顧客を想像する方法
現場の状況や課題は7つの要素をひとつずつ想像する
2023年8月15日
積極的にお客さんの課題と提案を考えて案件を獲得しようと仮説提案を進めている営業が増えてきています。
しかし、なかなか考えられない。
一生懸命にお客さんの経営課題や戦略、事業内容を調べても課題を考えられない。
そのため提案もただの一般論になってしまう。
WEB会議システムの営業担当Aさんがオフィス家具メーカーのセントカンパニーに対する仮説提案書を作っていました。
セントカンパニーの経営課題を調べてみると・・・
「従来のオフィス家具の販売ビジネスから働き方を提案するビジネスへ変革する」
「営業と設計の連携を強化して提案力を強化していく」
「事務所と自宅、外出先など多様な働き方を進めて社員の満足度を向上する」
そこでAさんは・・・
自宅や外出先での仕事も増えていくから、いつも事務所でミーティングを行うというわけにはいかなくなるだろう。
そして、営業と設計の連携を強化していくからミーティングや情報共有も増えていくだろう。
Aさんが考えた課題は
営業と設計の間で事務所や自宅、外出先など異なる環境でミーティングを行う必要がある。
提案は
WEB会議システムを導入すれば遠隔でのミーティングを促進できる。
そして、仮説提案書を作成しました。
完成した後に読み返してみると・・・
「あれっ、前回の商品紹介で説明したことと同じような気がする」
前回の訪問のときに商品について説明したことは、
・働き方改革を進めているため営業と設計が異なる環境でミーティングを行う必要がある。
・WEB会議を導入すれば遠隔でのミーティングを促進できる。
「まったく一緒だ!」
「これじゃお客さんに「前回も聞きました」と言われて信用をなくしてしまうかもしれない」
そこで、上司Bさんに相談しました。
Aさん
「仮説提案書を作ったんですが、前回の訪問のときに説明したことと同じになってしまうんですが」
Bさん
「なんで?どんな仮説提案書を作ったの?説明してみな」
Aさん
「働き方改革を進めているため営業と設計が異なる環境でミーティングを行う必要がある」
「WEB会議を導入すれば遠隔でのミーティングを促進できる」
Bさん
「それ、ただの一般論だろう」
「お客さんのことを具体的に想像しながら作らないと」
Aさん
「想像って?」
Bさん
「セントカンパニーはオフィス家具メーカーだろう、オフィス家具メーカーのことを想像しないと」
「営業と設計が異なる環境でミーティングを行う必要があるっていうけど、例えばどういうこと?」
Aさん
「うーん・・・」
「オフィス家具メーカーで働いたことないから知らないし、想像できないですよ」
Bさん
「間違っていてもいいから想像してみろよ」
「じゃあ、ミーティングっていうけどオフィス家具メーカーの営業と設計ってどんなミーティングしてると思う?」
Aさん
「提案書の作成かな」
Bさん
「たしかに提案書のことでミーティングしてるかもな」
「そうしたら、オフィス家具メーカーの提案ってどんな提案?」
Aさん
「オフィス家具のことでしょ、デスクとか椅子、あとキャビネとかパーテーションもあるか」
Bさん
「たしかに、そうしたら提案書にどんな情報が書いてあるかな?」
Aさん
「写真があるかな、あとはサイズや素材も書いてあるかも」
Bさん
「あと、働き方を提案するって言っているけど、どんなことを提案していると思う?」
Aさん
「在宅勤務が増えているでしょうから、自宅での働き方とか」
Bさん
「なるほど、自宅での働き方って提案書にどんな情報を書いていそう?」
Aさん
「自宅用の家具・・・、例えば自宅用のデスクや椅子とか、あとパソコンも提案しているかも」
Bさん
「オフィスの働き方ではどんな提案をしていると思う?」
Aさん
「オフィスのレイアウトとか」
Bさん
「レイアウトを提案するのにどんな情報が必要?」
Aさん
「提案相手の会社のフロア図面」
Bさん
「フロア図面ってどうやって手に入れるの?」
Aさん
「営業がお客さんからもらっていると思います」
Bさん
「なるほど」
「あと、 営業と設計の異なる環境ってどんな環境?」
Aさん
「設計が事務所か自宅にいて、営業が外出していると思います」
Bさん
「外出しているって例えばどういう場所?」
Aさん
「静かな場所・・・例えば、静かな喫茶店とか、そういえばお客さんがサテライトオフィスと契約しているって言っていました」
Bさん
「なるほど」
「じゃあ、どんなミーティングをしていると思う?」
Aさん
「サテライトオフィスにいる営業がお客さんからもらったフロア図面を共有して、あと事務所か自宅にいる設計が持っているオフィス家具の写真とサイズや素材などの情報を記載した資料、それに企画したレイアウト図面を共有してミーティングをしているんじゃないかな」
「そして、レイアウト図面に営業と設計が話し合って修正したりしていると思います」
そのあとAさんが作った仮説提案書は、
セントカンパニーの課題
事務所と自宅、サテライトオフィスの間で営業と設計がフロア図面、オフィス家具の写真とサイズや素材の資料、レイアウト図面を共有しながら提案書を作成したり修正する必要がある。
セントカンパニーへの提案
・細かな図面やデータを共有し共同で修正できるよう画面拡大機能とコメント機能が充実したWEB会議システムの導入
・オフィス家具の資料やレイアウト図面を管理している社内システムとWEB会議システムのシームレスな連携
この2つにより営業と設計がストレスなくミーティングを行える環境を実現することで提案の精度とスピードの向上を実現する。
みなさん、Aさんが作った2つの仮説提案書を比べてみてください。
セントカンパニーの課題
(相談前)
営業と設計の間で事務所や自宅、外出先など異なる環境でミーティングを行う必要がある。
(相談後)
事務所と自宅、サテライトオフィスの間で営業と設計がフロア図面、オフィス家具の写真とサイズや素材の資料、レイアウト図面を共有しながら提案書を作成したり修正する必要がある。
相談前の課題に対し提案を考えると・・・
「WEB会議システムを導入すれば遠隔でのミーティングを促進できる」と一般論にしかなりません。
しかし、相談後の課題に対し提案を考えると・・・
・細かな図面やデータを共有し共同で修正できるよう画面拡大機能とコメント機能が充実したWEB会議システムの導入
・オフィス家具の資料やレイアウト図面を管理している社内システムとWEB会議システムのシームレスな連携
・この2つにより営業と設計がストレスなくミーティングを行える環境を実現することで提案の精度とスピードの向上を実現する。
なぜ、この差がうまれたのか?
相談後のAさんが、上司Bさんの指導によりオフィス家具メーカーの営業と設計のミーティングを具体的に想像したからです。
Aさんは、はじめに「営業と設計が異なる環境でミーティングを行う必要があるっていうけど、例えばどういうこと?」というBさんの質問に対し「知らないし、想像できないですよ」と答えています。
はじめは「営業と設計が異なる環境でミーティングを行う必要がある」という情報全体に対し漠然ととらえ考えようとしたから想像できなかったのです。
しかし、「どんなミーティング?」「どんな提案?」「どんな情報?」「どういう場所?」とひとつひとつを考えると想像できました。
自ら課題と提案を考える仮説提案や課題解決型営業
自らお客さんの組織や予算から受注を獲得する方法を考える戦略営業
要求されて行う営業と異なり、この仮説提案や課題解決型営業、戦略営業ではお客さんのことを具体的に想像する必要があります。
働いたことも見たこともないお客さんの現場の状況や課題を具体的に・・・
そのためには、全体を漠然ととらえ考えるのではなく、ひとつひとつを具体的に想像することが大切です。
・どんな商品?
・どんな人?
・どんな情報や資料?
・どんな場所?
・ ・・・・・
「現場を想像するための7つの要素」
Product:どんな商品、サービス
Work:どんな仕事内容、方法、工程
People:どんな人、組織、どんな人と、どんな人に
Information:どんな情報や資料、データ
Communication:どんな連携、どんなコミュニケーション
Management:どんな管理方法、どんな計画管理
Environment:どんな環境、設備
この7つの要素に対しひとつずつ想像してみてください。
すると、お客さんの実態に合った具体的な現場の状況や課題を考えることができます。
仮説提案や課題解決型営業、戦略営業は一般論では通用しません。
「どんな商品?」「どんな人?」「どんな情報や資料?」「どんな場所?」
ひとつずつ具体的に想像しましょう。
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