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初回訪問では戦略やミッションを共有

「はじめての面談だから会社や商品を知ってもらうことが大切」は大きな間違え

2020年12月15日

「今は検討できないけれど、そのうち必要になると思うので」

「今期は予算がないけれど、来期には検討したい」

「今は間に合っているけれど、興味はあるのでそのうち検討したい」


新規開拓営業でお客さんからよく聞く言葉です。

しかし、そのほとんどが提案にならずに消えていってしまう・・・



飲食店情報サイトの営業担当Aさんが初めてのお客さんに訪問しました。

相手はステーキ・ハンバーグ店の販売促進担当Bさん。


営業担当Aさんは挨拶の後・・・

「当社の飲食店情報サイト○○をご説明させていただきます」

「〇〇はここ数年で会員数が100万人まで増えました。というのも大手プロバイダーと提携して・・・」

「掲載店舗数も現在10万店まで増えてきました」

「掲載店舗へ誘導する手段としては、口コミの他に当社独自の・・・という仕組みを取り入れていまして、その結果、掲載店舗の来店者数が・・・」


販売促進担当Bさん

「そんなに会員数が多かったんですね」

「たしかに、御社独自の・・・という仕組みは来店者も増えそうですね」


営業担当Aさん

「そうなんです、新規の来店者が増えたって喜んでもらっていまして」

「また、来月からテレビCMも放映しますので、会員数はさらに増えると思います」


販売促進担当Bさん

「そうなんですか、当社も今年は出店を増やしているので、プロモーションには力を入れていて」


営業担当Aさん

「当社のサイトに掲載していただくと、新店の来店者数も増えると思いますがいかがでしょうか?」


販売促進担当Bさん

「今は、他社の△△に掲載していて効果が出ているので、すぐに掲載は難しいと思います。

ただ、プロモーション施策を見直す時には検討させていただきます」


営業担当Aさん

「ありがとうございます。その際にはぜひお声がけください」

「また、定期的に訪問させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします」


販売促進担当Bさん

「そうですね、定期的にお越しください」



Aさんは会社に戻って上司に報告・・・

「今は検討できないようですけれど、興味を持ってくれているので、定期的に訪問して関係を作って、お客さんが次に検討するときに提案します」



そして、

1か月後にキャンペーンを企画したので説明しに訪問。


2か月後の営業会議・・・


Aさん

「訪問するネタがなくてお客さんに連絡できていません」

「紹介するものがなくて・・・」


上司

「見込みのあるお客さんなんだから訪問しないと」

「他社サイト△△の状況を教えてくださいって言ってアポイントをとれよ」



そして、翌月の営業会議・・・


上司

「あのお客さんどうなった?」


Aさん

「連絡がつかなくなってしまいまして」

「何度も電話したんですけど出てくれないし、メールしても返信がないし」



ここで問題です。


Aさんは、

なぜ、定期的に訪問できなくなってしまったのでしょうか?

なぜ、連絡がつかなくなってしまったのでしょうか?


初回訪問のときに「定期的にお越しください」って言っていたのに・・・



実は、販売促進担当Bさんは6か月後に他の飲食店情報サイト□□に掲載していました。

□□の営業担当Cさんとは、Aさんの初回訪問の1週間後にはじめて会いました。

その後、Cさんは、5か月間、定期的に訪問し初回訪問から6か月目に受注を獲得したそうです。



営業担当Cさんがはじめて訪問した時・・・


営業担当Cさん

「当社の飲食店情報サイト□□は、会員数が・・・」と軽くサービスを説明した後に・・・

「御社は、郊外の店舗を増やしているみたいですね」

「今まで新宿や渋谷など都心の主要駅近くの店舗が多かったのに、なぜです?」


販売促進担当Bさん

「主要駅周辺は競合のステーキ・ハンバーグ店が非常に増えて、顧客の奪い合いになっているんです」

「だから、ステーキやハンバーグを安価で提供できるという強みを生かして、ファミリー層や学生を取り込もうと郊外の出店を増やしているんです」


営業担当Cさん

「そうなんですか、たしかにステーキやハンバーグは子供連れのファミリーや学生にも人気がありますからね」

「ターゲット層が変わるとプロモーションも変えないといけないですよね?」


販売促進担当Bさん

「そうなんです、今までは社会人向けだったので「安価、すぐに食べられる」というイメージを前面に出していたんですが、ファミリー層や学生には変えないと・・・」


営業担当Cさん

「そうですよね、広告の出し方や囲い込み施策なども考えないといけないですよね」

「異業種も含めて参考になる事例や情報があったら持ってきますよ」


販売促進担当Bさん

「ありがとうございます。これから考えないといけないことなので助かります」



そして、

ターゲット層の変更や郊外のプロモーションの成功事例などを探して・・・


1か月後、

「郊外に展開している店舗のプロモーションで参考になりそうな事例があったのでお持ちますよ」

2か月後、

「当社の飲食店情報サイト□□をリニューアルしたんですが、ファミリー層や学生の来店促進には有効かと思いますのでお時間をください」

3か月後、

「メルマガでファミリー層の囲い込みに成功している企業の事例があったのでお持ちしますよ」

・・・


5か月後に販売促進担当Bさんから連絡がきました。

「掲載している飲食店情報サイト△△の効果が上がらないので、相談にのって欲しいんですが・・・」


そして、提案し受注!



AさんとCさんの違いは?



初回訪問で・・・

Aさんは、自分が売りたい商品に興味を持ってもらいました。

Cさんは、お客さんのプロモーション戦略、販売促進担当Bさんのミッションや課題について把握してきました。


つまり、

Aさんと販売促進担当Bさんは、Aさん(自分)の商品について共有。

Cさんと販売促進担当Bさんは、Bさん(お客さん)の戦略やミッション、課題について共有。



Aさんの問題その1

「知っていることは話せる、でも知らなければ話せない」


Aさんは、お客さんのことを知らないので、できることは自分の説明だけ。つまり商品やキャンペーンの紹介だけ。

当然、ネタは切れる。


Cさんは、お客さんの戦略やミッション、課題を知っているため、提案や参考になりそうな情報を探すことができます。

つまり、会いたいと思ってもらえるネタをあちこちから集めることができる。



Aさんの問題その2

「お客さんにとって商品の情報を提供する人に過ぎない」


Bさん(お客さん)にとって、Aさんは商品に関する情報を提供する人であり、その他のメリットがありません。

つまり、商品のことを知ってしまったら会う必要がありません。


たいしてCさんは、Bさんにとって自分の戦略やミッション、課題を理解してくれている人であり、有益なアドバイスや参考になる情報をくれる可能性のある人。

当然、いつでも会う価値がある人です。



新規開拓営業の初回訪問で大切なことは、商品に興味を持ってもらうことではなく、顧客の戦略やミッション、課題について会話し共有することです。


顧客の戦略やミッション、課題を共有すれば・・・

・解決策を考え提案やアドバイスをできる

・会いたいと思ってもらえるネタを集めることができる

・悩みを理解してくれる相手としての関係を築ける(相談関係の5つの要件「悩みの共感」)



「はじめての面談だから自分を知ってもらうことが大切」という誤った考えにより、初回の訪問で一生懸命に自分の会社や商品をPRしている営業が多く見受けられます。


その結果、提案もできない、定期的に訪問できない、顧客と関係も作れない・・・


顧客の課題を把握すれば、様々なことができ可能性が広がるのです。


初回訪問で大切なことは、自分を理解させることではなく、相手を理解することです。

そのためには、顧客の戦略やミッションについて会話しましょう。

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