のお客さんの情報、自分や上司の知識や情報ばかりで、会社の中にあるたくさんの武器を使っていません。


その結果、商品力と価格で勝負。


商品力や価格で勝てるのであれば営業力はいりません。

差別化できない、価格で勝てないときに、会社の中にある資産から武器になるものを探し、その武器を使ってどうしたら勝てるかを考えるから営業力が必要なのです。


セント社のAさんは、お客さんから聞いた情報、その情報に対して自分が知っている商品力と価格で勝負。


アドバイス社のCさんは、お客さんから聞いた情報と自分が知っている商品力と価格の他に、会社の中にあるたくさんの資産から隠れている武器を探し、販売促進部長との人脈と大手ドラッグストアでの効果検証データを使って勝負。


どちらが有利でしょうか?



様々な人が様々な活動をし、様々なお客さんと取引をしている会社には、営業が活用できる8つの資産が隠れています。



「営業における8つの資産」


・商品・サービス力資産

商品やサービスの機能や価格、技術力やサポート体制、他商品やサービス


・顧客・取引先資産

既存顧客、休眠・リード顧客、仕入れ先、販売チャネル


・関係・人脈資産

経営者や社員の人脈と関係性、協力会社の人脈と関係性


・人的資産

量的人材力、質的人材力(知識や能力を持った人材)、組織としての対応力


・ノウハウ資産

社内蓄積情報、ノウハウ、資料やデータ


・実績・事例資産

取引量や実績、同業や類似案件の実績や事例


・販促・イベント資産

WEBサイトやメルマガ、広告、セミナー、展示会、勉強会


・物的資産

施設や設備、拠点やエリア、立地、環境



競争が激しい今日、商品力や価格だけではなかなか勝てません。

なぜなら、みなさんの会社の競合他社も同じように商品力や価格力を強化しているのだから。


売上を上げたいのなら、営業活動を有利に進めたいのなら、8つの資産の中から武器になるものを探しましょう。

そして、その武器を使ってどうしたら勝てるかを考えましょう。


それが今日の営業にとって必要な力です。





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