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説得力の6つの要件「論理性」

論理性は頭で考えるだけでなく書き出して整理して鍛える

2021年4月15日

提案、交渉、トラブル対応・・・

説得力があればうまくいくし、短い時間で終わらせられる。

逆に、なければうまくいかない、時間がかかる。


しかし、ほとんどの人が話し方や説得力を強化しよう、改善しようとしていません。

営業の成果を大きく左右するものなのに・・・



ある会社の営業会議でのマネージャーと営業担当者のやりとりです。

少々長くなりますがお付き合いください。


マネージャーBさん

「Aさん、セント商事のWEB会議システムの案件はどうするの?」


営業担当Aさん

「昨日に訪問した時に情報システム部の○○課長とお会いできたんですが、費用をおさえないといけないので価格の安い方を選ぶって言われてしまいました」

「競合商品の方が安いみたいです」

「ただ、現場ではコメント機能を重視しているようで、コメント機能は競合よりうちのWEB会議システムの方が優れていて・・・」


マネージャーBさん

「でも、○○課長は安い方を選ぶって言ってるんだろう?」


営業担当Aさん

「そうなんですけど、○○課長は上司の△△部長に相談しているらしいんですが、△△部長は、以前商品企画部にいて現場のことをよく知っているらしいです」

「今でも商品企画部の部長と飲みに行っているみたいで」

「現場のことをよく知っていて社内でも力がある人みたいです」

「その△△部長がこれから各現場でテレワークを進めていかないといけないんだから価格よりも使いやすさや現場に合ったものにした方がいいと言っていたらしいです」


マネージャーBさん

「そうしたら、コメント機能が充実しているうちの方が有利なの?」


営業担当Aさん

「ただ、△△部長は○○課長の意見を聞いてくれるらしくて」

「○○課長は情報システム部以外の経験がないから現場のことがわからないんですよ」

「現場の商品企画部や設計部では図面に書き込みながら打合せするので、コメント機能が充実している方がいいって言っているのに」

「会社の方針で今期は予算をおさえろって言われているので、予算のことしか考えないんですよ」


マネージャーBさん

「そしたら、セント商事の案件は失注するの?」


営業担当Aさん

「うーーーん、でも失注すると目標を達成できなくなるので何とかしないといけないんですが」


マネージャーBさん

「それは、値引きしたいってこと?」


営業担当Aさん

「いや、値引きが無理なのはわかっているので」

「ちょっとお願いがあるんすが・・・」

「Bさんは△△部長に会ったことがありますよね?」

「できたら△△部長に会って説得したいので、アポをとって欲しいんですけど」


マネージャーBさん

「でも、○○課長が価格の安い方を選ぶって言ってるんだし、△△部長に会っても説得するのは難しいだろう」



理解してもらえない、説得できない・・・

様々な会社の営業会議に参加していると、このようなシーンにしょっちゅう出くわします。

みなさんの営業会議ではいかがでしょうか?



営業会議以外に顧客との商談でも、説明が良くわからない、言いたいことが伝わらない、その結果、説得できず失注したり、交渉事がうまくいかない・・・というシーンが山ほどあります。



ここでみなさんも考えてみてください。

Aさんの説明はどのように修正したら、わかりやすく、説得力のある説明になるでしょうか?

どうしたらマネージャーBさんを説得できるでしょうか?



Aさんは「△△部長のアポをとってほしい」という一番言いたかった結論を最後に言っています。

言いたいこと(結論)を明確にしないまま長々と説明していることは問題です。


その他にも、Aさんの説明がわかりにくくなる原因が2つ考えられます。


1つ目は、情報が整理されていないこと。

○○課長から聞いた情報が整理されていないため、頭の中にある情報を思いつく順番で話し、説明する順番がぐちゃぐちゃになってしまいます。


2つ目は、お客さんから聞いた順番で説明していること。

普段の会話は、ストーリーや論理性を意識せずに自由に話しているため、脱線したり、飛んだり、戻ったりしながら進めています。

お客さんとの会話のシーンを思い出しながら聞いた順番で説明すると、当然、脱線したり、飛んだり、戻ったりしながら説明することになります。


他人を説得するためには、結論を明確にする(言いたいことを明確に伝える)と同時に論理的に説明することが必要です。


根拠など情報の関係性を明確にして全体的に筋がとおるように行う論理的な説明です。


※ 論理とは(大辞泉引用)

考えや議論などを進めていく筋道。思考や論証の組み立て。思考の妥当性が保証される法則や形式。

事物の間にある法則的な連関。


この論理的な説明を身につけるためには3つ必要なことがあります。


①.情報を分解して整理する

②.情報の関係性を考える

③.説明のシナリオ(順番)を考える



上のAさんのケースで論理的な説明を考えてみましょう。



①.情報を分解して整理する

Aさんが説明している情報を箇条書きにして整理すると・・・


<Aさんが説明している情報>

Aさんが説明した順番に並べてみると・・・順番がぐちゃぐちゃ。


・昨日に訪問した時に情報システム部の○○課長とお会いできた

・○○課長に費用をおさえないといけないので価格の安い方を選ぶって言われた

・競合商品の方が安い

・現場ではコメント機能を重視している

・コメント機能は競合よりうちのWEB会議システムの方が優れている

・○○課長は上司の△△部長に相談している

・△△部長は以前商品企画部にいて現場のことをよく知っている

・△△部長は今でも商品企画部の部長と飲みに行っている

・△△部長は現場のことをよく知っていて社内でも力がある

・△△部長が価格よりも使いやすさや現場に合ったものにした方がいいと言っていた

・△△部長が使いやすさや現場に合ったものを重視する理由は、これから各現場でテレワークを進めていかないといけないこと

・△△部長は○○課長の意見を聞いてくれる

・○○課長は情報システム部以外の経験がないから現場のことがわからない

・現場の商品企画部や設計部では図面に書き込みながら打合せするので、コメント機能が充実している方がいいって言っている

・会社の方針で今期は予算をおさえろって言われている

・○○課長は予算のことしか考えない

・失注すると目標を達成できなくなるので何とかしないといけない

・値引きが無理なのはわかっている

・マネージャーBさんは△△部長に会ったことがある

・△△部長に会って説得したいので、アポをとって欲しい



②.情報の関係性を考える

箇条書きにした個々の情報の関係性を考えると・・・


<結論>

・△△部長に会って説得したいので、会ったことのあるマネージャーBさんからアポをとって欲しい


<結論の理由に関する情報(1)>

・失注すると目標を達成できなくなるので何とかしないといけない

・値引きが無理なのはわかっている


<結論の理由に関する情報(2)>

○○課長と△△部長の意見が分かれている


○○課長の意見と競合

・費用をおさえないといけないので価格の安い方を選ぶ

・競合商品の方が安い

(○○課長の意見の理由に関する情報)

・会社の方針で今期は予算をおさえろって言われている

・○○課長は予算のことしか考えない

(○○課長の意見の理由に関する補足の情報)

・○○課長は情報システム部以外の経験がないから現場のことがわからない


△△部長の意見と競合

・価格よりも使いやすさや現場に合ったものにした方がいい

・現場ではコメント機能を重視している

・コメント機能は競合よりうちのWEB会議システムの方が優れている

(△△部長の意見の理由に関する情報)

・△△部長は以前商品企画部にいて現場のことをよく知っている

・現場の商品企画部や設計部では図面に書き込みながら打合せする

・これから各現場でテレワークを進めていかないといけない


<結論の理由に関する情報(3)>

○○課長の意見である価格の安い競合を選んでしまう

・○○課長は上司の△△部長に相談している

・△△部長は○○課長の意見を聞いてくれる

(結論の理由(3)の対抗に関する情報)

△△部長なら説得できるかもしれない

・△△部長は現場のことをよく知っていて社内でも力がある

・△△部長は今でも商品企画部の部長と飲みに行っている



③.説明のシナリオ(順番)を考える

上の②の情報の関係性を踏まえながら説明する順番を考えると・・・


<まず、結論>

「△△部長に会って説得したいので、会ったことのあるマネージャーBさんからアポをとって欲しい」


<結論の理由(1)>

「というのは、この案件を失注すると目標を達成できなくなるので、値引きができない状況で何とかしないといけないんです」


<結論の理由(2)>

「○○課長と△△部長の意見が分かれていて・・・」

「○○課長は価格の安い方を選ぶと言っていて、競合の方が安い」

「反対に、△△部長は現場に合ったものを重視していて、現場が重視しているコメント機能は競合よりうちの方が充実しているんです」


(結論の理由(2)の理由)

「双方の理由なんですが」

「○○課長は会社の方針で今期は予算をおさえろって言われているから予算のことしか考えない」

「逆に、△△部長は以前商品企画部にいて現場のことをよく知っているようで、これから各現場でテレワークを進めていかないといけないことも踏まえて考えているみたいです」

「それに、以前いた商品企画部や設計部では図面に書き込みながら打合せするからコメント機能を重視しているみたいです」


<結論の理由(3)>

「ただ、このままでは価格の安い競合を選んでしまいそうなんです」

「というのは、○○課長は上司の△△部長に相談しているようですけど、△△部長は○○課長の意見を聞いてくれるようなので・・・」


(結論の理由(3)の対策)

「△△部長は現場のことをよく知っていて社内でも力がある人らしいので、△△部長を説得して案件を受注したいんです」

「今でも△△部長はコメント機能を重視している商品企画部の部長と飲みに行っているようですし、○○課長を説得する方法があるかもしれません」



個々の情報の関係性からシナリオを考えるとこのような説明になります。

言いたいこと(結論)を伝えて、その理由を明確にした論理的な説明です。


マネージャーBさんにきちんと理解させることができ、「アポをとって欲しい」というお願いも納得してもらうことができるかもしれません。



予算や人間関係、提案内容や競合、そしてこれらの背景・・・営業で説得したいこと、理解して欲しいことは、様々な情報が関係し複雑に絡み合っているものです。

整理せずに、思いつきや頭の中で考えるだけでは、論理的に理解させ説得することは難しい・・・


そのため、情報を書き出し整理して、個々の情報の関係性を明確にしながら、どう説明したら説得できるのかを考えることが大切です。



営業は、説得力で成果の変わる仕事です。

論理的に説明する説得力は売上を上げるためにも、交渉事を有利に進めるためにも必要な力です。


お客さんに訪問する前に、説得するための情報を整理し、関係性とシナリオを考えましょう。





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