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「なぜ?なぜ?」による指導

対策や指導には「なぜ?なぜ?」による原因追及が必要

2017年2月15日

ある営業会議でのマネージャーAさんと営業担当Bさんの会話です。



営業担当Bさん

「今月は受注をとれませんでした」


マネージャーAさん

「なぜ?」


営業担当Bさん

「期待していた〇社が失注になってしまったからです」


マネージャーAさん

「なぜ?」


営業担当Bさん

「大丈夫だって言われてたんですが、予算をとれないみたいです」


マネージャーAさん

「大丈夫って言われてたのに、なぜ?」


営業担当Bさん

「新規事業が伸びなくて業績が良くないので予算をとれないようです」


マネージャーAさん

「前回の商談では大丈夫って言われてたのに、なぜ?」


営業担当Bさん

「〇社の部長に予算をとれないと言われたみたいで」


マネージャーAさん

「なぜ?」


営業担当Bさん

「業績が良くないみたいで」


マネージャーAさん

「なぜ?」


営業担当Bさん

「新規事業が伸びてないみたいで」


マネージャーAさん

「じゃあ、どうするんだ?先月も受注をとれていないのに」


営業担当Bさん

「他の顧客にあたります」


マネージャーAさん

「しょうかないなあ、来月は他の顧客にあたってちゃんと受注とれよ」


営業会議をみているとこのようなシーンが多い・・・



ここで、AさんとBさんのやりとりの問題点をいくつか考えてみてください。



このやりとりには問題点が3つあります。


1つ目

はじめは、「今月の受注がとれなかった」ことの原因追及だったはずが、後半は「〇社が予算をとれなかった」ことの原因追及になっています。


2つ目

「新規事業が伸びなくて業績が良くないので予算をとれない」ことの原因を追及していたのに、後半でまた、「業績が良くないみたいで」「新規事業が伸びてないみたいで」と話が回っていて進んでいません。


3つ目

原因がわからないまま対策を指示しています。受注をとれなかった原因がわからないのに「他の顧客にあたります」という対策で来月に受注をとれるのでしょうか?



ただ、このケースはまだ良い方だと思います。

Aさんは「なぜ?なぜ?」を繰り返し原因追究しようとしていますが、一般的には前述の「大丈夫だって言われてたんですが、予算をとれないみたいです」ぐらいで、原因がわからないまま「どうするんだ」「他の顧客にあたれ」と対策の話に入ってしまっているケースの方が多いのです。

また「なぜ?なぜ?」は部下に嫌がられる、モチベーションが下がるという理由で、原因追及しないケースも多いのです。



営業という仕事は、計画通りにいかない仕事です。売上を上げるためには計画通りにいかないときに適切な対策をたてることが大切で、その対策には原因の把握が必要です。


そのため上司が部下に指導するときも、営業担当者が自分で対策を考えるときも「なぜ?なぜ?」が必要です。



では、どうしたら「なぜ?なぜ?」をきちんと行えるのでしょうか?



営業における「なぜ?なぜ?」には以下4つの傾向があります。


(1).「なぜ?なぜ?」を繰り返しているときにずれた回答をすると、そのずれた回答に対し「なぜ?なぜ?」を進めてしまうため目的からそれやすい。


(2).「なぜ?なぜ?」を繰り返し何度も何度も考えていると、思考が混乱しやすい、迷走しやすい。


(3).経験で仕事を覚えてきた営業は主観的な先入観を持ってしまい、データや情報から客観的な判断ができず純粋に原因追及しにくい。


(4).「なぜ?なぜ?」は相手にとって、詰められている、非難されているという感覚になってしまう。



そのため、「なぜ?なぜ?」による指導には5つのPOINTがあります。


➀.必要性を相手に理解させる。

事前に、対策を考えることの大切さ、対策には「なぜ?なぜ?」による原因追及が必要であることを理解させる。


➁.目的を明確にする。

はじめに、何のために「なぜ?なぜ?」をするのかを明確にし、相手と共有する。


➂.軌道修正しながら目的達成に誘導する。

「なぜ?なぜ?」の途中で目的からずれたり、迷走したら軌道修正してあげながら目的達成に誘導する。


➃.共感をはさむ、一緒に考えるというスタンス。

詰められているという感覚を解消するために、共感する言葉をはさんだり、一緒に考えるというスタンスで進める。


➄.客観的なデータや情報から疑問を持たせる。

主観的な先入観による「なぜ?なぜ?」の回答に対し、客観的なデータや情報から疑問を持たせる。



たとえば、前述の場合・・・


営業担当Bさん

「今月は受注をとれませんでした」


マネージャーAさん

「今月のことはしょうがないけど、来月の対策を考えないと。そのためになぜ受注をとれなかったのか原因を考えよう」

(POINT➁目的を明確にする)

「なぜ、受注がとれなかったの?」


営業担当Bさん

「期待していた〇社が失注になってしまったからです」


マネージャーAさん

「そうなんだ、A社に期待していたのに厳しいな」

(POINT➃共感をはさむ)

「なぜ、失注になったの?」


営業担当Bさん

「大丈夫だって言われてたんですが、予算をとれないみたいです」


マネージャーAさん

「そっか、〇社はしょうがないとしても、なぜ、〇社が失注になっただけで今月の受注をとれなかったの?」

(POINT➂軌道修正しながら目的達成に誘導する)


営業担当Bさん

「他の見込み顧客がなかったので」


マネージャーAさん

「見込み顧客が〇社だけだと受注目標は厳しいよな。なぜ、見込み顧客がないの?」


営業担当Bさん

「忙しくて新規顧客にアプローチできてないからです。だから事務作業を減らしてもらわないと」


マネージャーAさん

「本当に?新規商談は昨年と比較して増えているよ。事務作業の問題じゃないでしょ?」

(POINT➄客観的なデータや情報から疑問を持たせる)


営業担当Bさん

「たしかに、新規商談は増えているんですが、ほとんど見込みにならなくて」


マネージャーAさん

「たしかに、新規商談は増えているのに何が問題なんだろう?」

「Cさんは見込み案件が増えているのに何か違うの?」

(POINT➃一緒に考えるというスタンス)


営業担当Bさん

「商品に興味を持ってもらえるんですが、今は必要ないから来期と言われてしまうんです」


マネージャーAさん

「お客さんの課題は聞いているの?」


営業担当Bさん

「聞いているんですけど教えてくれないんです」


マネージャーAさん

「どうやって聞いてる?」


営業担当Bさん

「商品を説明した後に、困ってないか聞いてるんですけど」


マネージャーAさん

「それは、聞き方に問題があるんじゃないの?」「Cさんはどうやって聞いてる?」

・・・・・


マネージャーAさん

「来月はCさんの聞き方を真似してロールプレイングをやってから商談に行くように」



対策は「受注をとれなかった」「失注になった」「見込み顧客がない」という事実からは考えられません。

事実の原因である「お客さんの課題を聞けない」「聞き方に問題がある」という原因から考えられるのです。


そのためには「なぜ?なぜ?」が必要です。

ぜひ、5つのPOINTを参考に取り組んでみてください。


原因が明確になると対策も明確になります。対策が明確になる(するべきことが明確になる)と営業成果を上げられるだけでなく、不安が解消しモチベーションも上がるのです。

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