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現場で成長できる営業教育①

足りないスキルの教育でなく営業戦略に必要なスキルの教育を

2024年2月15日

新規マーケットへの拡大や積極的な提案を進めようとしてもなかなかうまくいかない。

そして、多くの経営者や営業責任者が・・・


・うちの営業はアポイントがとれない

・うちの営業は提案できない

・うちの営業はクロージングできない

・うちの営業は交渉できない

・ ・・・・・


営業スキルを身につけさせようと営業研修をやったり、現場の指導を促進したり、営業ノウハウを共有したり・・・でも、変わらない。



工場向け設備機器メーカーのリーディングテクノロジーが営業研修を企画していました。


リーディングテクノロジーの営業は、

引き合い対応でお客さんの要望を聞いて商品を紹介するばかりで提案していませんでした。

商品の機能など技術的な調整が必要なときは技術部の人に同行してもらって技術部の人が提案していました。


営業部長Aさんは

「今の工場は自動化や効率化を進めているのでもっとニーズはあるはず」

「うちの営業は提案しないから競合他社にとられてしまう」


Aさんはもっと提案させないといけないと思い研修をやることにしました。

「うちの営業は提案ができないから提案書作成の研修をやろう」



そして、若手社員を中心に2日間の研修を開催。

講師に教えてもらいながら提案書を作り、作った提案書でプレゼン大会もやりました。


受講者の若手社員は

「すごくいい勉強になりました」

「今まで知らなかったことが多いので役に立ちました」

「他の人のプレゼンも見られたので大変有意義でした」


営業部長Aさんは若手社員の反応に満足しながら

「研修で学んだんだからお客さんに積極的に提案して成果をあげるように」



そして、3か月が経ちました。

一向に提案している気配が感じられない。


マネージャーBさんに聞いてみると・・・

「引き合い対応で忙しいので提案する時間がないんですよ」


Aさん

「忙しいって言ったって引き合い対応だけやってても今期の目標は達成できないだろう」


Bさん

「いや、セント工業から大口の案件が入ってきたから今期は大丈夫です」

「新規案件の提案よりもセント工業の営業をしっかりやらないと」


Aさん

「今期の方針で提案して新規案件を獲得しようって言ったじゃないか」

「引き合い以外に既存顧客の他の工場への提案とか、リード顧客や休眠顧客への提案とか」


Bさん

「でも、今期の売上目標を考えたら引き合い対応に注力させた方が達成できますよ」

「うちの営業が提案しても受注率も低いし、受注金額だって引き合いと比べると低くなるし」



そして、期末に・・・


Aさん

「今期はなんとか売上目標を達成できたけど、来期の見込みはどうなんだ?」


Bさん

「大口の案件で手がいっぱいで新規案件の獲得が進んでいないんです」

「見込み案件が少ないので来期は厳しいと思います」


Aさん

「だから営業に提案させるようにって言ったじゃないか」

「提案書作成の研修だってやったのに」


Bさん

「若手社員が研修を受けましたけど、そもそもうちの営業はお客さんのことを何も知らないから提案できないですよ」

「それに今まで引き合い対応ばかりだったから、積極的に提案しようっていうマインドもないですし」



翌年は売上目標を大幅に下回ってしまいました。

そして、翌年も営業社員は引き合い対応ばかりで提案しないまま・・・


多くの会社の営業部と関わっているとこのようなシーンがよく見受けられます。

みなさんの会社ではいかがでしょうか?



提案書作成の研修をやったのに何がいけなかったのでしょうか?


リーディングテクノロジーの営業教育に関する問題はいくつかあります。

営業部長AさんとマネージャーBさんの会話から考えてみてください。



1つ目の問題として、提案書作成の研修は正しかったのでしょうか?


営業は様々なスキルが複合的に絡み合って成り立つ仕事です。

コミュニケーションスキル、説明スキル、情報収集スキル、関係構築スキル、思考力、マインド、・・・

「提案書作成の研修を受ける=提案ができる」と単純なものではありません。


提案ができない原因を深堀してみましょう。


提案ができないのはなぜか?

今まで提案をしていないから

・・・なぜ?

何を提案したらよいか、わかないから

・・・なぜ?

そもそもお客さんのことを知らないから

・・・なぜ?

ヒアリング力が弱いから。


提案書の作成ではなくヒアリング力の研修をやった方がよかったのかもしれません。


営業に必要なスキルは階層があります。

その階層を踏まえながら営業力を強化する教育のストーリーを考えなければなりません。


営業教育では「教育すべきスキルの追求」と「教育のストーリー」の2つが必要です。


本当に教育すべきはどのようなスキルなのか?

提案力を強化するのためには何をどのような順番で教育するのか?



2つ目の問題として、研修をやったら提案する営業社員だったのでしょうか?


「今まで引き合い対応ばかりだった」

今まで提案ができない理由は、営業スキル以外にも、引き合い対応ばかりで提案する機会がなかったようです。


会社の方針として「提案して新規案件を獲得しよう」と掲げています。


しかし、現場では、

「今期の売上目標を考えたら新規案件の提案より引き合いに注力した方が達成できます」

「新規案件の提案よりもセント工業の営業をしっかりやらないと」


提案に対して、方針は掲げていても戦略や計画まで落とし込まれていません。

つまり、提案するための戦略や計画もありませんでした。


営業のやり方は、長い間の場数や経験により身につけてきた癖のようなものです。

ほっておくとすぐ慣れたやり方に戻ってしまうものです。


リーディングテクノロジーの営業社員にとって引き合い対応は長い間やってきた癖のようもので、ほっておくと慣れた引き合い対応ばかりになってしまいます。


営業部長Aさんは、「研修で学んだんだからお客さんに積極的に提案して成果をあげるように」と口で言うだけでなく・・・

積極的に提案を進めて売上を上げるという営業戦略や計画を明確にし、引き合い対応が染みついてしまった営業社員が提案しないといけない状況を作る必要があったのです。


せっかく教育しても、現場で進める営業戦略や計画と連動していないければやりません。

営業現場でやらない教育は忘れるだけの意味のないものです。


営業は売上を上げるための仕事です。

ただ足りないスキルを教育するのではなく、売上を上げるための戦略があり、その戦略に必要なスキルの教育を考えるという「戦略や計画と連動した教育」が必要なのです。


1.営業戦略を明確にする。

2.営業戦略を進めるための営業のやり方を明確にする。

3.その営業のやり方に必要なスキルを教育する。



3つ目の問題として、研修して今期の売上が上がるのでしょうか?


先ほどお話ししましたが、営業は様々なスキルが複合的に絡み合って成り立つ仕事です。

そして、営業のスキルはお客さんの状況に合わせて行うという応用力が必要であり場数や経験により磨かれるものです。


そのため、提案書の作成を学んでもすぐに売上という成果に現れません。

現場での実践による場数や経験で磨かれながら徐々に成果に現れてくるものです。


リーディングテクノロジーでは中長期的な戦略や計画がなく、またはあっても重視していないため、今期の売上目標ばかり考えていました。


今期の売上目標だけを考えるのであれば教育した新たなやり方(提案)ではなく今までのやり方(引き合い対応)の方がよいかもしれません。


徐々に成果に現れる営業の教育では、今期の成果だけでなく中長期的な成果にこだわらせる必要があります。

つまり、「中長期の戦略や計画」を明確にして、中長期的な営業の姿(目指すべき営業のやり方)とその姿で実現できる成果を理解させる必要があるのです。


2年後、3年後に・・・

1.どのような営業戦略で成果(売上)を上げていくのか?

2.そのために、どのような営業活動(営業の姿)を行っていくのか?

3.そのために、どのような営業スキルをどのように身につけていくのか?


※ 売上成果はすぐに現れませんがニーズ発掘や見込み案件獲得などプロセス成果はすぐこだわる必要があります。



今日の課題解決型営業や戦略営業といった難易度の高い営業において現場で実践し成長と成果を実現する営業教育には、「教育すべきスキルの追求」「教育のストーリー」「戦略や計画と連動した教育」「中長期の戦略や計画」を含めて下の7点が必要になります。



営業教育の7つの要件


● 現場で実践させるための戦略や計画と連動した教育

● 必要な営業スキルの体系化と本当に教育すべきスキルの追求

● 教育の成果を重視させるための中長期的な戦略と計画

● 営業スキルの階層を踏まえた教育のストーリー

● 組織全体での共有による研修と現場指導のギャップの解消

● 現場での実践を促進するための環境、ツール、テンプレートの整備

● 現場での実践を促進するための管理、PDCA



「提案ができないから提案書の教育」「クロージング力が弱いからクロージング力の教育」と足りないスキルを教育している営業部。

教育しているものの営業戦略や計画と連動していない会社。


その結果、教育してもやらない、変わらない、成長しない。

そして、うちの営業には教育しても意味がない・・・だから教育しない。



お客さんとの関係構築、コミュニケーション、提案、交渉・・・

営業はすべて個人のスキルで成果を上げる仕事です。

個人のスキルが上がれば成果も上がる仕事です。


個人のスキルを向上するための営業教育は営業強化の一丁目一番地です。

営業教育の7つの要件をチェックしてみてください。



(付記)

リーディングテクノロジーの提案が進まなかった原因は「教育すべきスキルの追求」「教育のストーリー」「戦略や計画と連動した教育」「中長期の戦略や計画」の他に3つあります。

探してみてください。

答えは今後の営業のアドバイスで・・・





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