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経営課題のCFTフレーム

顧客の経営課題を階層で理解して提案したい現場の課題を考える

2020年10月15日

現場の課題は、上位の本部や部の課題から落とされるもの

本部や部の課題は、会社の課題である経営課題から落とされるもの


顧客の課題を考えるためには、おおもとの経営課題を理解する必要があります。


しかし・・・


お客さんから経営課題を聞きました。

「競争が激しいため新商品の開発力を強化する」


営業担当者は、

「うちの商品はWEB会議システムだから関係ない」

「商品開発部は拠点が1か所に集まっているから遠隔で会議する必要もないだろうし・・・」


せっかく経営課題を聞いても・・・

提案したい課題を考えられない、関係ないと流してしまう。


経営課題が変われば、様々な課題が生まれます。

戦略や業務フロー、情報管理や組織間の連携・・・WEB会議システムに関係するコミュニケーションの課題も生まれていることでしょう。



ここでみなさんに問題です。


ある会社のIR資料を見たら下の4つの経営課題が書いてありました。


①.業務効率を促進しコストを削減

②.営業体制の増強と連携強化を進め新商品の提案を促進

③.既存事業依存から脱却し新規事業でマーケットを拡大

④.社内コミュニケーションの活性化により製販の連携を強化


この4つの経営課題の関係性は?


同じ会社の経営課題であり、①~④はそれぞれ別のものではなく、関係性があります。

最終的に実現したい経営課題、その経営課題を実現するために必要な経営課題・・・

上の①~④の経営課題に対し関係性を考えて順番に並べてみてください。



経営課題は階層で理解するもの


みなさんの会社でも経営陣が期初や期末に1年の経営課題を考え、戦略や施策を考えていることでしょう。

その経営課題を考えるときには順番があります。


まずは、全社として大きな方針や経営課題を考えます。

そして、その全社の方針や経営課題に対し、各機能(部門)の課題に落とし込みます。

最後に、各機能(部門)の課題を解決するために必要な各テーマの課題に落とし込みます。


つまり、

全社的経営課題(Company Problem)→機能別経営課題(Function Problem)→テーマ別経営課題(Theme Problem)の順番に落とされていきます。


例えば・・・


全社的経営課題として「既存事業を強化しシェアを拡大」


この全社的経営課題を実現するために

機能別経営課題として、生産してから消費者により多くの商品をより短期間で届けられるよう「生産・物流体制を改善し商品提供力を強化」


そして、機能別経営課題を実現するために

テーマ別経営課題として、工場の場所や生産方法を改善しようと「生産体制を見直す」、配送ルートの調整や見直しができるよう「物流情報の管理方法を改善」


みなさんが提案したいシステムや設備、部品や資材、採用や教育、広告やプロモーション・・・

これらに関する現場課題を考えるためには、経営課題を階層で考え全体的に理解する必要があります。


たとえば、顧客情報管理システムを提案したいとき・・・

機能別経営課題の「生産・物流体制を改善し商品提供力を強化」だけ知っても、関係する課題を考えにくいのですが、

テーマ別経営課題の「物流情報の管理方法を改善」まで考えると、配送先である「顧客情報」の管理方法を改善する必要があるかもしれないと考えることができるのです。



答え


経営課題をCFTフレームにあてはめて考えると・・・①と④→②→③


一番実現したい全社的経営課題(Company Problem)

③.既存事業依存から脱却し新規事業でマーケットを拡大


そのための機能別経営課題(Function Problem)

②.営業体制の増強と連携強化を進め新商品の提案を促進


機能別経営課題を実現するためのテーマ別経営課題(Theme Problem)

①.業務効率を促進しコストを削減

④.社内コミュニケーションの活性化により製販の連携を強化


つまり、この会社の経営課題は・・・


①.コストを削減し、営業人員を増やせる状況にする

④.製販の連携を強化し、営業と製造や技術が連携して提案できるようにする


この①と④により、

②.営業体制の増強と連携強化を進め新商品の提案を促進する


そして、

③.既存事業依存から脱却し新規事業でマーケットを拡大する



この経営課題のCFTには、それぞれに入る情報が決まっています。


全社的経営課題(Company Problem)には、

既存事業や新規事業の強化・拡大、マーケットの拡大、など


機能別経営課題(Function Problem)には、

営業や販売の強化、商品開発力や技術力の強化、など


テーマ別経営課題(Theme Problem)には、

人材力の強化、連携力や情報共有力の強化、コスト低減やコスト構造の改善、など


ちなみに、「売上や利益の拡大」は経営課題ではありません。経営課題の目的であり、経営課題を解決して実現する結果です。


※ 詳しくは下の資料ダウンロード「CFT管理シート」をご覧ください。



経営課題から提案したい課題を考えられない原因のひとつは、経営課題を部分的にしか理解していないことです。


「お客さんの今期の経営課題はコスト削減です。だからうちの商品に対してお金をかけられないんです」と言っている営業が見受けられます。


「コスト削減」はテーマ別経営課題です。コスト削減は、最終目的ではなく、何かを実現するための課題でありテーマ別経営課題のひとつです。


人件費を確保できるようにコストを削減するという、機能別経営課題である「営業体制の増強」を実現するための課題のひとつです。


「コスト削減」というテーマ別経営課題だけでなく「営業体制の増強と連携強化を進め新商品の提案を促進」という機能別経営課題まで考えると、「営業社員の提案スキル強化」や「提案を強化するための技術部との連携強化」など、コスト削減以外のテーマ別経営課題を考えることができます。


そして「提案を強化するための技術部との連携強化」という別のテーマ別経営課題を考えると、

「社内の技術部と外出が多い営業部の連携強化として、コミュニケーションツールであるWEB会議が必要かもしれない」



課題解決型営業は、顧客の課題と解決策を提案する営業です。

「何か課題はありませんか?」と聞くのではなく「○○○という課題があるんじゃないですか?」と伝え理解させる営業。


「○○○という課題があるんじゃないですか?」と伝えるためには、あらかじめ「○○○」を考えておかなければなりません。

あらかじめ顧客の課題を考えることは、課題解決型営業の前提です。


そして、顧客の課題を自ら考えるためには、その課題が生まれる原因である経営課題を理解することが大切です。


ご案内営業や御用聞き営業ではなく、課題解決型営業をやるのであれば・・・

顧客の経営課題はCFTの階層で明確かつ全体的に理解しましょう。





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