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営業戦略の質を強化する

外出やイベント自粛時の営業戦略は顧客の課題解決プロセス「CNUMA」から

2020年4月15日

新型コロナウイルス感染症拡大が進む中で営業戦略についての相談が増えています。

「外出もイベントもできない状況でどうやって売上を上げたらいいのか」



ある会社の営業部長Aさんから相談を受けました。


営業部長Aさん

「今までは、展示会やTELアポ→顧客訪問→商品紹介や提案と進めていたけれど、展示会やTELアポ、顧客訪問ができなくなってしまった」

「既存顧客や検討している顧客とはWEB会議で商談できるけど、他の顧客はアポイントもとれない」


「では、今どうしているんですか?」


営業部長Aさん

「このような状況でも今期の売上目標は達成しないといけないから、今やれることとしてメールで営業を・・・」


「結果はどうです?」


営業部長Aさん

「ほとんど返事がこないんです」

「返事がきても「在宅勤務だから今は検討していない」と言われて・・・」



「展示会やTELアポ、顧客訪問ができない」

「在宅勤務だから今は検討していないと断られる」


みなさんは、どうします?



少し、通常の活動(今までの活動)と外出やイベント自粛をしいられた活動(今の活動)を比較してみましょう。


営業部長Aさんは「展示会やTELアポ、顧客訪問ができなくなってしまった」と言っています。

通常の活動との違いは何か?


既存顧客や検討している顧客とはWEB会議で商談できると言っているので、展示会やTELアポ、顧客訪問ができないということは、

・顧客に商品紹介をする機会が少なくなった

・会える顧客が少なくなった

・提案したい顧客から情報を聞きにくくなった


ということは、通常の活動は今と比べて

・顧客に商品紹介をする機会が多かった

・会える顧客が多かった

・提案したい顧客の情報を聞きやすかった

※あくまでも外出やイベント自粛をしいられた今の活動と比べてのことです。


つまり、通常の活動は「多くの顧客に訪問し、商品を紹介し、顧客の情報を聞いて、検討している顧客に買ってもらう」活動をしていたけれど、その活動ができなくなったということです。



ここで営業活動の原点に戻って考えてみましょう。

「商品を売るためにはどうするべきなのか?」



顧客はいかなる状況でも、以下の顧客の課題解決プロセス「CNUMA」で商品を購入しています。


Change:戦略や事業の変化

Notice:不都合に気づく

Understand:不都合が大きくなり課題を理解する

Motive:課題の影響を認識し必要性を理解する

Action:解決策を模索する(商品の購入を検討する)


すると、商品を売るためには、いかなる状況でも以下①②③のプロセスで営業活動を進めなければなりません。


①.顧客が検討する前に「啓蒙し課題を理解させる」

②.顧客が検討したら「課題に対する解決策を理解させる」

③.顧客が解決策を理解したら「選択させる(購入を判断させる)」


どうすれば、この①②③を進めていくことができるのか?



「多くの顧客に訪問し、商品を紹介し、顧客の情報を聞いて、検討している顧客に買ってもらう」という通常の活動は、「商品の購入を検討している多くの顧客に会う」ことが前提になっています。

これは、顧客の課題解決プロセスのMotiveかActionの現在商品の購入を検討している、または検討しようとしている顧客をターゲットにした戦略です。


そのため、在宅勤務など状況の変化により現在商品の購入を検討していない(MotiveかActionではない)顧客には当然「今は検討していない」と言われてしまう・・・



CNUMAに合わせた営業戦略



展示会やTELアポ、顧客訪問ができなくなった結果、「商品の購入を検討している多くの顧客に会う」という前提が崩されてしまいました。


この前提が崩されているのであれば、営業活動の量ではなく、顧客の課題解決プロセスCNUMAに合わせた上の①②③に対する営業戦略の質を変える必要があります。


変えるべきものは「どうしたら多くの顧客に商品を告知できるか」という量よりも「誰に、何を、どのように伝えるか」という質です。



まずは、「誰に(ターゲット)」を変えましょう。


状況の変化によりMotiveかActionの顧客が少なくなっているため、今後検討する可能性があるNoticeやUnderstandの顧客までターゲットを広げなければなりません。


つまり、商品の購入を検討している顧客ではなく、不都合を感じている顧客、課題を理解している顧客をターゲットにした戦略に変えましょう。



次に、ターゲットを変えたら「何を、どのように伝えるか(アプローチ方法)」も変えましょう。


NoticeやUnderstandの顧客は、商品の購入は検討していないけれど、不都合を感じている、課題を理解しているという顧客です。


何を、どのように伝えたら興味を持ってくれるのでしょうか?


商品の購入を検討していないので「商品を紹介したい」「状況を聞きたい」では興味を持たないでしょう。

当然「今は検討していない」「状況が落ち着いてから」となってしまう・・・


NoticeやUnderstandの顧客が感じたり考えていることは、商品ではなく、不都合や課題です。

すると、興味を持つ内容は、商品ではなく、感じたり考えている不都合や課題に関することです。


伝える内容は、商品の内容や魅力ではなく、ターゲット業界(同業他社)や顧客が抱えている不都合や課題に変えなくてはなりません。


・プロモーションで行う、ホームページの商品紹介ページやメルマガ、WEBセミナーで伝える内容

・営業活動で行う、顧客へのメールの内容や顧客に送るパンフレットや資料の内容


展示会やTELアポ、顧客訪問ができないのであれば、ターゲット業界(同業他社)や顧客が抱えている不都合や課題に変えてみてください。


顧客は興味があれば、面談ができなくても、情報を集めよう、メールやWEB会議などで話を聞こうとするものです。

※新規開拓・アプローチ>「アプローチの切り口」参照



そして、CNUMAに合わせた営業戦略に変えるためには、プロモーションと営業の連携も変えなくてはなりません。


多くの会社では販売促進部と営業部が組織として分かれ、

まず、販売促進部が、プロモーションを企画し問い合わせを増やそうと考え、

そして、営業部が、問い合わせに対し商談や提案を考える・・・


プロモーションと営業を組み合わせた販売戦略全体を、プロモーション→営業というプロセス志向で考え検討しています。



しかし、戦略はプロセス志向でなく、目的志向で考えるものです。



販売戦略の目的は、顧客に商品を売ること(受注)です。

本来、目的を担う営業部が営業戦略を考え、その営業戦略に適したプロモーションを考えるべきなのです。


つまり、目的である受注に対し、まずは

「どのような顧客から受注を獲得するのか」「そのためにどのような営業活動を行うべきか」という営業戦略を考え、

その営業戦略に対し、

「どのようなプロモーションが良いのか」を考え、

販売戦略全体を目的志向で考えるべきなのです。


プロセス志向の「プロモーション→営業」ではなく、目的志向の「営業戦略→適正なプロモーション」の順番です。


販売促進部に任せるのではなく、営業部も営業戦略に適正なプロモーションを考えましょう。



このCNUMAに合わせた営業戦略は、外出やイベント自粛をしいられ顧客訪問が難しいから必要ということではありません。

多くの顧客に訪問し商品を紹介すれば売れるという時代ではない今日では、通常の活動でも必要なことです。



「顧客訪問ができないから今やれることとしてメールで営業」とWEBやメールなど手段ばかり考えている営業が多いように思います。

この機会に営業戦略について見直してみてください。

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