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商品説明の目的は期待の確保

商品を理解させるものでなく課題を聞き出すためのもの

2019年6月15日

顧客に新商品を一生懸命に説明すると・・・

・機能や価格に対し反応が悪い、否定的

・途中からあまり聞いていない

・ ・・・・・


そして、帰りの電車の中で、同行した上司に「顧客担当者の意識が低い」「あの顧客はニーズがない」「うちの商品力が弱い」


実は、これらは顧客や商品力よりも商品説明の方法に問題があることの方が多いのです。



求人広告の営業担当Aさんが、新規訪問したときのことです。

まだ求人広告の掲載を検討していないけれど、今後のために聞いておきたいとのこと。


訪問して会社紹介をした後に商品説明・・・


パワーポイントの資料を順番に15分ぐらい説明。

「掲載企業の傾向は、・・・で○○業界に強い」

「会員を増やすために、検索エンジンで・・・、テレビCMで・・・」

「そのため、会員数が・・・・」

「会員の割合は、男女比で・・・、年齢別で・・・、希望職種別で・・・」

「掲載する広告の構成としては、・・・」

「機能としては、・・・」

「登録した求職者の情報を職種、年齢別にセグメントしターゲットメールを・・・」

「料金体系が・・・、費用対効果を上げるため・・・」


一生懸命に説明しても、あまり反応が良くない・・・

後半は聞いているんだか、いないんだか・・・


商品説明の後に顧客と会話をしていると・・・

「人材紹介会社を利用していて、応募者数は多い」

「内定を出した人の入社率は高い」

「だけど、入社した後に辞めてしまう人が多い」

「待遇や安定性に惹かれて入社するけれど、仕事が忙しいので辞めてしまうのでは」

「環境や指導方法に問題もあるけれど、採用にも問題があるかもしれない」


つまり、顧客は漠然と「採用にも問題があるかもしれない」と思っている程度で「会員を増やすための検索エンジン、応募を増やすための会員数や会員属性の情報、ターゲットメール」に興味がありませんでした。

当然、反応も良くないし、真剣に聞かなくなるでしょう。



ここでみなさんに質問です。

商品説明の目的は何?



この質問をすると、たいていの営業担当者がこのように答えます。


商品を買ってもらうために・・・

・商品の機能やしくみを理解させること

・競合に対する強みや優位性を理解させること

・トラブルがない、不良品が少ないと信用させること


すべて商品そのものを理解させることが目的になっています。

そのため、自分が理解してもらいたい機能、強み、実績、事例ばかりを説明する・・・

顧客が聞きたいこと、知りたいことではなく・・・



人は、自分の悩みを理解すると解決策としての商品に興味を持ち真剣に聞こうとします。

反対に、悩みがないと思っている、また悩みを漠然としか理解していないときは、表面的にしか聞こうとしません。


Aさんの場合も、顧客は「採用にも問題があるかもしれない」と漠然と思っている程度です。すると「検索エンジン、会員数や会員属性、ターゲットメール」に対して表面的にしか聞こうとしません。

当然、反応が良くない、後半は聞いているんだか、いないんだか・・・



商品の詳しい機能や強みの説明は、顧客と課題について会話をして、自分が課題を把握した後、また顧客に課題を理解させた後にするべきものです。


課題の会話をした後に、その課題に合わせて説明してあげると、顧客は興味を持ち、真剣に聞こうとします。


Aさんの場合も、

「辞めてしまう人が多いのは、人材紹介会社が応募者に仕事内容を伝えるところに問題があるのでは・・・」といった課題について会話し理解させた後で、

「忙しくても成長できる仕事という魅力を伝える手段」として広告の構成やターゲットメールの機能や強みを説明していたら、顧客は興味を持ち真剣に聞こうとしてくれたかもしれません。



商品紹介を目的とした面談や新規顧客の訪問など、営業活動では顧客の課題を聞く前に商品を紹介をすることもあります。


詳しい機能や強みの説明を課題の会話の後にするのであれば・・・

商品紹介の面談や新規訪問のとき、はじめにする商品説明は何のためにするのでしょうか?


商品説明の目的は?



「期待の確保」です。

顧客に「この商品はもしかしたら役に立つかもしれない」と期待をさせることです。



商品の詳しい機能や強みは、課題について会話をした後に理解させるもの。

そして、その課題の会話をする(=顧客に課題について話をさせる)ために必要なことがひとつあります。


それは「期待」


人は、まったく期待していない相手に悩みを話したり、相談したりしません。

悩みについて話をさせる、相談させるためには「もしかしたら役に立つかもしれない」と期待をさせることが必要です。


はじめにする商品説明の目的は、機能や強みといった商品そのものを理解させることではなく、課題について話しやすい関係を作るために期待をさせることです。


つまり、機能や強みに興味を持たせる流れは以下の順番です。

①商品説明で期待させ顧客が課題を話しやすい関係を作る

②会話(ヒアリング)で課題を聞きだす

③聞き出した課題に合わせて、商品の詳しい機能や強みを説明する



では、顧客は商品の何に対して期待をするのでしょうか?


それは、機能や強みではありません。

機能や強みを使って何ができるのか?そしてどのようなメリットがあるのか?です。

つまり、商品の機能や強みに対する用途(課題解決)と課題解決による効果(メリット)です。


Aさんも、一生懸命に広告の構成やターゲットメールそのもの(機能や強み)を説明するのではなく、

・広告の構成やターゲットメールによって、どのような情報を訴求できるか

・情報を訴求できることによって、どのようなメリットがあるのか

を説明するべきでした。


そして、期待の確保を目的とした商品説明は、長すぎてはいけません。

「この商品はもしかしたら役に立つかもしれない」と思わせる程度の説明です。

商品にもよりますが、一方的に話す商品説明で15分は長すぎます。


興味のない話を15分もされたら真剣に聞かなくなります。


商品の詳しい説明は課題について会話をした後にしましょう。

課題(悩み)を理解すれば、いくらでも真剣に聞いてくれます。


商品紹介の面談や新規訪問のとき、はじめにする商品説明では期待させることを考えましょう。

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