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発展的な顧客との関係

顧客に嫌われないための行動ばかりでなく、好かれるための行動を増やす

2025年1月15日

商談、提案、交渉、・・・

お客さんとの関係が良ければうまく進められ、悪ければ苦労する。

すべての営業活動はお客さんとの関係の上に成り立っています。


みなさんはお客さんとの関係を大切にしていますか?



システム開発会社セントテクノロジーのAさんは営業担当になって5年。

大口のお客さんも任せてもらい営業部の主力として活躍していました。


Aさんが大切にして若手社員によく指導していることは・・・


お客さんとの関係を大切にするために、

・お客さんの要望をきちんと聞いて応える

・納期や資料の提出など期限、期日を守る

・お礼や謝罪をきちんとする

・失礼なことを言わない、いい加減なことを言わない

・トラブルやクレームがあったらすぐに駆け付ける



ある日、Aさんは新商品のWEB会議システムを紹介するためにお客さんを訪問しました。


お客さんが、Aさんが一通り商品を紹介した後に、

「実は今使っているWEB会議システムの切り替えを検討していまして」


Aさんは要望を聞こうと

「そうなんですか、WEB会議システムは何にお使いですか?」


お客さん

「営業社員はお客さんとの打ち合わせにも使っているようですが、テレワークを進めているので全社員が会議で使っています」


Aさん

「そうですか、テレワークではコミュニケーションが重要になりますからね」

「WEB会議システムを切り替えるにあたりご要望などございますか?」


お客さん

「社員の入社や退職、異動の時のID管理の負担を軽減したいんです」

「うちの会社は社員の入社や退職が多くて、それに異動も多いから大変なんです」


Aさん

「そうなんですか、当社のWEB会議システムは、人事管理システムと連携できるのでID管理が不要になると思います」


お客さん

「そうなんですか、上司に紹介したいので実績資料はありますか?」


Aさん

「導入実績は多いので、作成してお送りさせていただきます」

「実績以外に記載した方が良いことはありますか?」


お客さん

「そうですね、御社のWEB会議システムに切り替えた時のメリットがまとめてあると上司を説得しやすいと思います」


Aさん

「わかりました、いつまでに必要ですか?」


お客さん

「1月31日に会議があるので、30日までに送ってもらえますか?」

「会議で上司に説明したいので」


Aさんは、実績資料を作成し、期限の1月30日の夕方にお客さんに送りました。



そして、2週間後にお客さんから

「実は、リーディングシステムさんのWEB会議システムに決まってしまいまして」

「実績資料まで作成してもらったのに申し訳ありません」



半年後にお客さんを訪問すると、

「その節は、実績資料まで作成してもらったのにすみません」

「実は、あの後に名刺管理システムも検討することになって、来月からリーディングシステムさんの名刺管理システムを導入することになったんですよ」


Aさん

「そうなんですか、当社も名刺管理システムを取り扱っているのでご紹介できたんですが」


お客さん

「そうなんですか、次に検討するときはお声がけさせていただきます」



Aさんは、WEB会議システムを失注してしまいました。

また、その後に検討した名刺管理システムでは声をかけてもらえませんでした。



受注したリーディングシステムはどのような営業をしていたのでしょうか?



リーディングシステムの営業担当Bさんは、Aさんの後にお客さんを訪問していました。


Bさんもお客さんの要望を聞こうと

「WEB会議システムは何にお使いですか?」


お客さん

「営業社員はお客さんとの打ち合わせにも使っているようですが、テレワークを進めているので全社員が会議で使っています」


Bさん

「そうですか、テレワークではコミュニケーションが重要になりますからね」

「でも、全社員が使っていると入社や退職、異動の時のID管理は大変なんじゃないですか?」


お客さん

「そうなんですよ、うちの会社は社員の入社や退職が多くて、それに異動も多いので」


Bさん

「入社や異動の時は手続きや受け入れ先部署との調整もあって大変だからID管理の負担は軽減した方がいいんじゃないですか?」


お客さん

「そうなんです、それもあってWEB会議システムの切り替えを検討しているんですよ」


Bさん

「でしたら人事管理システムと連携させた方がいいと思いますよ」

「人事管理システムで従業員の情報と所属部署の情報を管理しているでしょうから」


お客さん

「そうですね、社内で検討してみようと思います」


Bさん

「検討される際に他社のWEB会議システムと比較するでしょうから、実績資料をお送りしましょうか?」


お客さん

「いいですか?」


Bさん

「あと、切り替えた時のメリットもまとめた方がいいですよね?」


お客さん

「そうですね、ありがとうございます」

「1月31日に会議があるので、30日までに送ってもらえますか?」


Bさん

「わかりました、30日までにお送りさせていただきます」


お客さん

「お手数をおかけしますがお願いします」

「話は変わりますが、名刺管理システムを導入するかもしれないんです」

「まだ、検討しているわけじゃないんですが、御社で取り扱っていませんか?」


Bさん

「取り扱っていますよ、ご説明しましょうか?」


お客さん

「いいですか?」


Bさん

「今月に一度ご説明させていただきますよ」


Bさんは下の文章をメールに記載し提出期限の2日前の1月28日に実績資料を送りました。

「31日の会議でご説明されると伺いましたので、月末のお忙しい時期でも会議前にご確認いただけるよう本日お送りさせていただきます」



そして、2週間後にWEB会議システムを受注し、半年後には名刺管理システムも受注しました。



セントテクノロジーのAさんとリーディングシステムのBさんを比べてみてください。

どこが違うでしょうか?



Aさんは、


「入社や退職、異動の時のID管理の負担を軽減したい」という要望を聞いて、要望に合わせて「人事管理システムと連携できてID管理が不要」と提案。


「実績資料はありますか?」「メリットがまとめてあると上司を説得しやすい」という要望を聞き、要望通りに実績資料とメリットをまとめて提出。


「30日までに送ってもらえますか?」という要望を聞いて、要望通りに30日の夕方に送りました。


Bさんは、


「入社や退職、異動の時のID管理は大変なんじゃないですか?」「手続きや受け入れ先部署との調整もあって大変だからID管理の負担は軽減した方がいい」とお客さんの課題を自ら考えて提案。


「他社のWEB会議システムと比較するでしょうから、実績資料をお送りしましょうか?」「切り替えた時のメリットもまとめた方がいいですよね?」とお客さんの検討方法を想像し、自ら考えて提案。


また、「30日までに送ってもらえますか?」という要望に対し、お客さんが会議までに資料を確認することや月末の仕事の忙しさを想像して、期限の2日前に提出。


そして、検討していなかった名刺管理システムについて、Aさんは相談してもらえなかったけれど、Bさんは相談してもらっていました。


Aさんはお客さんとの関係を大切にしていたのに、なぜ?



ここで、次のことを考えてみてください。


友人との関係で嫌われないためにすること、大切なことは?

友人との関係で好かれるためにすること、大切なことは?


それぞれを思いつく限り書き出してみてください。

※ 顧客関係の維持・発展チェックシート(資料ダウンロード)



Aさんが大切にしていたこと

・お客さんの要望をきちんと聞いて応える

・納期や資料の提出など期限、期日を守る

・お礼や謝罪をきちんとする

・失礼なことを言わない、いい加減なことを言わない

・トラブルやクレームがあったらすぐに駆け付ける


これは、好かれるためにすること、大切なことというより、嫌われないためにすること、大切なことではないでしょうか。


では、好かれるためにすること、大切なことは?


相手のことを考えて相手の役に立つ、喜ぶと思うことをしてあげる

・相手の役に立つ、喜ぶと思う情報やアドバイス、物を考えて提供する

・相手の役に立つ、喜ぶと思う人や場を考えて紹介する

・相手が喜ぶと思う方法やタイミングを考えて行動する


たとえば、彼女の誕生日に、

①.何が欲しいかを考えずに、彼女に欲しいものを聞いてプレゼントする。

②.何が欲しいかを聞かずに、彼女の趣味や嗜好、性格を考え、欲しいものを想像してプレゼントする。


彼女との関係性により異なることもありますが、大半の人にとって

①.は嫌われないためにすること(関係を下げすに維持する)

②.は好かれるためにすること(関係をより良くし向上する)


彼女が欲しくないものをプレゼントしてしまうかもしれないので①の欲しいものを聞いてプレゼントするということは、欲しくないものをプレゼントして嫌われないようにするということ。


お客さんに” 好かれるためにすること、大切なこと”は、自らお客さんのことを考えてお客さんの役に立つ、喜ぶと思うことをしてあげること。



Aさんの行動は、お客さんの要望を聞き、要望通り。

お客さんにとっては、要求したら応えてくれる人。


Bさんの行動は、お客さんに要望を聞く前、または要望以上。

お客さんにとっては、お客さんの状況を理解し、役に立つ、喜ぶと思うことを考えて行動してくれる人。



多くの営業の人を見ていると、要望や要求を聞いて要望や要求通りの” 嫌われないためにすること、大切なこと”ばかりで、” 好かれるためにすること、大切なこと”が少ないと感じています。


みなさんはいかがでしょうか?


” 嫌われないためにすること、大切なこと”は、お客さんとの関係を維持することはできます。

” 好かれるためにすること、大切なこと”は、さらにお客さんとの関係を発展させることができるのです。


お客さんとの関係は、商談や提案、交渉に大きく影響します。


” 嫌われないためにすること、大切なこと”ばかりでなく、” 好かれるためにすること、大切なこと”に関する行動を増やしましょう。


要望や要求を聞いて要望や要求通りに行動するばかりでなく、お客さんを想像し、お客さんの役に立つこと、喜ぶことを考え、要望や要求される前、または要望や要求されたこと以上の行動を増やしましょう。





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