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営業強化は中期視点で考える

今期の売上ばかりだと来期以降も苦労する…いつまで経ってもずっと苦労

2022年3月15日

提案力や商談力、戦略営業など営業強化を考えて進めようとしている。

しかし、「忙しいからできない」「仕事が多くて大変」となかなか徹底できない、進まない。



ある会社の営業部長AさんとマネージャーBさんがもめていました。


2年前・・・


営業担当者にアカウントプラン(お客さんから受注を獲得するための戦略と計画)を作らせて営業強化を進めようとしていました。


営業部長Aさん

「アカウントプランを見たけどちゃんとやっていないだろう」

「営業担当者があきらかに手を抜いている」


マネージャーBさん

「みんな慣れていないからうまく作れなくて」

「今まで御用聞き営業しかやってこなかったから、戦略や提案を考える方法も知らないし」


営業部長Aさん

「だったら勉強すればいいじゃないか」

「戦略や提案の本も売ってるし、インターネットで調べればいろんな情報があるだろう」


マネージャーBさん

「そんなこと言ったってみんな忙しいんですよ」

「売上目標だって3億円ですよ。前期の2億8千万円だって頑張ってギリギリ達成したっていうのに」

「営業社員も増やしてもらえないし、技術部のせいでトラブル対応も多いし」


営業部長Aさん

「でも、このままじゃダメだろう」

「うちの会社も技術力に依存しているばかりじゃなくて営業力も強化しないと」


マネージャーBさん

「今期の売上目標を達成しなくていいんだったらやらせますよ」

「でも、そういうわけにいかないですよね」


営業部長Aさん

「わかった、その代わり何としても今期の売上目標3億円を達成しろよ」


そして、期末にギリギリで売上目標を達成。



そして、期が変わり1年前・・・

何とか3億円の目標を達成したので売上目標は3億2千万円に。


この年もアカウントプランを作らせて営業強化を進めようとしていました。


営業部長Aさん

「アカウントプランを見たけどちゃんとやっていないだろう」

「営業担当者があきらかに手を抜いている」


(あれ?前の年と同じ会話では・・・)


マネージャーBさん

「みんな慣れていないからうまく作れなくて」

「今まで御用聞き営業しかやってこなかったから、戦略や提案を考える方法も知らないし」


営業部長Aさん

「1年前も同じことを言っていたぞ」


マネージャーBさん

「今までやってこなかった営業社員にいきなり戦略を作れと言ったってちゃんと作れないし、仮に作ったとしても実行できないですよ」

「一番大切なのは今期の売上目標ですよね?」

「アカウントプランが負担になって今期の売上目標を達成できなくなりますよ」

「逆効果ですよ」


そして、期末の売上が3億円・・・売上目標の3億2千万円は未達成。



そして、期が変わり今年・・・

今期の目標は前期と同じ3億2千万円。


はたして売上目標を達成できるでしょうか?


ラッキーパンチで大型案件を受注すれば達成するかもしれません。

しかし、”順当”にいけば未達成です。



ここでみなさんに問題です。


マネージャーBさんの会話の中で営業マネジメントの考え方に関する大きな間違えがあります。

それは何でしょう?



そもそも売上ってどうやって上げるのでしょうか?



営業は戦略、戦術、体制の下、5つの力で売上を上げる仕事です。


「5FS(Five force of sales)」


①.個人の営業力

②.情報・ノウハウ力

③.販促・ツール力

④.連携力

⑤.マネジメント力(修正力)


①.個人の営業力

お客さんと関係を作る力、説明力、情報収集力、説得力や交渉力、提案や戦略を考える力、マインド力・・・。


この個人の力が売上を上げるための直接的な力。


②.情報・ノウハウ力

会社や個人に蓄積されている情報やノウハウ。

お客さんやお客さんの業界の情報、商品や提案の知識やノウハウ、同業他社への提案や事例などの情報。


③.販促・ツール力

商品を認知させる広告などの販売促進、パンフレットや事例集などの営業ツール。


④.連携力

企画や技術、契約を担当する法務など他の部門との連携(他の部門のサポート)。


情報・ノウハウ力と販促・ツール力、連携力は、個人の営業力を促進するための力。


⑤.マネジメント力(修正力)

営業進捗やお客さんの状況に合わせて問題点を見つけ適切な対策を考え修正する力。


マネジメント力(修正力)は、①~④を適正化する力


適正な戦略、戦術、体制の下、この5つの力で売上を上げるのが営業という仕事です。



では、①個人の営業力と②情報・ノウハウ力とはどのような力なのでしょうか?


お客さんと関係を作る力も提案力もやり方を教わればすぐにできるというものではありません。


提案は、話し方や聞き方、お客さんとの関係に左右されるし、お客さんの状況や性格に合わせて変えなければなりません。

仮に、提案力が身についても、説得力や交渉がなければ売上に結びつかないし、そもそも情報収集力がなければ提案に至りません。


しかし、個人の営業力はやり方を学び行動し様々な経験をすることで蓄積されるものです。


情報・ノウハウ力とは、会社や個人に蓄積されている情報やノウハウです。

様々な行動をすることで蓄積されるものです。


つまり、個人の営業力と情報・ノウハウ力は、行動することで蓄積される力であり、蓄積された力が成果である売上につなげるのです。


すぐには成果(売上)に結びつかない力。

徐々に蓄積される力であり、徐々に成果(売上)に結びつく力。


1年間通して行う(徹底&継続する)ことで蓄積される力であり、来期以降の成果に結びつく力です。


1年間通して行う(徹底&継続する)ことで来期に新たな個人の営業力、新たな情報・ノウハウが蓄積されている・・・1年間の努力の結果、来期の営業が変わっているのです。


同じやり方、同じ行動をしていても、個人の営業力も会社や個人に蓄積されている情報・ノウハウも変わりません。

その結果、来期も同じような営業活動を行い、同じように苦労するしかないのです。



マネージャーBさんの間違えは・・・

「一番大切なのは今期の売上目標ですよね?」



会社は今期だけでなく中長期的に発展しなければなりません。

その会社で働く営業にとって、今期の売上と同じく中長期的な来期以降の売上も大切なことです。

中長期的な来期以降の売上の方が大切かもしれません。

今期の売上目標を達成できなければ会社が倒産してしまうというなら別ですが・・・


今期の売上だけを考えると、来期以降の成果に結びつく個人の営業力や情報・ノウハウにこだわらなくなります。

今期の売上に直結する目先の案件、目の前の仕事ばかりになる・・・目先の仕事に追われる。


「忙しい」「仕事が多くて大変」とよく聞きますが、目先の仕事に追われて中期的な視点で考えなければ、来期も「忙しい」「仕事が多くて大変」です。



個人の営業力や情報・ノウハウが蓄積されると、売上が上がるだけでなく仕事も楽になります。


話し方や聞き方、お客さんとの関係が変われば、2回訪問していた商談が1回で済むようになる。

情報があれば今まで3回で説得していたお客さんを1回で説得できる。


商談の回数が2分の1、説得の回数が3分の1になったらどれだけ楽になるでしょう。



今期の売上目標を達成することも大切ですが、今期の売上ばかりでなく来期以降のことも考えましょう。

そして、来期以降の売上のため、仕事を楽にするため、営業強化に取り組みましょう。


「アカウントプラン」も真剣に取り組んでいたら、来期の営業が変わっていたのです。

来期の苦労は今期の自分の行動が原因です。



多くの営業責任者やマネージャーが来期の営業計画を考えている時期かと思います。

来期の営業計画だけでなく、中期視点で再来期以降のための営業強化も考えましょう。





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