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否定的、苦手な顧客への対応

売る側と買う側の関係を解消し営業しやすい関係を

2017年1月13日

今回は、営業活動でよく苦労する否定的、苦手な顧客への対応についてのお話です。


営業担当Aさん

「当社の商品は社員の方が使いやすいのが強みで・・・」

顧客Bさん

「他の商品も今は使いやすいからね」


営業担当Cさん

「〇〇業界の情報管理は大変なので当社のシステムで・・・」

顧客Dさん

「うちはちゃんとやっているから必要ない」


と顧客に商品を否定される、はじめから提案を断られる・・・


営業担当Eさん

「御社は、どのようなサービスを使っているんですか?」

顧客Fさん

「いろいろ使っています」


と質問してもはぐらかされる、教えてもらえない・・・


営業しているとこのようなシーンがけっこうあります。

否定的な顧客、質問しても答えてくれない顧客に苦労する、苦労しても買ってもらえるなら良いでのですが、ほとんどは買ってもらえない・・・



なぜ、このような返答や反応になるのでしょう?


たしかに、顧客が偏屈だったり、そもそも相性が合わないということもあります。

しかし、最も多い原因が顧客との商談や提案の場での関係です。


顧客と営業の関係が・・・

・上下の関係(業者扱い)になっている

・売る側と買う側の関係(売る側と買う側という意識の関係)になっている


自社の強みを説明しても「他の商品も今は使いやすいからね」と聞いてくれない、状況を聞いても「いろいろ使っています」とはぐらかされる


これらは、営業と顧客が上下の関係になっているため顧客が上から目線になり、きちんと聞いてくれない、ちゃんと答えてくれないのです。

あるいは、売る側と買う側の関係になっているため、購入を検討している場合以外は、否定しないと営業されるという意識になってしまうのです。

だから、提案しても「うちはちゃんとやっているから必要ない」と否定、予定を聞いただけなのに「わからない」と答えてくれない。



みなさんはこの状況にどのように対応しているでしょうか?

よくあるパターンを3つお話しします。


よくあるパターン➀・・・めげずに一生懸命アピール、突っ込んで質問


顧客Bさん

「他の商品も今は使いやすいからね」

営業担当Aさん

「当社の場合は、他社と違ってこの部分が使いやすい・・・」


この場合、そもそも顧客が否定的なため一生懸命アピールしても受け入れられにくく、また、アピールすればするほど否定的になってしまうことも多いのです。


よくあるパターン➁・・・とりあえず合わせるがすぐ反論


顧客Dさん

「うちはちゃんとやっているから必要ない」

営業担当Cさん

「そうですか、ちゃんとされているんですね(Yes)」

「ただ、このようなシーンでは苦労するのでは?」


この場合、一旦顧客の否定的な反応に同意(Yes)してから意見(But)を言っていますが、同意(Yes)が軽いためあまり効果がなく、相手にとってはただの意見(But)になっています。


※「Yes-But話法」

相手の否定的な意見に、一旦同意(Yes)してから自分の意見(But)を言うという否定的な意見に対する応酬話法


よくあるパターン➂・・・あきらめる


顧客Fさん

「いろいろ使っています」

営業担当Eさん

「そうですか・・・」


相手の否定的な意見や教えてくれないという反応にあきらめてしまう・・・その結果、その場で営業終了。


顧客に否定される、顧客の反応が悪いときこの3つのパターンが非常に多い。

みなさんはいかがでしょう?



否定的な顧客の対応は、関係の改善からはじめる


前述したように、否定的、教えてくれないという原因の多くが顧客との関係にあります。

「上下の関係」「売る側と買う側の関係」という顧客との関係に原因であれば、まず対処しなければならないのもこの2つの関係の改善です。

この関係を改善せずに、一生懸命アピールしても、突っ込んで質問しても変わりません。


では、顧客が否定的な反応をした場合、どうしたら関係を改善できるのでしょう?

つまり、どうしたら「上下の関係」「売る側と買う側の関係」を解消できるのでしょう?


まずは、自分が「売る側」から引くことです。

つまり、相手(顧客)にとって自分が売る側の人であるという印象を解消するのです。


この「売る側」という印象を解消すると、売る、買うという意識から離れ自然な会話をしやすくなります。



売ることから引く、売る側という印象を解消するとはどういうことか?


自分は商品を売る立場ではないと思わせること。営業自らが商品を否定したり、買わなくてよいと思っているという印象を持たせることです。



先ほどの例で説明しましょう。


営業担当Cさん

「〇〇業界の情報管理は大変なので当社のシステムで・・・」

顧客Dさん

「うちはちゃんとやっているから必要ない」

のあとに・・・

「そうなんですか、そこまで対応していると必要ないかもしれませんね」

「〇〇業界は、機密情報も多いので進んでいるんですね・・・」


POINTは2つあります。

まずは、相手に「差別化できない」「必要ない」と完全に同意すること。

そして、本当にそう思っているという印象を持たせるために「差別化できない」「必要ない」理由や背景を伝えること。


この2つにより、売る側と買う側という関係を解消し、対等な1対1の会話に変え、受け入れてもらいやすい、答えてもらいやすい関係に改善するのです。



「売る側」から引いて、商品を否定、買わなくてよいと伝えた後にどうすべきか?


このままでは終わってしまいます。

ここからが重要です。顧客に理解させる流れを作らなくてはなりません。


つまり、一旦、売る側と買う側という関係を解消して受け入れてもらいやすい、答えてもらいやすい関係を構築した後に、理解させる流れを作るのです。


このPOINTは、顧客課題の背景など商品や課題、ニーズから離れた会話に移すことです。

そして、商品や課題、ニーズから離れ、売る側と買う側の関係を解消した後に理解してもらう流れを作ることです。


たとえば、先ほどの例で説明すると・・・


営業担当Cさん

「〇〇業界の情報管理は大変なので当社のシステムで・・・」

顧客Dさん

「うちはちゃんとやっているから必要ない」

営業担当Cさん

「そうなんですか、そこまで対応していると必要ないかもしれませんね」

「〇〇業界は、機密情報も多いので進んでいるんですね・・・」

「御社の場合、若い社員が多いから教育もしっかりされているんですね」


のあと、商品や課題、ニーズから離れて・・・

営業担当Cさん

「営業社員に若い人が多いとルールや管理する仕組みが必要ですしね・・・」

「営業社員は新卒が多いようですけど、毎年採用されているんですか・・・」

「御社の営業の方は広域なので直行直帰も多いようですね・・・」


そして・・・

新卒社員の状況や営業社員の仕事内容の会話をしながら、情報管理(課題やニーズ)に関する会話に戻すのです。

つまり・・・

「若い人の情報管理の教育って難しいですよね・・・」

「直行直帰だと提案書のデータや受注情報はどうしてる?・・・」

と情報管理システムのが必要だという流れを作るのです。



自分の商品を否定することはいけないこと、顧客に合わないと伝えると買ってもらえる可能性がなくなってしまうと思い、引くことができず、顧客の反応が悪いときや否定的なときでも一生懸命アピールしている営業が多く見受けられます。


しかし、ほとんどが受け入れられず終わってしまっています。

どうせ終わるのであれば、一旦「売る側」から引いてみてください。


売る側と買う側の関係を解消し、対等な1対1の関係を作ることで、顧客の状況や課題を聞きやすくし、自分の意見を言いやすくなります。

そして、そのあとに理解してもらえる提案のチャンスが訪れるのです。

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