アプローチできる人とすべき人
「商品紹介や情報交換したい」ではアプローチすべき人に会えない
2019年7月15日
新規開拓営業でTELアポ、DMやメール配信、セミナーの開催・・・
様々な方法でターゲット顧客にコンタクトしようと苦労していることでしょう。
コンタクトできた人を見てみるとほとんどが担当者で、社長や部長には会えていない・・・
携帯電話や通信の営業では、総務部の担当者
システムの営業では、情報システム部の担当者
求人広告の営業では、人事部の担当者
資材や部品の営業では、調達部の担当者
なぜ、担当者にしか会えていないのか聞いてみると、「うちの商品はシステムだし、TELアポだから担当者にしか会えない、社長や部長には会えないんです」と決めつけている・・・
本当に担当者にしか会えないのでしょうか?
ここで、TELアポの例をお話ししましょう。
よくかかってくるTELアポトークです。
顧客管理システムの営業担当Aさんの場合
「御社のホームページを拝見してお電話したのですが、当社では、顧客管理システムを提供していまして、○○○といった仕組みで営業活動の効率化のお役に立てると思いますので一度ご紹介したいのですが、営業責任者の方はいらっしゃいますか?」
求人サイトの営業Bさんの場合
「エンジニア社員を採用されていることを知りお電話させていただきました。
求人数が増えているので技術者の採用で苦労している企業様が多いようなのですが、当社ではエンジニア社員専門の求人サイトを展開しておりまして、来月までのキャンペーンで通常価格の半額で掲載できますので、一度、御社の採用面での課題や計画などのお話を伺いたいのですが、人事部長はいらっしゃいますか?」
みなさんは、このTELアポを受けたとき、仮に取り次ぐとしたら誰に電話を回しますか?
おそらく、営業責任者ではなく情報システム部の担当者、人事部長ではなく採用の担当者に回すのでは・・・
なぜ、営業責任者や人事部長に電話を回さないのですか?
営業活動では、アプローチ先について2つ考える必要があります。
①.課題を抱えている人か、課題解決を担当する人か(部署)
②.戦略や計画を考える人か、戦略や計画を実行する人か(役職)
例えば、顧客管理システムの場合
課題解決を担当する部署の、戦略や計画を実行する人は、顧客管理システムに関する情報を収集する役割の人である情報システム部の担当者。
課題を抱えている部署の、戦略や計画を考える人は、顧客管理に関する課題を理解し対策を考える役割の人である営業の責任者。
どちらにアプローチするべきでしょう?
すでに、顧客管理システムを探していたら情報システム部の担当者でよいかもしれません。
しかし、探していない場合、つまり課題を理解していない、そのため課題解決を検討していない場合は、情報システム部の担当者に会っても話は進まないでしょう。
みなさんの新規開拓営業で、たまたま探している顧客(顕在ニーズ顧客)に会える確率はどのくらいでしょう?
今日の営業では、探している顧客への営業だけでなく、探していない顧客(潜在ニーズ顧客)に検討させる営業が必要です。
顧客に検討させる営業では、
課題を理解できる人=課題を抱えている部署、対策を考える人=戦略や計画を考える人に会わなければならず、アプローチするべきなのです。
つまり、営業責任者。
ここで、先ほどのAさんのTELアポトークを振り返ってみましょう。
「○○○といった仕組みで営業活動の効率化のお役に立てる顧客管理システムを紹介したい」と言っています。
つまり「商品を紹介したいので会いたい」
「商品を紹介したい」に対して顧客内で「商品紹介を受ける=情報収集」する役割の人は誰でしょう?
情報システム部の担当者です。
つまり、Aさんは営業責任者宛てに電話していますが「私は情報システム部の担当者に会いたい」と言っているんです。
Bさんも「採用面での課題や計画などのお話を伺いたい」と言っていますが、顧客にとっては「エンジニア社員専門の求人サイト、半額で掲載できるキャンペーンを紹介したい」としか聞こえません。
つまり、わざわざ「私は、営業責任者ではなく情報システム部の担当者に会いたい」「私は、人事部長ではなく採用の担当者に会いたい」と言っているのです。
よくやってしまいがちな「商品を紹介したい」「情報交換をしたい」でアプローチできる人は、課題解決を担当する部署の戦略や計画を実行する人です。
つまり、情報システム部の担当者や採用の担当者・・・調達や購買の窓口担当者。
では、アプローチできる人でなく、アプローチすべき人に会うためにはどうしたらよいのか?
Aさんの同僚Cさんの場合
「御社のホームページを拝見し
昨年から新商品の提案活動に注力されているようでしたのでお電話させていただいたんですが、御社の場合、商品の種類が多いので営業社員の新商品提案を促進することが難しいと思うのですが、当社では、顧客管理システムをとおして、商品別の提案状況を管理しながら指導を促進するお手伝いをしておりますので、御社の営業戦略や体制、管理方法などのお話を伺いたいのですが、営業責任者の方はいらっしゃいますか?」
Cさんは「顧客管理システム」という言葉を使ってはいますが、伝えている用件は、
「顧客管理システムの紹介や情報交換」ではなく「新商品の提案促進、提案状況の管理や指導の促進のお手伝い」になっています。
そして「昨年から」や「御社の場合、商品の種類が多い」という情報を使いながら一般論にならないよう極力具体的に伝えています。
そのため、電話を受けた人も営業責任者に回す確率が高くなり、また電話を回された営業責任者も、新商品の提案促進、提案状況の管理や指導の促進に課題意識を持っていたら会いたいと思ってくれるでしょう。
営業責任者の役割であり、重視していることや悩んでいることだから・・・
Cさんのトークは以下の順番で組み立てられています。
(1).アプローチすべき人が重視していることや悩んでいること(課題)
「新商品の提案活動に注力されている」
「商品の種類が多いので営業社員の新商品提案を促進することが難しい」
(2).重視していることや悩んでいることに対し商品でできること(課題に対する用途)
「商品別の提案状況を管理しながら指導を促進するお手伝い」
(3).だから話を聞きたい、会いたい
つまり、はじめに、(1)課題を伝え、次に(2)課題に対する用途を伝え、だから(3)話を聞きたい、会いたいという流れで組み立てているのです。
この(1)(2)(3)で最も重要なものは(1)の課題です。
(1)で伝える課題を何にするかによって会える人が変わってくるのです。
アプローチすべき人が重視していること、悩んでいることを伝えることができれば、アプローチすべき人に回してもらいやすくなり、また会いたいと思ってくれるのです。
これは、TELアポだけではありません。
DMやメール配信の内容、セミナーの告知内容も同じです。
アプローチすべき人に会うためには、
「アプローチすべき人は誰なのか?」
「アプローチすべき人が何を重視しているのか?何を悩んでいるのか?」
を考えましょう。
そして、DMやメール配信、セミナーの告知で、はじめに伝えましょう。
新規開拓営業では会うことが難しいため、より多くの顧客に会うことばかり考え、誰に会うかを軽視し、アプローチできる人に営業しているケースが多く見受けられます。
しかし「誰に会うか」によって成果が大きく変わります。
多くの顧客に会うことも大切ですが、売上を上げるためにアプローチすべき人にこだわりましょう。
みなさんが本当に会うべき人は誰ですか?
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