受注時期の調整
今月中に受注をもらう方法は「顧客のために」が王道
2017年3月15日
期末が近づき受注の獲得に追われているころでしょう。
売上計画達成のために、今月中、今期中に発注書が欲しい・・・
みなさんはどうしてますか?
私が前職で求人広告会社Aさんの営業を受けたときのことです。
月末まであと1週間というある日の商談・・・
Aさんの説明を受け私は、
「他の求人広告と比較したけど、今回は御社にお願いすると思いますよ」
Aさん
「ありがとうございます」
「入社時期が2か月後だと、掲載の時期は3週間後でいいですか?」
私
「いいですよ」
Aさん
「わかりました」
「急で恐縮ですが今週中に申込書に捺印をもらえますか?」
私
「稟議もこれからだから今週中は難しいよ」
「来週中には捺印できると思うけど」
Aさん
「今週中に捺印してもらえるとありがたいのですが・・・」
私
「なんで?掲載が間に合わなくなるとか?申込から1週間あれば間に合うって言ってたでしょ?」
Aさん
「掲載には間に合うのですが、月末なので・・・」
私
「無理ですよ。稟議を回して承認してもらわないといけないから」
Aさん
「そうですか・・・」
本当のところ、無理をすれば今週中に捺印できたと思います。
管轄の役員に根回しして、稟議書を当日中に作成して上申すれば間に合ったかもしれません。
しかし、私にも他の仕事があります。管轄役員も忙しい・・・
私は無理をしませんでした。
このように受注時期の前倒しをただお願いする営業は意外と多いものです。
その他にも、
「月内に捺印をしてもらえたら上司と交渉して値引きします」
「今期中に発注してもらえたら一部サービスします」
私は思う・・・
「なんだ、値引きはできないとか言っていたのに・・・」
「この営業は何かあればすぐサービスする・・・」
売上目標達成に向けて今月中、今期中に受注を決めたいと いう気持ちはわかります。
しかし、受注時期を前倒しする方法としては邪道です。
その後しばらく経って、別の求人広告会社Bさんの営業を受けました。
Bさん
「採用が必要になる新しいプロジェクトっていつごろスタートされるんですか?」
私
「3か月後からスタートする予定です」
Bさん
「今までと比べて大きなプロジェクトだから成功させないといけないですね」
私
「そうなんですよ、今回のプロジェクトが成功すると今期の売上計画の達成がみえてくるから」
Bさん
「でも、今回のプロジェクトも提案スキルを持った人じゃないと難しいですよね」
私
「いつも入社してからプロジェクトスタートまで1か月間教育しているから、今回もしっかりやらないとね」
Bさん
「今回のプロジェクトは失敗できないようなので、もう少し前倒しで考えた方が良いのでは?」
私
「なんで?」
Bさん
「適正な人材が採用できるとは限らないし、今までのプロジェクトより教育期間に少し余裕を持った方が良いのでは・・・」
私
「たしかに、今回は絶対に延ばせないし3か月後にはスタートしないわけにいかない」
「もう1号前の媒体だといつ?」
Bさん
「2週間前になります」
「掲載までの広告制作期間を考えると今週中に申込書をもらわないと間に合わないのですが・・・」
私
「わかった、社内で調整してなんとか捺印できるようにするから、御社も準備しておいてください」
そして、すぐに管轄役員に根回しして、当日中に稟議書を作成し上申しました。
無理をして今週中に申込書を提出しました。
AさんとBさんは、何が違うのでしょうか?
答え・・・
Aさんは自分のため、Bさんは私のため。
つまり、
Aさんは「自分(営業)のために今週中に捺印してください」
Bさんは「私(顧客)のために今週中に捺印した方が良い」
では、私のために今週中に捺印した方が良い理由は何か?
商品を購入して何を行い、何を実現するか?・・・のスケジュールです。
つまり、
商品を購入(求人広告を掲載)して、人材を採用し教育を行い、3か月後にしっかり準備してプロジェクトスタートして、今期の売上計画の達成を実現する。
「今期の売上計画は、今回の大型プロジェクトで達成を目指す」
「 そのためには、3か月後にしっかり準備してスタートしなければならない」
「その前には、採用した人材を教育して提案スキルを身につけさせないといけない」
「そうすると、プロジェクトスタート、教育期間から採用時期、掲載時期を考え今週中に捺印が必要」
AさんとBさんの商談はいかがでしょうか?
Aさんは広告掲載(商品購入・導入)までのスケジュールしか考えていませんが、
Bさんは広告掲載(商品購入・導入)後のスケジュールを考えています。
受注時期を前倒しし発注書を今月中、今期中にもらうためには、
①.顧客が実現したい計画や戦略
②.計画や戦略を達成するために商品を購入してすること
③.そのためのスケジュール
④.そのための発注の時期
という順番で提案しましょう。
商品を購入、導入したい時期を把握しただけでは調整できません。
顧客にとって商品の購入は顧客のためであり、営業のためではありません。
受注時期も顧客のための時期であって、営業のためではありません。
今月中、今期中に発注をもらい受注時期を前倒ししたいのであれば、お願いするのではなく、
「顧客のために今月中に発注した方が良い」と提案してみてください。
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