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顧客の経営課題を考える方法①

「どういうこと?」と「なぜ?」で具体的な内容と重要性にこだわる

2020年8月15日

「今期は新規事業を進めないといけない」

と顧客から経営課題を聞いてきても、どんな提案ができるか、何を提案したらよいかわからない・・・


課題解決型営業や戦略営業は顧客の情報から考える営業。

顧客の情報の中で、顧客が最も解決したいこと、実現したいことである経営課題を理解することは大切です。


しかし、経営課題を聞いても、調べても、

どんな課題があるか、何を提案したらよいか、どうしたら決裁者を説得できるかわからない・・・



スマートフォンの営業を担当しているAさんが、オフィス家具メーカー〇〇社のアカウントプラン(顧客から受注を獲得するための計画や戦略)を作成するために経営課題を把握するよう上司Bさんに指導されました。


Bさん

「顧客の課題を考えるためには、経営課題を理解することが必要だし、決裁者や予算対策を考えるためにも必要だから、〇〇社の経営課題をおさえなさい」


そして、Aさんが〇〇社に訪問し経営課題を聞いてみると、顧客担当者は

「今期は営業の提案力を強化しないといけないんです」

「今まではオフィス家具の販売中心だったので、カタログで商品を紹介するか、オフィス家具の機能やサイズ、量などの要望を聞いて対応するばかりで、顧客との関係を作ることはできるんだけど提案できなくて・・・」


そして、Aさんは会社に戻り、アカウントプランを作成するために〇〇社のスマートフォンに関する課題を考えようとしました。

しかし、「営業の提案力を強化」という経営課題に対して、何かスマートフォンに関する課題があるのだろうか???わからない・・・


そこで、上司のBさんに相談しました。


Aさん

「〇〇社から「今期は営業の提案力を強化しないといけない」と聞いてきたんですが、スマートフォンに関する課題を考えられなくて・・・」


Bさん

「その前に、営業の提案力を強化して〇〇社は何をしたいの?」


Aさん

「・・・、売上を上げたい」


Bさん

「売上を上げたいじゃなくて、もっと具体的に考えていることがあるだろう」


Aさん

「・・・、わかりません」



ここで、下の2つの問題を考えてみてください。


問題その1

〇〇社には、スマートフォンに関してどのような課題があると考えられるでしょうか?


問題その2

なぜ、Aさんはスマートフォンに関する課題を考えられなかったのでしょうか?



顧客担当者は「営業の提案力を強化しないといけない」と言っていますが、〇〇社にとって「営業の提案力を強化」とは「どういうこと?」


新商品や新技術の提案なのか?

であれば、新商品や新技術の提案とはどのような提案なのか?


オフィス家具だけでなく、オフィス全体のレイアウトや使い方の提案なのか?

であれば、レイアウトや使い方の提案とはどのような提案なのか?


これを考えることができなければ、スマートフォンに関する課題を考えることができません。


たとえば、レイアウトや使い方の提案だとすると・・・


・多くの会社で進めているテレワークにあわせて

・オフィスを狭くしてフリーアドレスを導入しても、

・従業員が効率的に業務を行え、上司・部下・チーム間でコミュニケーションできる

・レイアウトや家具の提案

を強化しないといけない。


すると、コンサルティング部や設計部との連携を強化しようとしているかもしれません。


今までのオフィス家具の販売と異なり、

「営業部が、コンサルティング部や設計部と、外出先でも電話やメールで頻繁にコミュニケーションをとれる環境が必要」という課題を抱えているかもしれません。



顧客から経営課題を聞いたり、調べたときは中身を考えることが大切です。


つまり、「営業の提案力を強化」とは「どういうこと?」を考える。

「営業の提案力を強化」という経営課題を聞いたり、調べたときは、顧客を想像しその中身である具体的な内容を考えなければなりません。



そして、「どういうこと?」で考えた具体的な内容に対し「なぜ?」で重要性を考える。


単なる「営業の提案力を強化しないといけない」という情報だけでは「なぜ、提案力を強化しないといけないのか?」を考えられない、あるいは、漠然とした「売上を上げたい」しか考えられません。



ここで、もう一度考えてみてください。


「オフィスを狭くしてフリーアドレスを導入しても、従業員が効率的に業務行え、上司・部下・チームでコミュニケーションできるレイアウトや家具の提案を強化しないといけない」


なぜ、〇〇社は営業の提案力を強化しないといけないのでしょうか?


すると、様々なことが考えられます。


・テレワークが浸透しオフィスを狭くする顧客が増えているため、家具の販売量が減ってしまう

・顧客の相談が、家具という商品からオフィスのレイアウトや使い方に変わってきている

・競合他社がレイアウトや使い方などのコンサルティング提案を強化しているためコンペで負けてしまう

・家具の販売事業からオフィス環境のコンサルティング事業にシフトして事業を拡大しようとしている



「営業の提案力を強化」とはテーマです。

テーマだけわかっても中身がわらなければ経営課題を理解することも、考えることも、アカウントプランや営業活動で使うこともできません。


Aさんは「営業の提案力を強化しないといない」という経営課題のテーマを聞いただけで理解したつもりになっていました。


その結果、

・提案したいスマートフォンに関する課題を考えられない

・提案力を強化しないといけない理由(〇〇社にとっての重要性)を考えられない


顧客の課題や重要性は「営業の提案力を強化」というテーマでなく、「従業員が効率的に業務を行え、上司・部下・チーム間でコミュニケーションできるレイアウトや家具の提案」という中身である具体的な内容から考えるものです。



他にも、「工場の生産性を向上」「組織間の連携を強化」「人材の質の向上と定着化を促進」「新領域への拡大」「商品の高度化」・・・

テーマを聞いただけで理解したつもりになり、「経営課題を聞いてきました」と満足している営業担当者が多く見受けられます。


課題解決型営業は、

顧客の要望を聞いてくる営業と異なり、自ら課題を考え提案する営業です。


戦略営業は、

顧客の決裁者が重要視していることや予算を考え、そして対策を考える営業です。


この課題解決型営業、戦略営業にとって顧客が最も解決したいこと、実現したいことである経営課題を理解することは大切です。



顧客から経営課題のテーマを聞いたら「どういうこと?」「なぜ?」を聞きましょう。

また、「どういうこと?」「なぜ?」で具体的な内容と重要性を想像しましょう。


「提案力を強化」」「工場の生産性を向上」「組織間の連携を強化」「人材の質の向上と定着化を促進」「新領域への事業拡大」「商品の高度化」・・・は中身が大切なのです。



そして、顧客の具体的な内容を想像するためには、顧客の事業や商品をじっくり見ることが大切です。

「オフィス家具、オフィス家具事業ってどのようなものなのか?」

※「顧客の立場で課題を想像する」参照

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