top of page

競合に勝てる提案②

はじめのページでお客さんにとっての重要性を意識させ勝てる土壌を作る

2022年9月15日

せっかく提案しても、競合他社に「価格で負けた」「機能で負けた」。

価格や商品の機能のせいにしている人が多いのですが、提案の内容で負けていることが多いのです。

・・・競合に勝つ提案になっていない。


競合に勝つ提案とは?



名刺管理システムの営業担当Aさんが人材紹介会社のセントジャパンから提案案件を獲得し、提案依頼書をもらってきました。

会社名は教えてもらえなかったけど4社の競合があるようでした。


お客さんからもらった提案依頼書を見ると・・・


(名刺管理システムの検討理由)

・営業社員が各自持っている名刺をデータ化して会社で管理したい

・誰が、どの顧客と会っているかを共有して営業を効率化したい

・どの顧客にどれくらい訪問しているかを共有して上司の指導を促進したい

・会っている顧客の業界や役職を集計して営業戦略にいかしたい


(名刺管理システムに対する要望)

・営業社員のスマホで名刺をスキャンして自動で登録できる

・顧客ごとの面談を管理でき、いつ、どのくらい面談しているかを上司が確認できる

・商談報告を名刺管理システムで行えるようメモや議事録を登録できる

・顧客の業界や役職も登録でき業界や役職別に集計できる

・現在保有している10,000枚以上の名刺登録をお願いしたい

・価格を重視する



営業担当Aさんは、上司Bさんに提案依頼書を見せながら相談していました。


営業担当Aさん

「要望はある程度クリアしているけど、うちは価格が高いから厳しいと思うんです・・・」


上司Bさん

「うちは、営業管理システムとの連携が強みだけど、その点はアピールできないの?」


Aさん

「営業管理システムのことは何も言ってませんでした」


Bさん

「でも、検討理由に上司の指導を促進したいって書いてあるじゃないか」

「セントジャパンは人材紹介会社だから顧客ごとに人材ニーズとか提案内容を管理する必要があるだろう」

「アプローチした顧客の商談や提案などのプロセスも管理しないといけないだろうし」

「だから営業管理システムとの連携も必要になるんじゃないか?」


Aさん

「でも依頼書に書いてないから検討していないんじゃないですか?」


Bさん

「うちの強みは営業管理システムとの連携のしやすさだから提案に入れないと」



そして、Aさんが作成し提案書の内容は・・・


(1ページ)

「今日の営業では情報共有が進み、名刺情報を個人管理から組織管理に・・・」

と名刺管理における一般的な傾向とメリットをまとめていました。


(2ページ)

お客さんの提案依頼書に書いてあった(名刺管理システムに対する要望)を記載し、

「貴社のご要望に合った名刺管理システムをご提案させていただきます」


(3ページ)

コンセプトとして

「当社名刺管理システムの導入により3つの営業強化を実現」と書いて、

・名刺情報の共有による営業業務の効率化

・業界別・役職別の名刺情報の集計により営業戦略を強化

・顧客とのコンタクト状況の共有による組織営業を促進


(4ページ~8ページ)

提案依頼書の(名刺管理システムに対する要望)に合わせて、

・スマホによる名刺のスキャン方法とスキャンの読み取り率をアピール

・業界別・役職別の登録・集計方法、面談履歴の登録・共有方法、メモ機能による商談議事録の共有方法

・現在保有している名刺の登録を代行することと導入までのスケジュール


(9ページ)

タイトルに「営業管理システムとの連携」と記載し、

名刺管理システムの仕組みと営業管理システムとの連携方法を記載し、連携のしやすさをアピール。

そして、営業管理システムとの連携の実績をまとめていました。


(10ページ)

導入時の価格と毎月の価格

会社に一生懸命にお願いして値引きした価格を記載。



2週間後・・・


セントジャパンの担当者からメールが届きました。

「ご提案に尽力いただき誠に申し訳ないのですが、価格が高く他社に決めさせていただきました」



Aさんは、なぜ競合他社に負けてしまったのでしょうか?

みなさんも、Aさんの提案で何が良くなかったのか考えてみてください。



Aさんが負けてしまった理由は、

お客さんの要望に応え、強みをアピールするだけで、競合他社に勝つ提案になっていなかったから。



実は、受注したのはAさんよりも価格が高い提案でした。


受注した競合他社の営業担当Cさんの提案は、2ページ以降はAさんとさほど変わらなかったのですが、大きく違ったのが1ページ。


(1ページ)

タイトルは「セントジャパン様の営業強化のPOINT」

そして、4つのPOINTをまとめてありました。


POINT1

多くの営業担当者が新規開拓を行っているため重複営業を避け効率化することが必要


POINT2

受注獲得までのフォローが重要であるため訪問・面談頻度を管理し指導することが必要


POINT3

業界別・役職別のコンタクト傾向と受注件数を比較して効率的な戦略を立てることが必要


POINT4

求められる人材が変化していくため、要望を聞くだけでなく、売上を上げるためには顧客の業界や職種別の人材提案力を指導し強化することが必要

そのため、名刺情報の共有が進んだ後、営業プロセスや顧客別の提案情報を管理し共有する環境が必要


(9ページ)

タイトルに「営業管理システムとの連携による提案指導の促進」と記載し、

名刺管理システムの仕組みと営業管理システムとの連携方法を記載し、連携のしやすさをアピール。

そして、営業管理システムとの連携の実績をまとめていました。



2週間後、セントジャパンの担当者はCさんに「価格は高かったんですが御社にお願いしたい」

「御社の提案を営業部長に説明したら、

・うちの営業も提案力が重要だから来年以降に営業管理システムを考えるかもしれない

・営業管理システムとの連携も考えて名刺管理システムを選ぶように

と言われまして・・・」



AさんとCさんの提案の違いは?


Aさんは、

9ページに強みである「営業管理システムとの連携のしやすさ」をアピール。


Cさんは、

はじめのページのPOINT4で強み(営業管理システムとの連携)に対する課題と重要性を意識させています。

「営業プロセスや顧客別の提案情報を管理し共有する環境が必要」という課題。

そして、「売上を上げるためには顧客の業界や職種別の人材提案力を指導することが必要」という重要性。

その後に9ページで強みである「営業管理システムとの連携のしやすさ」をアピール。



提案で競合他社に勝ち受注を獲得するためには、「強み=競合他社に勝てる部分」をいきなりアピールするのではなく、その前に「強み=競合他社に勝てる部分」に対するお客さんの課題と重要性を意識させておくのです。


つまり、

「強み=競合他社に勝てる部分」を単なる競合他社との差、違いとして理解させるのではなく、

はじめに「強み=競合他社に勝てる部分」の重要性を意識させることで、「強み=競合他社に勝てる部分」そのものを重要と理解させるのです。


提案で競合他社に勝つためには、

①.小さくても良いので「強み=競合他社に勝てる部分」を明確にする

②.はじめのページで「強み=競合他社に勝てる部分」に対するお客さんの課題と重要性をまとめて意識させる

③.その後のページで「強み=競合他社に勝てる部分」をまとめて説明する



「お客さんの要望に応えるばかりの提案書」「単純に強みをアピールするだけの提案書」

様々な会社の提案書を見ているとこのような提案書が多く見受けられます。


みなさんの提案書はいかがでしょうか?



営業は、お客さんにコンタクトするのも大変、案件を獲得するのも大変・・・

せっかく獲得した案件は必ず受注を勝ちとりましょう。


競合他社に負けて失注すると、売上を上げるためにまたコンタクトできるお客さんを探さなければなりません。そして、コンタクトして案件を獲得しなければなりません。

競合他社に勝つか、負けるかで営業効率も売上も大きく変わってきます。



競合他社に提案で勝つためには、

・はじめに強みに対するお客さんの課題と重要性を意識させ競合他社に勝てる土壌を作る

・土壌を作った後で強みを理解させる

この流れが大切です。


強みをアピールする前に、お客さんにとっての課題と重要性を意識させておきましょう。





有料会員限定コンテンツです。
会員の方はログインしてください。

​関連するアドバイス

bottom of page