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営業の問題点を探す方法

悪い場所を探す情報と原因と問題点を探す情報

2020年1月15日

営業の指導は難しい・・・


たくさん訪問すれば売上も上がるという時代であれば良いのですが、今日の営業はそう単純ではありません。

ターゲットや商談、提案、交渉、戦略が売上を左右する・・・


そして、その複雑で難しい営業に対する指導は、

製造や企画、人事や財務など他の仕事の指導と異なり目の前で見ながらできない・・

担当者が一人で顧客に訪問することが多く、現場を見ていない状況で行わなければならない非常に難しい仕事です。



12月下旬の営業会議でマネージャーAさんが、営業担当Bさんに指導していました。

期末まであと3か月・・・


営業担当Bさんは会議前に作成した月報を説明。


月報には・・・

・受注目標に対する現在の実績

・計画に対する営業進捗として、商談件数、提案件数、見積件数、受注件数

・見込み案件の一覧として、ABCランク別の見込み案件と受注予想時期

・目標を達成するための計画とアクション


営業担当Bさんは現在、

受注金額は、1億円の目標に対して6,000万円

提案件数は、10件の目標に対して5件

商談件数は、20件の目標に対して25件

今のところ期末までに受注できそうな見込み案件がない

受注スパンを考えると2月中旬までに提案できれば受注金額を伸ばすことができる



みなさんなら、営業担当Bさんにどのように指導しますか?

マネージャーAさんになったつもりで考えてみてください。



マネージャーAさん

「あと3か月で残り4,000万円、どうするんだ?」


営業担当Bさん

「見込み案件が厳しいので、上期に訪問した顧客に再度訪問してみます」


マネージャーAさん

「再度訪問して達成するの?」

「そもそも商談しても提案になっていないじゃないか」


営業担当Bさん

「ニーズがないお客さんばかりで・・・」


マネージャーAさん

「ターゲットが良くないんじゃないか?」

「もっと大手企業にアプローチしないと。中小企業だと予算的に難しいだろう」


営業担当Bさん

「わかりました」

「あと3か月なので今まで訪問したお客さんの中で大手企業を中心にあたってみます」



それから3か月が経ち3月末・・・

受注金額は変わらず6,000万円のまま、提案も獲得できませんでした。



Aさんの指導の何が良くなかったのでしょうか?


提案件数が、目標10件に対して5件

商談件数が、目標20件に対して25件


Bさんは、一生懸命に訪問し商談しているけれど提案に至っていない・・・

Aさんの指導のとおり、あきらかに商談、またはその前のプロセスに問題があるのでしょう。



では、商談、またはその前のプロセスの何が問題なのでしょうか?


Aさんは、ターゲットに問題があると判断して指導しています。

しかし、商品説明やヒアリングに問題があったらどうなるでしょう。


Bさんは、「ニーズがないお客さんばかり」と言っていますが・・・

・商品の強みや価値を理解させるような説明ができていない

・単純に必要か、購入を検討できるか聞いているばかりで、課題やニーズを聞こうとしていない

・顧客に信頼されるような商談ができていない

・ ・・・・・


これでは、いくらターゲットを変えても無駄。

大手企業にターゲットを変えても受注を獲得できないでしょう。



では、なぜAさんはターゲットに問題があると判断してしまったのでしょう?


それは、月報の説明で聞いた、営業のプロセスや件数といった進捗情報、定量的な情報しか見ていないからです。


営業は、様々な要因が複雑に絡み合って影響する仕事です。

説明方法、ヒアリングの内容や聞き方、顧客の状況や考え、顧客担当者の立場や組織内での力関係、競合他社の商品や営業方法、顧客との関係・・・


問題点は、これらの様々な要因(定性的な情報)の中にかくれているのです。

営業のプロセスや件数といった進捗情報、定量的な情報の中にはありません。


Aさんは、この定性的な情報である営業活動の中身を見て問題点を探そうとせず、進捗情報、定量的な情報だけを見て、自分の経験や感覚から判断したため「もっと大手企業にアプローチしないと」と当たっているかわからない指導をしたのです。



営業活動の問題点を見つけるためには2段階が必要です。


①.営業のプロセスや件数といった「進捗情報、定量的な情報」から悪い場所を探す

②.悪い場所に対して「定性的な情報」から問題点を探す


営業のプロセスや件数から「どの辺が悪そうか」という悪い場所のあたりをつけ、その悪い場所に対して、説明方法や顧客の状況、顧客担当者の立場や競合他社など営業活動の中身を多角的に見て「どこを改善すべきか」という問題点を探すのです。



問題点を探すために「定性的な情報」を把握するためには以下の4つをチェックする必要があります。


・顧客の部署、役職、組織内における立ち位置

・競合状況

・説明、提案内容と方法

・収集できた情報


この4つの中で最も重要なものが「収集できた情報」です。


収集できた情報には、商談や提案、交渉など顧客に対する営業活動のすべてが表れます。


「どのような情報を収集できたか」

「顧客担当者がどのような情報を話してくれたか」


この収集できた情報から

「どのような内容をどのように説明しているか」

「どのような内容をどのようにヒアリングしているか」

「会話の内容やコミュニケーションの取り方」

「顧客との関係性」

といった担当者の営業方法を想像するのです。


そして、この想像した営業方法と「顧客の部署、役職、組織内における立ち位置」「競合状況」「説明、提案内容と方法」を比較してください。

すると「顧客の状況や考え」「顧客担当者の立場や組織内での力関係」「競合に対する優劣」「顧客が話してくれた情報の客観性や信ぴょう性」などを考えることができます。



営業の指導では、

これらを想像し考え、担当者の営業活動の中身を把握してください。

そして、営業活動の中身から問題点を探してください。


ターゲットについて考えるのはその後です。

いくら適正なターゲットに訪問できても営業方法が間違えていたら成果は出ません。



たくさん訪問すれば売上も上がるという時代であれば、営業のプロセスや件数だけを見て指導しても売上が上がるかもしれません。

しかし、ターゲットや商談、提案、交渉、戦略が売上を左右する今日の難しい営業では、その中身から問題点を探し指導しなくてはなりません。


売上を上げさせたいのであれば、

「進捗情報、定量的な情報」から悪い場所を探した後に、「定性的な情報」から悪い場所の原因と問題点を探しましょう。


そして、そのために営業会議の資料や営業報告書のフォーマットも見直してみてください。


営業活動の進捗や見込み案件の一覧だけ見ても問題点はわかりません。

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