顧客に検討させる提案書
検討させるためには解決策でなく課題を理解させる提案書
2018年7月16日
・商品の強みや優位性、商品の使い方や商品内容中心の提案書
・1枚目に、「はじめに」というタイトルで顧客業界の傾向、トレンド、課題などの一般論
・類似案件、同業他社への提案書の切り貼り
多くの会社の営業を見ているとこのような提案書が多い・・・
営業担当Aさんが、タブレット端末で仕事ができるというモバイルシステムの提案書を作成していました。
提案相手は大手製造業。まだ検討していないけれど興味があるとのことで提案依頼を獲得。Aさんは大手製造業に入り込めるチャンスと思い一生懸命提案書を作成していました。
(1枚目)
「製造業界の傾向と課題」というタイトルの下に文章で・・・
「製造業界では、グローバル化が進み海外出張も増加し、また働き方改革を進めている企業も多く、残業削減等従業員の業務環境を改善するためにテレワークや社外業務などの環境整備を進めている企業が多い・・・」
(2枚目)
「モバイルによる社外業務、テレワークの促進」というタイトルの下にイメージ図で・・・
「社内で管理しているシステムと工場、海外、移動中をつないで各所でタブレットを使い仕事をしている図」
(3枚目)
「モバイル活用によるメリット」というタイトルの下に商品導入のメリットとして・・・
「工場、海外、移動中に仕事をすることで顧客対応力を強化」
「社外の時間を有効活用し社内で行っている事務作業の負担を軽減し残業削減」
「・・・・・」
(4枚目以降)
「モバイルシステムによる業務効率」というタイトルの 下に記載してある内容は・・・
「タブレット端末とカレンダー、メールなどグループウェアや販売管理システムなどの各システムをつなぐしくみ」
「タブレットで業務ができるというイメージを持ってもらうための各種帳票のタブレット画面と操作方法」
「使いやすさやセキュリティなどの強みと実績」
「・・・・・」
提案書といえば当たり前のように競合他社に対する商品の強みや優位性、商品の仕組みや使い方、メリットまとめるものと思い、このような構成でまとめているものが多い・・・
ここで少し考えてみてください。
みなさんは、課題をわかっていない、また、わかっているけど明確でない人に対して、どのように説得しますか?
同僚が商品知識の不足により営業成績が伸びていません。
しかし、同僚は営業成績が伸びていないことを、商品知識が原因とは思わず、担当顧客や仕事量が原因だと思っています。
みなさんは、どのように商品知識をつけるよう説得しますか?
いきなり、商品知識をつける方法を説明したり、商品知識がつく本を紹介しますか?
おそらく、はじめに説得することは、
「営業成績が伸びないのは、担当顧客や仕事量が原因ではないということ」「商品知識が不足していること、そのため適正な営業ができていないこと」ではないでしょうか?
担当顧客や仕事量が原因ではないということ、商品知識が不足していること、そのため適正な営業ができていないことを一般論ではなく実例も交えながら具体的に説明するでしょう。
つまり、はじめに説得していることは課題があることです。
そして、課題を理解させてから商品知識をつける方法を説明したり、商品知識がつく本を紹介するでしょう。
この商品知識をつける方法や商品知識がつく本は解決策です。
つまり、はじめに課題を理解させ、その後に解決策を紹介するでしょう。
では、営業担当Aさんの提案書はいかがでしょう?
商品知識が不足していること、そのため適正な営業ができていないことの部分である課題の部分は1枚目です。
そして、2枚目以降が
いきなり、商品知識をつける方法と商品知識がつく本の部分、解決策の部分です。
では、もう1つ考えてみてください。
みなさんは、「はじめに(前例の「製造業界の傾向と課題」)」のページを、生懸命説明していますか?また、顧客は真剣に読んでいますか?聞いていますか?
ほとんどの提案書が、1枚目の課題の部分を「とりあえずつけ ているだけ」になっていて、提案の時も流して説明しています。そして顧客も真剣に聞いていない・・・
そのため、提案書が課題のない解決策の提案になってしまっています。この課題のない解決策の提案は単なる商品紹介であり、売り込みにしかなりません。
担当顧客や仕事量が原因だと思っている同僚に、一生懸命に商品知識をつける方法と商品知識がつく本を紹介しているのですから・・・
検討していない(課題に気づいていない、明確でない、優先順位が低い)顧客への提案は、課題を理解させることが最も大切です。
そして、法人営業は顧客担当者個人が理解すればよいというものではありません。
顧客担当者の上司 や決裁者、商品を利用する人などの理解も得られなければなりません。顧客担当者がすべてきちんと説明し理解させてくればよいのですが、そのような顧客は少ないものです。
口頭でなく形にして提出する提案書は、直接会って説得できない顧客担当者の上司や決裁者、商品を利用する人に理解させ説得するツールになるものです。
顧客担当者に検討させるためにも、上司や決裁者、利用する人を説得し検討させるためにも・・・
1枚目を「はじめに」というタイトルの一般論や類似案件の提案書の切り貼りでなく、具体的に課題を理解させるページにしましょう。
1枚目で課題を理解させ共感させることができれば、解決策が多少ずれていたとしても、顧客は検討しようという気持ちになるものです。
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