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相談関係の5つの要件「悩みの共感」②

課題や原因を聞くよりも背景について会話し共感する

2022年1月15日

お客さんと相談される関係になりたい・・・

悩みや課題を言ってもらいたい、意見や提案、アドバイスを受け入れてもらいたい。


もっと頼られたい・・・


しかし、現実は、

悩みや課題を相談されるというより決まったことを要求されるばかり。

意見やアドバイスも受け入れてもらえないし、交渉も無理を要求されたり押し付けられたり。



お客さんの悩みや課題とはどのようなものなのでしょうか?

頼られ、悩みを言ってもらえ、意見やアドバイスを受け入れてもらえる相談関係とはどのようなものでしょうか?


今回は下のダウンロード資料の「Aさんの悩み」と一緒に読んでください。



Aさんは家を買って引っ越しをしようか悩んでいます。


・在宅勤務が増えて自宅で仕事ができる場所が欲しい

・高齢の両親の世話をするため実家の近くに引っ越したい

・妻が子供の転校を嫌がり引っ越しを嫌がるかも

・転職して2年目で家のローンを抱えることに不安

・今引っ越さなかったら子供の学校ために実家の近くに引っ越すことは難しくなる


友人のBさんが相談にのっていました。

※ダウンロード資料「Aさんの悩み」①・・・Bさんの会話


Aさん

「家を買って引っ越ししようか悩んでいるんだ」


Bさん

「そうなんだ、なんで?」


Aさん

「実家の近くに引っ越した方がいいのかなって思って」


Bさん

「そうなんだ、両親の面倒とか?」


Aさん

「両親が高齢になってきたので様子見に行ってあげないといけないから」


Bさん

「そうだよな、両親が高齢だと様子見に行ってあげないといけないよな、家を買って引っ越してあげた方がいいんじゃない」

「一緒に探してやろうか?俺、不動産屋だし、藤沢あたりの物件も扱っているからよくわかるよ」

「どういう物件がいいの?」


Aさん

「まだ、引っ越すって決めてないからもうちょっと考えてみるよ」


Bさん

「決めたら言ってくれよ、探すの付き合ってあげるから」



Bさんは、Aさんの悩みを聞いている・・・「実家の近くに引っ越した方がいいのかな」

悩みだけでなく原因も聞いている・・・「両親が高齢になってきたので様子見に行ってあげないといけない」

そして、アドバイスもしている・・・「家を買って引っ越してあげた方がいいんじゃない」

それに、情報も提供している・・・「俺、不動産屋だし、藤沢あたりの物件も扱っているからよくわかるよ」



この会話をお客さんと営業担当者の会話に当てはめてみましょう。

お客さんが営業社員に配布するノートパソコンを購入しようか悩んでいました。



お客さん

「今、ノートパソコンの購入を検討しているんです」


営業担当者

「そうなんですか、なぜご検討されているんですか?」


お客さん

「営業社員の外出が多いので社外で仕事ができるようにしてあげる必要があるかと思って」


営業担当者

「そうなんですか、社外で仕事って商談議事録とか日報の作成ですか?」


お客さん

「そうなんです、会社に戻ってから商談議事録とか日報を作成していて残業が多くなってしまっているんです」


営業担当者

「そうですよね、営業は外出が多いから戻ってから事務作業があると残業が多くなりますよね」

「働き方改革も進めているでしょうから配布してあげた方がいいですね」

「当社はノートパソコンも豊富に扱っていて軽くて営業社員が使いやすいノートパソコンもあるので、ご紹介させていただきます」

「ご要望や条件など詳しくお聞きできますか?」


お客さん

「まだ購入すると決定していないので、もう少し社内で検討してみます」


営業担当者

「お決めいただけましたらぜひご連絡ください。御社に合うノートパソコンをご提案させていただきますので」



営業で非常によく見るシーンです。

みなさんはこのような営業をしていませんか?


営業担当者は、お客さんの課題を聞いている・・・「営業社員の外出が多いので社外で仕事ができるようにしてあげる必要がある」

課題だけでなく原因も聞いている・・・「会社に戻ってから商談議事録とか日報を作成していて残業が多くなってしまっている」

そして、アドバイスもしている・・・「働き方改革も進めているでしょうから配布してあげた方がいいですね」

それに、情報も提供している・・・「軽くて営業社員が使いやすいノートパソコンもある」


でも、アドバイスや提案を受け入れてもらえていない・・・

Bさんは「まだ、引っ越すって決めてないからもうちょっと考えてみるよ」と言われ、

営業担当者は「まだ購入すると決定していないので、もう少し社内で検討してみます」と言われてしまっています。



Bさんと営業担当者は相談にのろうとしていたのでしょうか?



Aさんの相談に友人のCさんがのっていました。

※ダウンロード資料「Aさんの悩み」②・・・Cさんの会話


Aさん

「家を買って引っ越ししようか悩んでいるんだ」


Cさん

「そうなんだ、なんで?」


Aさん

「実家の近くに引っ越した方がいいのかなって思って」


Cさん

「そうなんだ、両親の面倒とか?」


Aさん

「両親が高齢になってきたので様子見に行ってあげないといけないから」


Cさん

「様子を見に行ってあげないといけないってどこか悪いの?」


Aさん

「母は元気なんだけど、父の足が悪くて」

「母も元気とはいっても70過ぎてるから足の悪い父の世話は大変そうで」


Cさん

「そうなんだ、足が悪いって歩けるの?」


Aさん

「車いすとかではないから歩けるらしいけど少し歩くとすぐに痛くなるみたい」

「階段とかは母がついていかないと危ないらしくて」


Cさん

「そうしたら、お父さんは出かけるのが嫌になるんじゃない?」

「年とってずっと家にいて出かけなくなるのもよくないからな」

「お前、一人っ子だから面倒見てやらないといけないだろう」


Aさん

「そうなんだよ、母は車の運転ができないから、たまに行って車で連れ出してあげないといけなくて」


Cさん

「でも、引っ越すって言っても、お前んとこの子供まだ小学生だろう」

「奥さんが引っ越しを嫌がるんじゃない?大丈夫なの?」


Aさん

「そうなんだよ、そこが難しくて」

「子供は無邪気だから引っ越し、新しいお家って言ったら喜ぶかもしれないけど、うちの妻は転校させるの嫌がるから」


Cさん

「でも、藤沢だと海も自然もあるから子育てにはいいんじゃないの?」


Aさん

「いや、うちの妻は自分が私立で育ったから中学も高校も都内の私立に通わせたいみたいで」


Cさん

「わかる、うちもそう」

「でも、子供の転校を嫌がって、中学、高校と都内の私立に通わせたいって言ってたら引っ越しできるのは10年以上後だろ」

「奥さんを説得しないと」


Aさん

「そうだよな・・・」


Cさん

「それに、お前のところ子供が二人もいるからそのうち引っ越さなくちゃいけなくなるだろ?」

「子供が中学に入っちゃうとますます中野から離れられなくなるだろう」


Aさん

「たしかに・・・、大きくなってきたら兄弟で別々の部屋にしてあげないといけないから今の家じゃ無理だよな」

「いずれにしろ引っ越さないといけなくなる」

「中野も嫌いじゃないけど、育った街だから藤沢に戻りたいんだよな」


Cさん

「そうしたら、子供が小さい今のうちの方がいいんじゃない?」


Aさん

「そうだな、妻と話してみるよ」


Cさん

「藤沢から通える私立の中学、高校で奥さんが気に入りそうな学校ってないのかな」

「ちょっと探してみようか?」


Aさん

「いいの?Cさんも忙しいのに悪いな」



Aさんは、Cさんのアドバイスを受け入れて奥さんを説得しようと考えています。

Bさんのときは「引っ越すって決めてないからもうちょっと考えてみるよ」と言っていたのに。



BさんとCさんの違いは?



Bさんは、悩みと原因を聞いてアドバイスしています。

Cさんは悩みと原因以外にその背景について会話しています。

「父親の足の容態」「世話をしている母親の苦労」「一人っ子という家族構成」


そして、

Bさんは、「両親が高齢になってきたので様子を見に行ってあげないといけない」という悩みの原因しか話していません。

Cさんは、悩みの原因以外に、「奥さんが引っ越しを嫌がる」という家を買って引っ越しをすることへの障壁や「妻は自分が私立で育ったから中学も高校も都内の私立に通わせたい」という背景について会話しています。


また、Cさんは、「引っ越しできるのは10年以上後」「中野から離れられなくなる」という引っ越さなかったときのリスクや「育った街だから藤沢に戻りたい」という背景についても会話しています。



課題(悩み)をとりまく情報には大きく3つの方向性があります。


・課題の原因

・課題解決の障壁や解決したときの影響やリスク

・解決しないときのリスク


ダウンロード資料「Aさんの悩み」②では、

青い枠と緑の枠が「課題の原因」

紫色の枠が「課課題解決の障壁や解決したときの影響やリスク」

黄色い枠が「解決しないときのリスク」



そして、課題(悩み)の会話は下の3段階で進めると相談しやすくなります。


①.課題と課題の原因を聞く

「実家の近くに引っ越した方がいいのか」「両親が高齢になってきたので様子見に行ってあげないといけない」


②.背景について会話し共感する

「父親の足の容態」「世話をしている母親の苦労」「一人っ子という家族構成」


③.課題に対しアドバイスする

「奥さんを説得しないと」「子供が小さい今のうちの方がいい」


相談にのるときに一番大切なことが②の背景について会話し共感することです。

背景について会話し共感すると、自然に③の課題や解決策を一緒に考える流れになっていきます。



この3つの方向性と課題と原因、背景がお客さんの課題を構成する情報であり、課題の全体像です。

そしてこの全体像を共有することが課題を共有したことになり相談関係を作りやすくなるのです。

この全体像を共有し共感することが相談関係の5つの要件の1つ「悩みの共感」。


お客さんと頼られ相談される関係になりたければ、課題の原因だけでなく、

「課題解決の障壁や解決したときの影響やリスク」や「解決しないときのリスク」についても会話し共有しましょう。

そして、その背景について会話し共感しましょう。


課題とその原因だけ聞いても、お客さんに課題を理解している営業とは思われないのです。





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