予算を聞き出す
聞き出しにくい情報は仮説をぶつけて収集する
2017年1月15日
顧客の予算、決裁者、競合・・・
いずれも見込案件の判断や受注獲得には必要な情報です。
しかし、顧客はなかなか教えてくれない・・・
今回は、顧客から教えてもらいにくい、聞きにくい予算を聞き出す方法についてお話ししましょう。
通販サイト構築会社の営業担当Aさんからこのような相談を受けました。
「予算を聞いているんですけど、なかなか教えてもらえないんです。どうしたら聞けるんですか?」
そこで、Aさんに顧客担当者との会話のやりとりを聞いてみました。
Aさん
「通販サイトを作りたいんですね。ご予算はどのくらいですか?」
顧客担当者
「なるべく費用を抑えたいんだけど、どのくらい費用がかかるんですか?」
Aさん
「お客様のご要望に合せて作りますので、ご要望によって変わってきます。どのくらいのご予算でお考えですか?」
顧客担当者
「予算は通販サイト構築会社の何社かのお話を聞いてから考えます」
Aさんとの会話で顧客担当者はどのような心境だったのでしょう?
予算を伝えると・・・
・本当は安くできたとしても、伝えた予算に合せて高く提案されてしまう
・欲しいもの、作りたい通販サイトの内容より予算を重視して提案されてしまう
本当に予算が決まって いない、情報収集しているという状況かもしれませんが、顧客の心境を考えると、仮に予算が決まっていたとしても伝えないでしょう。
また、伝えたとしても実際に確保している予算よりも低く伝えるでしょう。
では、よく予算を聞き出してくる営業担当Bさんの会話と比べてみましょう。
Bさん
「前期から業績がいいようですね。業績が悪くなると投資しにくくなるので、業績のよい今のうちに投資して通販ビジネスを広げようということですか?」
顧客
「そうなんです、おかげさまで前期から業績がいいんです。業績が悪くなると予算をとりにくくなるけど、今期はある程度予算をとれるので」
Bさん
「そうなんですか。〇〇社様の通販サイトレベルだと一般的に500万円ぐらいかかるみたいですけど、御社もそのぐらいで考えてます?」
顧客
「いや、うちの場合、顧客管理の機能を充実させないといけないから100万円~200万円ぐらいは高くなると思うんだけど・・・」
Bさんは、
・ある程度予算をとっている、またはとれる
・考えている予算、予想している費用は600万円~700万円程度
との情報を収集して会社に帰ってきました。
AさんとBさんは何が違うのでしょう?
答えは、
Aさんは直接的な質問で予算を聞こうとし、Bさんは仮説をぶつけながら予算に関する情報を聞き出しています。
つまり、
Aさんは、「予算はどのくらいですか?」と直接的な質問で収集。
Bさんは、「~~~という状況だと、おそらく~~~なのでは?」という仮説をぶつけて収集。
営業担当者の中では顧客に「予算」「決裁者」「競合」を教えてもらえないと苦労している人が多く、そして、部下が聞いてこないと悩んでいる上司も多い・・・
この教えてもらえない、聞いてこないという問題の多くは「聞き方」にあるのです。
予算、決裁者、競合など教えてもらいにくい情報は直接的な質問では聞き 出しにくいのです。
つまり、
「予算はとっていますか?予算はどのくらいですか?」
「決裁者はどなたですか?」
「他にお声掛けされている会社(競合)はどちらですか?」
ではなかなか教えてもらえないのです。
Bさんの場合は・・・
仮説「業績がいい」「業績がいい今のうちに投資しようとしているのでは?」を顧客にぶつけることで、
顧客の反応「悪くなると予算をとれない」「今は業績がいいので予算をとれる」という情報を収集しています。
仮説「〇〇社レベルだと一般的に500万円ぐらいなので、同等の予算で考えているのでは?」を顧客にぶつけることで、
顧客の反応「機能の充実により一般的な価格である500万円より100万円~200万円ぐらい高くなる」という情報を収集しています。
顧客が言いにくい情報、営業が聞きにくい情報、つまり聞き出しにくい情報を収集する場合は、顧客に仮説をぶつけることで収集しやすくなるのです。
予算を聞き出すための顧客にぶつける仮説は前述した、「〇〇社の場合」や「一般的に」といった他社事例や一般的な価格から考えた仮説以外にも、
類似商品や顧客が以前購入した価格から考えた仮説をぶつけることも有効です。
(以前〇〇を購入したときは△△円ぐらいだったので今回の場合は☐☐円ぐらいで考えていますか?)
※自社の商品価格を伝えて「この予算をとれますか?」は仮説でなく直接的な質問です。
営業活動には聞き出しにくいけれど必要という情報がたくさんあります。
予算の他にも決裁者や関係者の情報、競合の情報、課題やその背景、顧客の内情・・・
これらの聞き出しにくい情報を収集する場合は、直接的な質問で顧客に聞くではなく「おそらく~~~なのでは?」という仮説を顧客にぶつけることを心がけてください。
そして、その仮説は間違えていても良いのです。
仮説に対し顧客からなんらか反応が返ってくることで情報が得られるのです。
決裁者を聞く場合も、「決裁者はどなたですか?」ではなく、
「この案件は、〇〇と△△の課題に関係するので、〇〇部と△△部を統括されている事業部長の☐☐さんですか?」
と聞きましょう。
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