top of page

戦略営業は課題の想定から

受注獲得計画(アカウントプラン)は課題がわからなければ考えられない

2019年3月15日

最近、戦略営業という言葉を耳にする機会が増えてきました。


多くの企業で、場当たり的な営業、商品を紹介して回る営業ではなく、ターゲット顧客の組織や予算、競合などを分析し戦略を考え進めようという営業が増えてきています。

顧客から受注を獲得する戦略や計画(アカウントプラン)を作っているという人も増えていることでしょう。


しかし、

「うちの営業は戦略を考えられない、アカウントプランを作ってもやろうとしない」

と悩んでいる経営者や営業責任者が多い・・・



実際に、営業担当者が作ったアカウントプランを見てみると・・・


・商品の市場動向やニーズ、競合商品を調べ

・競合商品との比較から強み、弱みを整理し

・顧客のPLやBS、経営課題や戦略を調べ

・顧客の組織図を調べ、人脈図を作成し

・3C分析、SWOT分析を作成


そして・・・


・売りたい商品を考え

・売るための計画を作成


その売るための計画を見てみると・・・


5月:担当者へ商品紹介

6月:担当者に現場の状況とニーズについてヒアリング

7月:担当者から上長の紹介をもらい提案

8月:現場や利用者との調整

9月:価格、条件交渉

10月:受注


とても現実的な計画とは思えない・・・


はじめに調べた競合比較、顧客の経営課題や組織、3C分析やSWOT分析とは関係なく、単純な営業プロセスが並んでいるだけ・・・この通り進むわけはない。

はじめの商品紹介で「価格が高い」と言われたら終わってしまう・・・


どのようなニーズをどのようにヒアリングするかという方法がない・・・はたしてヒアリングできるのだろうか?


上長の紹介をもらう方法や価格交渉の方法がない・・・本当に実践できるのだろうか?


戦略を考え実践しても、断られる、ヒアリングできない、上長の紹介をもらえない、価格交渉できない・・・

その結果、時間をかけて戦略や計画を作成しても意味がない・・・

できない、やらないのであれば、戦略など考えず、その時間を営業活動に費やした方が良いのではと思うことが多々あります。



戦略営業のターゲットは顧客の課題です。

戦略営業のターゲットである顧客の課題がわからなければ戦略を考えられないのです。


顧客のどのような課題に対して提案したいのか?

その課題に対してどのような提案をしたいのか?

この2つがあってはじめて戦略を考えることができるのです。



たとえば、タブレットを売りたい場合


「広域営業で部下の指導や情報共有ができない」(課題)


この課題を考えることができると・・・


この課題に対して、

顧客の中で関係する人は誰なのか?受注を獲得するまでに調整しないといけない人は誰なのか?


営業先の情報システム部や総務部以外にも・・・

「営業部を説得しないといけない」「営業部が収集した情報を活用したい商品開発部なら積極的に検討してくれるかも」と考えることができるでしょう。


この課題に対して、

営業部長はどう思うのか?

担当者にどのように説明したら営業部長の紹介をもらえるのか?


営業部長の紹介をもらいたいのであれば

「タブレットの紹介」という商品紹介や「営業部の情報共有に利用できる」と抽象的にアプローチするのではなく・・・

「既存事業の収益悪化に対して新商品の拡販が急務」「新商品には提案力が必要だが、直行直帰の営業体制では指導が進まない」「モバイルを活用した指導力の強化を提案したい」と紹介をもらうための具体的な提案を考えることができるでしょう。


また、この課題に対して、

顧客の経営課題と比較して重要度は?予算をとってもらえるのか?

提案をどのように変えたら予算をとってもらえるのか?


顧客の経営課題が「新規マーケット拡大に向けた商品開発の促進」であれば、

「指導力の強化」と提案するのではなく・・・

「直行直帰の営業から顧客の声を収集し、商品開発を促進」と予算をとってもらいやすい提案を考えることができ、商品開発部長を巻き込んで提案するべきと考えることもできるでしょう。


この課題に対して、

競合商品と比較すると勝てるのか?

どのように訴求したら競合に勝てるのか?


競合商品に対する強みが「様々なファイルに対応できる」であれば、

単純に機能差を説明するのではなく・・・

はじめに「営業の指導でどのような情報を活用しているのか?」「商品開発にどのような情報が必要なのか?」をヒアリングして、「動画、画像を活用した指導、情報共有ができる」と提案するという強みをいかしたアプローチ方法を考えることができるでしょう。



課題がわからないのに・・・

売上や利益、財務諸表を見て投資余力ばかり考えたり、組織図を見て関係者のつながりや力関係、予算を持っている部門などを考え、戦略を考えようとしているケースが多く見受けられます。


戦略や計画の前に営業活動ではじめに考えることは、

売りたい商品は何なのか、顧客にどのような課題があるのか、そしてその課題に対してどのような提案ができるのか・・・ということです。


戦略営業は、この課題や提案と、顧客の状況、顧客の決裁者や関係者の意識、予算や競合の状況を比較して考えるものです。


顧客の課題や提案がわからずに戦略営業は考えられないのです。



今日の営業では、顧客の戦略が変化し複雑化し、また組織内での決裁ルートや方法も複雑化しています。

いくら業績がよくても、優先順位を考えながら投資し、簡単に予算をとってもらえなくなっています。

この状況で、単純に商品を紹介したり、提案する営業、また顧客に予算がないと言われてから考えるという場当たり的な営業では受注しにくくなっています。


売上を上げるために、顧客を分析し、どうしたら受注を獲得できるかという戦略は重要です。


しかし、戦略を考えられる営業は少ない・・・

その原因の多くは、顧客の課題がわからずに戦略を考えようとしていることです。


戦略営業を進めるためには、はじめに顧客の課題を考える力を身につけましょう。

有料会員限定コンテンツです。
会員の方はログインしてください。

​関連するアドバイス

bottom of page