top of page

営業戦略は顧客ニーズから考える

顕在ニーズと潜在ニーズでは営業戦略が異なる

2017年1月1日

ある営業マネージャーとミーティングしたときのことです。

「この商品は新規性が高くて知られていないので多くの顧客に紹介して知ってもらうことが重要なんです」


そしてマネージャーが策定した営業戦略は・・・

➀.ターゲットを選定し、既存顧客で紹介できる顧客が200社、新規ターゲットリストが800社で合わせて1000社

➁.既存顧客は担当営業からの紹介、新規ターゲットリストはテレアポ代行会社に依頼してアポイントを獲得

➂.強みをしっかりアピールしたわかりやすい、説明しやすいパンフレットを作成

➃.営業担当者に商品内容や強みの説明方法を指導

➄.部下の営業担当2名で訪問し紹介してまわり受注を獲得・・・そして売上目標を達成


そこで、営業マネージャーに聞いてみました。


(1).ターゲットの1000社からどのくらい紹介できそうですか?

「既存顧客で30%として60社、新規ターゲットリストのアポ率が5%として40社で合わせて100社ぐらい」


(2).では、その100社の中で既に課題を理解していて商品に興味を持ってくれる顧客はどのくらい?

(商品を紹介したら検討してくれる顧客数)

「新規性が高いから検討している顧客は少ないと思うので20%ぐらいかな・・・そうすると20社ぐらい」


(3).では、その20社の中で決裁者まで理解して予算を確保してくれる顧客はどのくらい?

「うーん・・・30%ぐらいかな・・・そうすると、6社」


(4).では、競合に勝って受注を獲得できるのはどのくらい?

「コンペにならないケースもあるので70%ぐらいかな・・・そうすると、4社ぐらい」


(5).商品の受注単価はどのくらい?

「300万円ぐらい」


(6).チームの売上目標は?

「この商品に関する今期の目標は5,000万円」


(7).でも、計算では「1,200万円」しかいかないですよ。


とても目標を達成できる戦略ではない・・・計算してみるとこのような戦略は多いものです。



実は、マネージャーが策定した営業戦略が間違っているのです。


営業戦略を策定する際にはじめに考えなければならないことが顧客ニーズの状況です。

顕在ニーズが多いか?潜在ニーズが多いか?

顕在ニーズをターゲットとして考えるべきか?潜在ニーズをターゲットとして考えるべきか?


この顕在ニーズ、潜在ニーズでは営業戦略の方向性が大きく異なるのです。


顕在ニーズは、顧客が課題を理解していて、商品を欲しいと思っている、検討している状況。


潜在ニーズは、顧客が課題に気づいていない、気づいているが明確でない、優先順位が低い、そのため商品を欲しいと思っていない、検討していない状況。


顕在ニーズの場合は、顧客が課題を理解し、商品を欲しいと思っている、検討している状況なので、商品を説明して理解してもらえばよい、また検討しているか否かを聞けばよいのです。


しかし、潜在ニーズの場合は、顧客が課題に気づいていない、気づいているが明確でない、優先順位が低いため、商品を説明しても検討してもらえない。

検討しているか、購入できるか否かを聞いても、検討していない、購入できない。



当たり前のことですが、

課題に気づいていないのであれば気づかせなければなりません。

課題が明確でないのであれば明確にしなければなりません。

課題の優先順位が低いのであれば優先順位が高いと理解させなければなりません。


つまり、潜在ニーズに対する営業戦略は、課題を理解させることからはじめる必要があるのです。

すると、

プロモーションやパンフレットも課題を理解させるものでなければなりません。

販売チャネルも商品の告知より課題を理解させることを考えて選ぶ必要があります。

営業方法も商品の紹介や告知中心ではなく課題を理解させる方法が必要になります。



まず、はじめに考えなければならないことが、

顕在ニーズの顧客が多く、顕在ニーズへのアプローチで売上目標が達成できるのか?

それとも、顕在ニーズの顧客が少なく、潜在ニーズまで獲得しないと売上目標が達成できないのか?

ということです。


顕在ニーズへのアプローチで売上目標が達成できるのであれば、「紹介する」「検討しているか否かを聞く」営業戦略で良いのですが、潜在ニーズまで獲得しないと売上目標が達成できないのであれば、「課題を理解させる」営業戦略が必要です。



前述の例の場合はいかがでしょうか?


「新規性が高くて知られていない」ということは、

その商品を欲しいと思っている、検討している顧客が少ないのでは?

その商品に対する課題やニーズを理解している顧客が少ないのでは?


すると、「知られていないので多くの顧客に紹介して知ってもらう」営業戦略では売上を上げにくい・・・



新商品や新規性の高い商品の場合「知られていないので、まずは告知しないと」と思い「とにかく多くの顧客へ告知する」ということばかり考えた戦略で

営業活動を進めている会社が多いものです。


営業戦略を策定するときに、感覚値でもよいので顧客のニーズを想像しながら前述の(1)~(7)を計算してみてください。

みなさんの営業は顕在ニーズをターゲットとした戦略で売上目標が達成できますか?


はじめから売上目標とかけはなれている営業戦略かもしれません。

有料会員限定コンテンツです。
会員の方はログインしてください。

​関連するアドバイス

bottom of page