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仮説提案の目的

仮説の提案は情報収集と課題・ニーズ発掘のためのもの

2017年1月1日

最近、仮説提案を進めようとしている営業が増えています。


顧客から要望を聞いて提案するのではなく、営業自らが顧客の課題と解決策(商品)、その効果に関する仮説を考え、その仮説を提案して案件を獲得する提案です。


売上を上げるためにはこの仮説提案は有効かつ必要な手段だと思います。


それは、顧客からの要望を待っているだけでは必要な売上を確保できないため、顧客が言ってくれない課題を積極的に獲得し売上を上げる必要があり、その手段として仮説提案が有効だからです。


しかし、せっかく顧客の課題と解決策(商品)、その効果を考え提案してもほとんどうまくいかない・・・

そして仮説提案をやめてしまう・・・



ある会社の営業担当者が仮説提案についてこのようなことを言っていました。


営業担当Aさん

「時間をかけて顧客の状況や課題を調べ考え8枚ぐらいの力作の提案書を作った」

「その提案を説明した後に必要か聞いてみたら・・・うちは間に合っていると言われた」

そのまま終了


営業担当Bさん

「いろいろ調べ、考えて提案をまとめたんだけど・・・顧客にうちは違う、そうじゃないと言われた」

案件にならず


AさんとBさんの言ったことに仮説提案に関する間違いが3つあります。

仮説提案に関する間違いはどこでしょう?



仮説提案とは仮説の提案です。

顧客から情報を聞いてまとめた提案、顧客から要求された提案ではありません。


仮説提案はあくまでも、

・顧客が課題を理解しているか、検討しているかわからない

・営業自らが仮の説として考えたことで正しいかどうかわからない

という状況で

・顧客に要求されずに勝手に考えた提案です。


この仮説の提案で案件を獲得するパターンは以下の3つです。


営業自らが考えた仮説に対して

➀.顧客がたまたま課題を理解し既に検討していた

➁.顧客が気づいていない、明確になっていない課題を検討させた

➂.仮説が外れていたが関連する情報の収集から他の課題を聞き出した


この3つについて考えてみましょう。



まず、➀は仮説を提案する必要があるでしょうか?


営業が勝手に考えた課題を顧客が理解し課題解決(商品購入)を検討している確率はどのくらいでしょう?

顧客の課題の大半は、優先順位が低いという課題も含めて、気づいていない、理解していないという潜在課題です。

顧客から情報を聞いて作成していない仮説提案では「顧客がたまたま課題を理解し検討していた」案件を獲得できる確率は低くなります。


また、すでに顧客が課題を理解し検討しているのであれば、わざわざ時間をかけて顧客のことを調べ、課題を考え提案をまとめなくても、顧客に直接聞けば良いのでは?

➀の案件を獲得するためには、仮説提案よりもヒアリング力や顧客との関係を強化するべきでしょう。



とすると、仮説提案の目的は➁と➂です。


つまり、

➁顧客が気づいていない、明確になっていない課題を検討させ案件を獲得する

➂仮説が外れていたが関連する情報の収集から他の課題を聞き出し案件を獲得する

この2つです。


この2つの目的を踏まえて、

前述のAさんとBさんの間違いを考えてみてください。



Aさんの間違い(1)・・・「8枚ぐらいの力作の提案書」


仮説提案は顧客が要求していない提案です。枚数が多くなると聞いてもらえなくなる可能性があります。

また、提案書の枚数が多く自分の説明が長いと説明(提案)に対する評価が中心になり相手の話になりにくいため顧客の情報を収集がしづらくなります。


顧客に課題を理解させ検討させる、関連する情報を聞き出し他の課題を聞き出すための仮説提案は、顧客と話し合う、顧客の情報を収集するためのたたき台です。

多くても4枚~5枚ぐらいでしょう。



Aさんの間違い(2)・・・「説明した後に必要か聞いてみた」


仮説提案は気づいていない、明確になっていない課題に対する提案です。説明して必要か聞くと大抵は「間に合っている」「必要ない」になってしまいます。


課題を気づかせる、明確化するためには、提案を説明するだけでなく、課題の原因である相手の実態(実際の状況、具体的な状況)の話をする必要があります。

そのためには、提案後に必要か否かを聞くのではなく、提案書に記載した内容の実態を顧客と話し合うことが必要です。



Bさんの間違い(3)・・・「顧客にうちは違う、そうじゃないと言われた」


仮説提案は営業自らが仮の説として考えたことで正しいかどうかわからない提案です。仮説が外れている可能性がある(外れている可能性の方が高い)ことを前提に提案しなくてはなりません。


つまり、「うちは違う、そうじゃない」と言われることを前提に、その「うちは違う、そうじゃない」に対して、他の課題、本当の課題を聞き出すことが必要なのです。

そのために、「うちは違う、そうじゃない」に対して仮説提案書に記載し説明した顧客の現状や課題について顧客と会話し、顧客の情報を収集することが大切で、収集した様々な情報から顧客が検討できる他の課題、本当の課題を発掘することができるのです。



仮説を提案する=営業が考えた顧客の顧客の課題と解決策、その効果を提示することの一番のメリットは様々な情報を収集できることです。

・聞きにくいこと、教えてもらいにくいこと

・幅広い情報

・本質的な情報や真相

を聞き出せることです。


つまり、顧客が検討できる課題を発掘するために、営業自らが勝手に考え提案した「課題」や「解決策」「その効果」に対する反応として多様な情報を収集できることです。


・「8枚ぐらいの力作の提案書」で説明中心になってしまう

・一生懸命考えた提案を説明し、必要かどうか聞く

・仮説が外れていたら終了

では、仮説提案の意味がありません。


重要なのは、提案書を説明した後です。「4~5枚以内の軽めの提案書で説明した後に、提案書の内容について具体的な情報を使いながら顧客と会話する」


その結果、

・顧客に課題を気づかせる、明確にさせる

・様々な情報を聞き出し、他の課題を発掘する

ことができるのです。



新規案件の獲得には仮説を立て、顧客に提案するという仮説提案は有効です。

ぜひ、試してみてください。






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