展示会で見込み顧客を獲得する
多くの顧客に商品紹介より、多くの顧客と課題について会話する
2022年7月15日
センサーメーカーのセントコーポレーションが新商品の発売に合わせて展示会に出展していました。
今回の展示会で多くの見込み顧客を獲得したい・・・
展示会当日
開場の前に全員が集まってミーティングしていました。
新商品販売部長
「おはようございます」
「この展示会で多くの見込み顧客を獲得するために、より多くのお客さんに商品を紹介するように」
「そして展示会後にアプローチできるように、より多くのお客さんと名刺交換をしてください」
「それでは、展示会の手順を説明します」
「ブースに入った人、またはブースの前で立ち止まった人には声をかけてパンフレットを渡してください」
「パンフレットを渡したら、まずは名刺交換です」
「名刺交換をしたらパンフレットの説明をして興味がありそうだったらデモに誘導してください」
「デモは、デモンストレーション担当が引き継ぎいでください」
「接客が終わるときには必ずアンケートを記入してもらってください」
「それでは頑張っていきましょう!」
展示会中
営業担当Aさん
ブースの前でパネルを見ているお客さんがいたので・・・
「パンフレットをどうぞ」とパンフレットを渡した後に名刺を交換して
「当社のセンサーは検知精度が高いので・・・」とパンフレットを見せながら説明し
「よろしければデモンストレーションもございますので」と半ば強引にデモに誘導し
「桜井さん、デモンストレーションお願いします」とデモンストレーション担当に引き継ぎ・・・そして次のお客さん。
展示会後
新商品販売部長
「今回の展示会ではみなさん本当によく頑張ってくれました」
「おかげで昨年の展示会の2倍も名刺を集めることができました」
「この後の営業活動も頑張ってください」
ところが・・・
電話やメールをしてもアポイントがとれない。
アポイントがとれても見込み顧客を獲得できない。
営業担当Aさんがテレアポ
「先日は当社のブースにお立ちよりいただきありがとうございました」
「ご挨拶させていただきました○○です」
「来場者が多くて会場が混んでいたようですがご興味のあるブースを見ることができましたか?」
と軽く雑談した後
「あらためて、当社商品のご紹介に伺いたいのですが」
お客さん
「とりあえず、展示会でデモを見たので社内で検討してみます」
「必要だったらお声がけしますので、その時はよろしくお願いします」
と体よく断られていました。
なぜ、アポイントがとれないのでしょうか?
なぜ、アポイントがとれても見込み顧客を獲得できないのでしょうか?
多くのお客さんに商品を紹介し、多くのお客さんと名刺交換できたのに、セントコーポレーションは何が良くなかったのでしょうか?
みなさんも考えてみてください。
多くのお客さんに商品を紹介でき、多くの名刺を集めることができました。
しかし、アポイント獲得や見込み顧客の獲得といった営業成果につながらない。
この営業成果につながらない原因を展示会自体のせいにしていることが多い・・・
・来場者が少なかった
・来場者は同業他社が多く情報収集目的できている
・時期が良くない、お客さんが検討する時期を逃している
・ブースの位置が悪い、パネルが悪い
・ ・・・・・
本当に悪いのは来場者でも時期でもブースの位置でもありません。
接客方法です。
セントコーポレーションの競合メーカーであるリーディングカンパニーも展示会に出展していました。
リーディングカンパニーの営業担当Bさん
パンフレットを手にしたお客さんに「センサーをお探しですか?」
お客さん
「そういうわけじゃないんだけど、いろいろと情報収集したくて」
Bさん
「そうですか、よろしければお名刺を交換していただけますか?」
と名刺交換し社名を見て「介護業界の方ですか?」
お客さん
「そうなんです、検討しているわけではないんですが、入居者の安全管理のために情報収集しようと思って展示会にきたんです」
Bさん
「そうなんですか、今の介護施設はセンサーも重要にみたいですね」
「徘徊者の見守りとか、ベッドで状態を確認するためのセンサーとか」
お客さん
「そうなんです、見守り用には施設内にセンサーを設置して監視しているから問題ないんですが、入居者がベッドから落ちてけがをすることがあって」
Bさん
「そうなんですか、大変ですね。ご家族からクレームにもなったりするでしょうし」
「介護士さんも24時間見張っているわけにもいかないですしね」
「施設のベッド数は多いんですか?」
お客さん
「ベッド数はそれなりに多い方だけど、神奈川県に3施設目を立ち上げる予定なんです」
Bさん
「そうなんですか、介護士さんを採用するのも大変ですよね」
「少しご説明させていただきますと、うちのセンサーは検知精度が高いので・・・」
とパンフレットを見せ ながら説明してデモに誘導しました。
後日、お客さんにテレアポをして
「先日は当社のブースにお立ちよりいただきありがとうございました」
「ご挨拶させていただきました○○です」
「先日、入居者様がベッドから落ちてけがをすることがあったとおっしゃっていましたけど、展示会で対策になりそうな商品やサービスはありましたか?」
お客さん
「そうだね、参考になりそうな商品はいくつかあったけど」
「介護施設のベッドの場合は、転落防止以外にも、体温の管理や寝返りしているかなどいろんなことを考えなくちゃいけないから難しいんですよね」
Bさん
「神奈川県で3施設目を立ち上げるっておっしゃっていましたけど、介護士さんの採用も大変でしょうからセンサーで入居者の状態を把握する環境は重要なんでしょうね」
お客さん
「そうなんです、社長からも対策を考えるよう言われていて」
Bさん
「当社でお役に立てるかわかりませんが一度お話をお伺いさせていただけませんか?」
「医療機関にも導入しているので参考になるお話もできるかと思いますので」
お客さん
「そうですか、ありがとうございます」
「そうしましたら来週の火曜日はいかがですか?」
セントコーポレーションAさんとリーディングカンパニーBさんの違いは?
お客さんの課題について会話しているか、していないかです。
セントコーポレーションAさんは商品を説明することに一生懸命。
リーディングカンパニーBさんはお客さんの課題を聞くことに一生懸命。
その結果・・・
Aさんはお客さんの課題を知りません。そして、お客さんは商品についてある程度知っています。
Aさんがテレアポでできることは「商品を紹介したい」
しかし、お客さんは「ある程度知っている」
たまたま商品を探しているお客さんであればアポイントを獲得できますが、そうでなければアポイントになりません。
※課題・提案内容想定>「顧客の課題とは?(顕在課題と潜在課題)」参照
反対に、Bさんはお客さんの課題を知っています。
テレポアでお客さんの課題について会話することができます。
そのため、商品紹介でなくお客さんの課題に対して適切な切り口(解決策や有益な情報提供など)でアポイントを獲得できます。
「神奈川県で3施設目を立ち上げる」
「介護士さんの採用も大変」
「センサーで入居者の状態を把握する環境は重要」
これは展示会でお客さんの課題について会話していたから言えたことです。
実際に展示会に行ってみると、お客さんの課題について聞きもせず、商品紹介ばかりしている会社がほとんどです。
業界や事業内容すら聞かれないことも多い・・・。
商品紹介ばかりしていると、アポイントを獲得できないだけなく、その後の流れが変わり、仮に獲得できたアポイント(商談)でも見込み顧客を獲得しにくくなるのです。
展示会で課題を聞かず商品紹介。
すると、課題を知らないので商品を紹介しアポイント獲得。
すると、課題を知らないので商談で商品紹介しかできない、課題を聞き出せない。
展示会で課題について会話。
すると、課題を知っているので課題について会話し、より具体的な課題を聞いてアポイント獲得。
すると、より具体的な課題を知っているので、商談ではお客さんの課題解決の話ができる。
展示会で売上を上げたいのであれば・・・
「多くのお客さんに商品紹介」ではなく「多くのお客さんと課題について会話」が大切です。
そもそも受注獲得を目的とするならば、受注獲得から展示会を考えなければなりません。
1.どのような提案であれば受注を獲得できるのか?
2.どのような商談であれば提案を獲得できるのか?
3.どのようなアポイントであれば商談を獲得できるのか?
4.どのような展示会であればアポイントを獲得できるのか?
展示会で「多くのお客さんと課題について会話」するためには、下の3点を見直してみてください。
・接客の流れ
挨拶から最後のアンケートまでの接客の中で、どこでお客さんの課題について会話するか。
・会話の内容
お客さんの課題についてどのような話をどのような順番でするか。
※ヒアリング・ニーズ発掘>「課題・ニーズ発掘のヒアリング」参照
・ブースに設置するパネルや配布するパンフレット
お客さんと課題について会話しやすいパネルやパンフレットになっているか。
パネルやパンフレットの構成や情報も大きく影響します。
※提案>「提案を促進するためのパンフレット」参照
展示会では、商品紹介よりもお客さんの課題について会話することに注力しましょう。
そうすると、アポイントや見込み顧客の獲得といった営業成果に結びついていきます。
(補足)
アンケートで課題を把握しようとする会社が多いのですが接客時の会話が大切です。
アンケートで課題をチェックしても、お客さんの課題に関する情報を知らないため・・・
展示会後のテレアポで、
「アンケートで入居者の安全管理という課題にチェックされていたのでお電話したのですが」と切り出しても、
その後にできることは「当社のセンサーは・・・」と商品を紹介することぐらいしかできません。
アンケートで課題をチェックしてもらっただけでは、お客さんと課題について 会話できません。
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