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顧客にとっての商品の価値

機能は誰でも一緒、用途と効果は顧客によって変わるもの

2020年11月15日

提案営業や課題解決型営業は、商品の機能や強みでなく価値を提案する営業。


では、顧客にとっての商品の価値とは?



営業担当Aさんに聞いてみると・・・

「機能や強みばかりでなく顧客の価値を考えています。だから、いつも提案を考えています」



ある日、Aさんがオフィス家具メーカー○○社に訪問する前に上司のBさんと訪問前の打合せをしていました。


上司Bさん

「〇〇社にどの商品を紹介するの?」


営業担当Aさん

「最近テレワークを進めている会社が多いので、自宅にも設置できる小型プリンターを紹介しようと思っています」


Bさん

「なるほど、たしかに引き合いも増えているからね」

「ところで、〇〇社にとって小型プリンターの価値は何?」


Aさん

「小さくて狭いところでも置けるプリンターなので社員に配布して自宅に設置できることです」

「社員が自宅でも印刷できるのでテレワークを進められること」

「つまり、社員の自宅に設置してテレワークを進められることです」



そして、お客さんに訪問しAさんが考えた価値を説明しました。


しかし、お客さんは

「当社はすでにテレワークを進めていて、1週間のうち半分は在宅勤務にしていますが、半分は出社していて印刷しているので必要ないです」


せっかく機能や強みばかりでなく価値を考えて説明したのに、お客さんは「必要ないです」


はたして、「社員の自宅に設置してテレワークを進められること」は〇〇社にとっての価値なのでしょうか?



○○社について調べてみると・・・


・1週間のうち半分は在宅勤務、半分は出社させている

・オフィス家具を売るだけでなくレイアウトや働く環境まで提案している

・提案はコンサルティング部が作成して営業部が提案している

・オフィス家具だけでなくレイアウトや働く環境も組み込んだ複雑な提案をしている

・withコロナにより事務所のレイアウトや働く環境の見直しを検討している顧客が増えている

・競合の△△社や□□社も同様にレイアウトや働く環境の提案を強化している



ここで問題です。

○○社にとって自宅に設置できる小型プリンターの価値は?



Aさんは「社員の自宅に設置してテレワークを進められること」と考えましたが、すでに「1週間のうち半分は在宅勤務、半分は出社」とテレワークが進んでいます。


つまり、Aさんが考えたことは顧客(○○社)にとっての価値ではないということです。


調べた情報から○○社の価値を考えてみると・・・


「会社以外に自宅でも印刷できる」ことで

「コンサルティング部が直前に修正しても、営業部がすぐに提案書を印刷し顧客に提案できる」

その結果、

「複雑な提案の精度を上げることができ、競合の△△社や□□社とのコンペに勝つことができる」

そして、

「需要が拡大しているレイアウトの見直しや働く環境に対し事業を拡大できる」


つまり、〇〇社にとっての価値は「直前に修正してもすぐに顧客に提案でき、複雑な提案の精度を上げることで競合他社に先行して需要が拡大しているレイアウトの見直しや働く環境に対し事業を拡大できる」ことです。



顧客にとっての商品の価値を考えるプロセス

「機能や強み」→「用途」→「効果」


「機能や強み」は、

本来備えている働き。全体を構成する個々の部分が果たしている固有の役割。また、そうした働きをなすこと。※大辞泉引用

つまり、商品によって一般的にできること。

「会社以外に自宅でも印刷できる」


「用途」は、「機能」によって顧客がすることやできること

「コンサルティング部が直前で修正しても、営業部がすぐに提案書を印刷し顧客に提案できる」


「効果」は、「用途」によって顧客が得られるメリットや利益

「提案の精度を上げることができ、競合の△△社や□□社とのコンペに勝つことができる」「需要が拡大しているレイアウトの見直しや働く環境に対し事業を拡大できる」


顧客にとっての商品の価値とは、「機能や強み」ではなく「用途」と「効果」です。



顧客にとっての価値を考えるためのPOINT

「機能は誰でも一緒、用途と効果は顧客によって変わるもの」


「用途」は、顧客がすることやできることです。

商品によって顧客がすることやできることは顧客によって変わります。


「効果」は、顧客が得られるメリットや利益です。

このメリットや利益も顧客によって変わります。


ということは、どの顧客にも当てはまるものであれば顧客にとっての「用途」「効果」ではありません。


「社員の自宅に設置してテレワークを進められること」や「会社以外に自宅でも印刷できる」は、どの顧客にも当てはまるものです。

つまり、商品のよって一般的にできることである「機能」。


しかし、「コンサルティング部が直前に修正しても、営業部がすぐに提案書を印刷し顧客に提案できる」や「需要が拡大しているレイアウトの見直しや働く環境に対し事業を拡大できる」は、どの顧客にも当てはまるものではありません。

つまり、顧客によって変わるものである「用途」と「効果」。


この顧客によって変わる「直前に修正してもすぐに提案できる」という「用途」と「レイアウトの見直しや働く環境に対し事業を拡大できる」という「効果」が顧客にとっての価値なのです。



市場環境の変化や高度化が進んでいる今日、顧客の戦略や事業、業務が、複雑になり多様化しています。

すると、顧客の課題も顧客によって異なり、同じ商品でも顧客がすることやできること、求められるメリットや利益も顧客によって異なります。


顧客にとっての価値を考えるときは、顧客ごとに「用途」と「効果」を考えなくてはならないのです。



提案営業や課題解決型営業は、顧客ごとに異なる課題に対して顧客ごとに異なる価値を提案する営業です。


この提案営業や課題解決型営業と商品案内営業の線引きは、どの顧客にも当てはまる「誰でも一緒という機能」を考え説明しているか、「顧客によって変わる用途と効果」を考え説明しているかです。


みなさんが考えた顧客にとっての価値は「用途」が誰でも一緒になっていませんか?

考えた「用途」が他のお客さんにも当てはまるものだったら、それは「用途」ではなく「機能」です。

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