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新規商談の目的

用件やお客さんの依頼が商品説明でも目的は課題を聞き出すこと

2023年9月15日

問い合わせやテレアポで新規顧客への営業、既存顧客に紹介をもらい他部署への営業で・・・

自分から「商品を説明したい」と言って訪問。

お客さんから「商品の説明を聞きたい」と依頼されて訪問。


用件や依頼は「商品説明」。

そのため、ほとんどの営業担当者が商品説明、商品について理解してもらうことを目的として訪問しています。


そして、1回の訪問で終わってしまう。

せっかく訪問しても次の営業につながらない。


みなさんはいかがでしょうか?



テレアポ代行会社のセントカンパニーにシステム開発会社のリーディングコーポレーションから問い合わせが入りました。

「テレアポの外注を検討しているのでサービスの説明を聞きたい」


セントカンパニーのAさんが担当して訪問することになりました。


Aさんは訪問前に、会社紹介とサービス紹介の資料、先輩からもらったシステム開発会社の事例資料を準備しました。


そして、訪問しお客さんと面談・・・


Aさん

「本日はお時間をいただきありがとうございます」

「テレアポの外注を検討していると伺いましたが、どのような商品のテレアポを検討されているんですか?」


リーディングコーポレーションのBさん

「新商品として昨年リリースしたクラウドサービスです」

「うちの営業社員は新規開拓営業が苦手なのでアポイントをとれないんですよ」


Aさん

「そうなんですか、新規開拓営業が苦手な人にとってテレアポは難しいですからね」


Bさん

「それで専門会社に外注しようかと考えていて」

「具体的に検討するのはこれからなんですが」


Aさんは、会社紹介資料を見せながら


「わかりました、それでは当社について説明させていただきます」

「当社は設立20年でテレアポ専門会社として立ち上げました」

「その後、インサイドセールスやカスタマサクセス、そしてメール配信などサービスを広げ・・・、

現在は顧客接点に関して総合的に支援しております」


次に、サービス紹介資料を見せながら


「それでは、当社のテレアポ代行サービスについて説明させていただきます」

「テレアポ代行サービスの導入企業数が・・・」


「まず、特徴を説明させていただきますと、

10年以上テレアポ代行サービスに従事したマネージャーが20名いて・・・、

運営体制は・・・、スタッフは入社研修で・・・」


「次に、サービスの流れですが、

はじめに、テレアポ対象の商品やターゲット、クライアント様のご要望などをお伺いさせていただき、そのあと、当社で設計さていただきます」


「設計内容は、

商品やターゲットの特性に対し当社で蓄積したデータからアポイント獲得率と件数をシミュレーションし、そして、トークスクリプトを作成。それと・・・」


「そのあと、担当するスタッフに対し1日かけて教育し、翌日からテレアポをスタートします」


「進捗管理と貴社へのご報告は、・・・」

「その他に、・・・」

「料金は、・・・」

「実績としては、300社以上あり、システム開発会社様でも・・・」


そして、システム開発会社の事例資料を見せながら


「社名は言えないのですが、大手システム開発会社で代行させていただいたときは、

対象商品が・・・、ターゲットが・・・、アポイント獲得件数が・・・」


一生懸命に詳しく説明していると面談を始めてから30分が経ちました。


一通り説明すると大手システム開発会社の事例やテレアポのリストについてBさんから質問され、回答していると面談を始めてから50分。


残りの10分でAさんは質問しました。

「ところで、今回のテレアポのターゲットはどういう会社ですか?」


Bさん

「製造業と小売業で従業員数が500名以上の会社、ターゲットの部署は情報システム部です」


Aさん

「テレアポ代行サービスのスタート時期はいつごろとお考えでしょうか?」


Bさん

「早ければ再来月からスタートしたいんです」


Aさん

「他社様にもお声がけされていると思うのですがいかがすか?」


Bさん

「他に2社から話を聞いているんですけど、価格面と実績で御社が一番かなっていう感じがしています」

「営業部にも確認しないといけないので1週間ぐらい検討させてください」


Aさん

「ありがとうございます。頑張りますのでご検討お願いします」



競合他社と比べた評価も良かったし好感触!

受注できるかもと思いながら面談を終えました。



1週間後に電話をしてみると・・・


Bさん

「もう少しお待ちいただけますか?」

「予算と時期について再検討しないといけなくなりまして」


Aさん

「予算と時期ってどんな状況ですか?」


Bさん

「展示会に出展するんですけど、ずいぶん費用がかかるみたいなので予算が厳しくて」

「それと、営業部が忙しいみたいで検討が進んでいないんですよ」


Aさん

「そうなんですか、状況を伺いに行きたいのですがご都合はいかがですか?」


Bさん

「申し訳ないんですが、ここのところ忙しくて時間がとれないんです」

「検討が進んだらこちらからご連絡しますので」



・・・あれ、雲行きが怪しくなってきた。



1か月後にBさんから電話がかかってきて

「申し訳ないのですが、今回のテレアの外注は保留になっていまいました」

「しばらくしたら検討すると思いますので、そのときはお願いします」


Aさんは

今期は予算をとれないし、今は忙しいみたいだからしょうがない。

来期には可能性があるから定期的に訪問しよう。



そして、3か月後にAさんは訪問しようと電話してみました。

「ご状況はいかがですか?」


Bさん

「あれから進んでいないんですよ」


Aさん

「当社のインサイドセールスも紹介したいのでお伺いしたいのですが」


Bさん

「今は検討していないのですが、来週の水曜日なら大丈夫ですよ」


Aさんは訪問してインサイドセールスとカスタマサクセスのサービスを紹介しました。

しかし、案件にならず。



その3か月後に上司から指導されました。

「リーディングコーポレーションは可能性があるんだからちゃんと訪問しろよ」


Aさん

「訪問したいんですがネタがなくて」

「インサイドセールスもカスタマサクセスも紹介しちゃったし、メール配信サービスは興味なさそうなので」


とうとう訪問できなくなってしまいました。



なぜ、Aさんは訪問できなくなってしまったのでしょうか?

なぜ、Aさんは「予算が厳しい」「営業部が忙しい」と言われて対策を考えられなかったのでしょうか?


テレアポ代行サービスの特徴も事例も詳しく説明して、評価も良かったし好感触だったのに。


みなさんも考えてみてください。



問い合わせのときに「サービスの説明を聞きたい」と依頼されていたので、Aさんは会社やサービスについて詳しく全部説明しました。


その結果のリーディングコーポレーションのBさんとAさんの状況は・・・


Bさんは

「セントカンパニーの会社やサービスについて全部知っている」


Aさんは

「リーディングコーポレーションについてあまり知らない」


すると、

Bさんは、セントカンパニーのことを全部知っているので会う必要がない。

Aさんは、リーディングコーポレーションのことを知らないので何もできない。


リーディングコーポレーションのことを知らなくてできることは、

状況を聞くことだけ・・・「ご状況はいかがですか?」

自分の会社のサービスを紹介することだけ。でもサービス紹介だけだとネタ切れする。



もし、商品を全部説明していなければ、事例を説明していなければ・・・


事例紹介で次の訪問ができ、お客さんの課題を聞き出す場を作れたかもしれません。


もし、リーディングコーポレーションの状況を知っていれば・・・


クラウドサービスの営業戦略や展示会の状況、営業部の課題、決裁者の意向を聞いて知っていれば、予算をとらせるための提案や対策を考えられたかもしれません。


リーディングコーポレーションやBさんのことをもっと知っていれば、リーディングコーポレーションやBさんにとって有意義な情報やアドバイスなどのネタを考えることができ定期的に訪問できたかもしれません。



お客さんの情報があればあるほど、提案や対策、訪問するためのネタを考えることができます。

お客さんの情報がないと、できることは自分が知っている商品の紹介かお願いすることだけ。



自分から「商品を説明したい」と言って訪問

お客さんから「商品の説明を聞きたい」と依頼されて訪問


用件や依頼が「商品説明」だからと、正直に「商品を説明すること」を目的にしている営業担当者が多く見受けられます。


用件や依頼が「商品説明」であっても営業の仕事は受注を獲得し売上を上げることです。


受注を獲得するために何をやるべきかを考えなければなりません。そして、その何をやるべきかを目的にしなければなりません。


受注を獲得するために新規商談で初めにやるべきことは、お客さんの情報を聞き出すこと、課題を聞き出すことです。


「商品の説明を聞きたい」と依頼されても、新規商談の目的は「お客さんの情報を聞き出すこと、課題を聞き出すこと」。


そのために新規商談では、

・商品は詳しく全部説明しない

・商品説明の時間を短めにする

・お客さんの情報や課題を聞き出すことに時間を割く


新規商談では、会社や商品を説明する時間を半分以下、お客さんの情報や課題を聞き出す時間を半分以上にしましょう。



商品を説明したいと言って訪問しても、商品の説明を聞きたいと依頼されて訪問しても、"正直に"「商品を説明すること」を目的にせず、「お客さんの情報や課題を聞き出すこと」を目的に訪問しましょう。



(追記)

初めの訪問で商品をアピールすることばかり考えて、デモンストレーションまでしてしまう人が多く見受けられます。

商品を具体的に理解させるためのデモンストレーションはお客さんの状況や課題を聞き出した後にしましょう。

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