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攻める営業を実現する情報

ニーズ・予算・決裁者…攻めるためには背景にこだわらせる

2018年8月15日

「うちの営業はお客さんがヒントを言ってくれても気づかない」

「お客さんがニーズにつながる話をしてくれているのに気づかない」

よく営業責任者からこのようなことを相談されます。


なぜ、気づかないのでしょう?



下の営業担当Aさんと上司の会話からAさんの営業の問題点を考えてみてください。


Aさんが、営業管理システムの商談から帰ってきて、上司に報告していたときのことです。


Aさん

「ニーズがなかったのでダメでした」


上司

「なんで?」


Aさん

「ちょっと前にマネージャーの指導力強化のために検討していたようなんですが、やめたみたいです」

「以前、営業管理システムを導入したときに、営業担当が入力しなくて逆に情報共有しなくなってしまった」

「営業部内のコミュニケーションに問題があったので、営業管理システムでなく携帯で直接電話して情報共有しながら指導をさせることを重視しているみたいです」


上司

「そうなんだ、他に何か言っていた?」


Aさん

「マネージャー1人に対して部下が5人程度だから十分指導できているようです」


上司

「他に聞けたことは?」


Aさん

「そのぐらいです」


上司

「それだけってことはないだろう、1時間も顧客と会話しているんだから」


Aさん

「あと何か言っていたかな・・・、あっ、ここ2年ぐらい業績が良くないみたいです」

「だから予算をとりにくいって言ってました」


上司

「なんで業績が良くないの?」


Aさん

「競合他社が価格の安い商品を出してきたので負けてしまうみたいです」


上司

「そうなんだ、〇〇業界も大変だな。他には?」


Aさん

「それに、昨年リリースした新商品の提案ができていないみたいです」

「元々、物販の営業だったので提案に慣れていないみたいで」

「関西エリアはマネージャーの提案スキルが高いので売れているみたいですけど・・・」


上司

「でも、マネージャーだけが提案してるわけじゃないだろう?関西エリアの営業担当も提案できているの?」


Aさん

「さあ、聞いていないですけど、そうなんじゃないですか」


上司

「関西エリアで提案できているのに、なんで他のエリアはできていないの?」


Aさん

「聞きませんでした」


上司

「関西エリアの提案書や提案のやり方は他のエリアと共有しているのかな?」


Aさん

「聞いてないですけど、共有していないんじゃないですか。他のエリアは提案できていないって言っているので・・・」


上司

「そうしたら、マネージャーの指導力強化じゃなくて、エリア間の営業情報の共有とか、提案書や提案方法を共有するための営業管理システムと提案したら検討してもらえたんじゃない?」



なぜ、Aさんは「エリア間の営業情報の共有とか、提案書や提案方法を共有するための営業管理システム」と提案できなかったのでしょうか?



Aさんの営業は・・・


前半の

「ちょっと前に検討していたがやめた」

「営業管理システムを導入したときに、営業担当が入力しなくて逆に情報共有しなくなってしまった」

「営業管理システムでなく携帯で直接電話して情報共有しながら指導」

「マネージャー1人に対して部下が5人程度だから十分指導できている」

「ここ2年ぐらい業績が良くない。だから予算をとりにくい」

ということを顧客から聞いて「ニーズがない」と判断していました。


そして、後半の

「競合他社が価格の安い商品を出してきたので負けてしまう」

「新商品の提案ができていない」

「元々、物販の営業だったので提案に慣れていない」

「関西エリアはマネージャーの提案スキルが高いので売れている」

という情報に対し、はじめは忘れていて思い出しながら報告しています。

商談時も顧客から聞いていますが、営業管理システムと関係ない話として流してしまっています。


そのため、後半に聞いた情報に対して、

「関西エリアの営業担当も提案できているのか?」

「関西エリアで提案できているのに、なんで他のエリアはできていないのか?」

「関西エリアの提案書や提案のやり方は他のエリアと共有しているのか?」

と顧客に突っ込んでいません。


その結果、

「エリア間の営業情報の共有」「提案書や提案方法を共有」という営業管理システムのニーズに気づけませんでした。



Aさんの営業を要約すると・・・


前半の部分の「検討していたがやめた」「携帯で情報共有や指導」「予算をとりにくい」といった営業管理システムの受注に直結する情報ばかり意識し、その直結する情報だけで判断してしまっています。


そして、後半の部分の「競合に価格で負ける」「新商品を提案できない」「関西エリアは売れている」という営業管理システムの受注に直結しない情報を気に留めず流してしまっています。


つまり、受注に直結する情報ばかり意識し、一見すると関係ないと思われる直結しない情報は気に留めず流してしまっています。


しかし、一見すると関係ないと思われる受注に直結しない後半の情報は「エリア間の営業情報の共有とか、提案書や提案方法の共有するための営業管理システム」というニーズや提案につながる背景の情報です。

後半の情報を重視し突っ込んでいれば、ニーズを発掘でき提案につながったかもしれないのです。



顧客から「検討している」「商品がニーズと合っている」「予算がある」といった受注に直結する情報を聞けるのであれば、単にニーズに合った商品を紹介するだけよいでしょう。


最近、攻める営業に変えよう、強化しようとしている企業が多いのですが、「検討していない」「ニーズに合っていない」「予算がない」という顧客が多いから、顧客を分析し、攻め方(対策)を考えるという、攻める営業が必要になるのです。


この顧客を分析するための情報、攻め方を考えるための情報は、受注に直結する情報の中にはありません。一見すると関係ないと思われる背景の情報の中にあるのです。

一見すると関係ないと思われる背景の情報の中に、顧客を攻めるためのヒントが隠されているのです。



では、なぜAさんは一見すると関係ないと思われる背景の情報を気に留めず流してしまったのでしょうか?



受注に直結する情報に対する意識と一見すると関係ないと思われる背景の情報に対する意識は、受注を獲得したいという気持ちと関係します。


受注にこだわると受注に直結する情報にこだわります。逆に一見すると関係ないと思われる背景の情報に対する意識は低くなります。

受注の獲得を目的とした営業にとって、自然なことです。


「検討している」「商品がニーズと合っている」「予算がある」と聞けるとすぐに受注を考え、「検討していない」「商品がニーズと合っていない」「予算がない」と聞くとすぐに失注と判断してしまう・・・


その受注の獲得を目的とした営業に対して、攻める営業を実現するためには・・・

背景の情報から受注を考えるという体質に変えさせなければなりません。

背景の情報からニーズやニーズを獲得する方法、予算や決裁者の状況や対策を考える体質です。



攻める営業を実現するためには、受注に直結する情報でなく、ニーズや予算、決裁者とは一見すると関係ないと思われる背景の情報にこだわらせましょう。


そのために、部下に対して「ニーズの有無」や「予算の有無」ばかりで聞くのでなく、「ニーズや予算の背景」の情報について聞き、会話し、一緒に考えてあげる必要があるでしょう。

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