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訪問商談とオンライン商談の違い

表情がわかりにくいオンライン商談は顧客を想像して資料を準備

2020年6月15日

在宅勤務や外出自粛によりWEB会議システムを使った商談や打ち合わせが増えてきました。

顧客に訪問して商談ができず苦労している営業の人も多いのではないでしょうか?


オンライン商談を経験したことのある人は、訪問営業と違ったやりにくさを感じることもあったことでしょう。


今回は、営業の立場ではなく、顧客の立場でオンライン商談を考えてみましょう。



先日、オンラインで人事管理システムの営業の人から商品説明を受けることになりました。


自宅のデスクトップパソコンで、メールに届いたWEB会議システムのURLをクリックすると、画面に営業の人の顔が映り商談がスタート。

少し茶髪で赤いネクタイと紺のスーツを着た30歳前後の男性の営業担当者でした。


みなさんも顧客になったつもりで、オンライン商談のシーンを想像しながら読んでください。


商談が始まり、軽くあいさつした後に、営業担当者が

「それでは、当社の人事管理システム〇〇のご説明をさせていただきますと・・・」

と言って説明を始めました。

画面に大きくパワーポイントの資料が表示され、営業担当者の顔は右上の小さい枠の中に映っていました。


表紙には『株式会社△△△ 人事管理システム〇〇のご紹介』


営業担当者が表紙をめくると『株式会社△△△ 会社概要』

「まず、当社の説明をさせていただきますと、設立は、・・・

事業内容は、人事領域の中でコンサルティング事業として・・・、システム開発事業として・・・、パッケージソリューション事業として・・・

元々、大手□□□社の子会社として設立し・・・

・・・人事領域のコンサルティング~システム構築、運用までを総合的に提供している会社です」


(ここまで5分ぐらい)


そして、営業担当者は

「それでは、当社の人事管理システム〇〇をご紹介させていただきます」

と言ってページをめくると『〇〇の導入先企業一覧』

「主に、人材系や広告系の企業様が多いのですが、導入企業としては◇◇社や☆☆社・・・、大手企業様にも多く導入していただき・・・」


導入先企業一覧のページをめくると『人事管理システム〇〇の特徴』

「主な特徴は2点ありまして」

「1点目が、雇用形態の多様性に柔軟に対応できる点として・・・」

そして次のページで

「2点目が、従業員がスマートフォンから勤怠を申請でき、最近ですとテレワークを進めている企業様が・・・」


特徴のページをめくると『〇〇の構成と機能』


一通りシステム構成や機能の説明を聞き次のページに移ると『〇〇の画面構成』

そこには、パソコンに表示されたシステム画面の写真が左右に2つ並んでいました。

「次に画面構成をお見せしますと」

「管理者が従業員データなどを登録する画面は・・・」

そして次のページでは、同じようにシステム画面の写真が2つ並んでいて

「従業員が登録する画面は・・・」


そして最後の『〇〇の料金表』のページを見せながら

「料金体系は、従業員数別に分かれていて・・・」


15ページの資料の説明を20分ぐらいかけて一通り聞きました。



そして、営業担当者は「何かご質問はありますでしょうか?」


顧客はとりあえず、

「人事異動時の従業員マスターの変更や従業員の職務履歴はどのように管理できるんですか?」


すると、資料がなかったため、営業担当者は右上の小さい枠の中から口頭で

「人事異動や組織変更のときは、組織管理画面がありまして、その管理画面上で・・・」

「職務履歴に関しては・・・」


そして最後に

「これだけの機能がそろっているシステムとしては低価格だと思うのですが、いかがでしょうか?」



ここで、みなさんに問題です。

顧客はこの商談でどのように感じたのでしょうか?



長い、疲れた、よくわからない



訪問商談と比べオンライン商談は・・・


・場の空気や空間を使いにくい

・相手の表情や反応がわかりにくい

・自分の表情・身振り・手振りを使いにくい


このオンライン商談は、営業にとってやりにくいと思いますが、顧客にとっても受けにくいのです。



●同じような画面を見ながらの長い説明は疲れて集中できない


訪問営業は、資料や営業の表情、身振りや手振り、会議室という空間や営業との空気間など様々なものを見て、感じながら説明を聞くことができます。

しかし、オンライン商談では、パソコンに映っている画面と表情がわかりにくい小さく映った自分の顔だけ・・・


また、紙で渡された資料は、自由にめくることができます。

しかし、オンライン商談では営業が映したページしか見ることができません。


20分間も同じものをずっと見ていなくてはならない・・・当然、飽きる。そして、疲れる。

飽きている状況で同じようなテイストの資料をずっと見るということは苦痛であり疲れるものです。


●表情、身振りや手振りのない口頭だけの説明はわかりにくい


顧客は、資料がなければ音声だけを聞いている状況です。

人は通常、音声を聞くという聴覚以外に、表情、身振りや手振りを見るという視覚も含めて理解しています。

※相手に伝える情報の中で、音声以外の表情やしぐさが55%を占めるという見解もあります。


オンライン商談の右上に映った自分の顔の表情、身振りや手振りは小さく伝わりにくい・・・

そのため、顧客は視覚をあまり使えず、音声による聴覚だけで理解することになります。当然、理解度も落ちてしまいます。


●自分の興味と関係なく説明される


当たり前のことですが、人は興味があると一生懸命に聞こうとし、逆に興味がないと集中して聞こうとしない。


訪問商談のときは、相手の表情が見えるため興味の度合いを感じながら説明することができます。

しかし、オンライン商談の小さく映った相手の顔の表情だけでは、相手の興味の度合いや反応がわかりにくい。

そのため、興味や反応に合わせることができず変化のない一遍通りの説明になってしまう・・・



オンライン商談では、下の3点に気をつける必要があります。


①.テイストの異なる資料を複数準備する


表情、身振りや手振り、空間を使えずパソコンの画面しか見ることができないオンライン商談では、パソコンの画面の中で変化をつけなければなりません。

そのためには、異なるテイストの資料を複数用意して資料を切り替えながら変化をつけましょう。


②.一つ一つを短くして確認しながら説明する


相手の興味や反応を無視した一方的な説明は、訪問商談でも一生懸命に聞いてもらえません。

表情、身振りや手振りのない資料と音声中心のオンライン商談ではなおさら・・・

長い説明は小分けにして、反応をもらいながら相手の興味を把握して説明しましょう。


③.説明や質問はすべて資料を使って行う


説明したいことはすべて資料を準備する。

質問したいことは、関係する資料を準備する。

顧客が質問しそうなことは、返答するための資料を準備する。

すべて資料を準備して、口頭だけの説明や返答を避けて資料を見せながら対応しましょう。



営業では、顧客の立場で考えるという顧客視点は大切です。

しかし、オンライン商談は、相手の表情や反応がわかりにくい。


顧客視点が大切な営業において、表情や反応がわかりにくい商談で最も大切なことは顧客を想像することです。



顧客は、わかりやすいだろうか?

顧客は、どうしたら情報を話そうとするだろうか?

顧客は、どこに興味を持つのだろうか?

顧客は、どうしたら興味を持つだろうか?

顧客は、つまらなくないだろうか?


そして、どうしたら良いのだろうか?



顧客を想像し「どうしたら良いか」を考えると、パソコンの画面しか使えないオンライン商談、また、パソコンの画面を使えるオンライン商談では、資料を有効に活用しようとするはずです。





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