top of page

コミュニケーションの改善②

オウム返しはコミュニケーションを円滑にする

2017年1月4日

今回はコミュニケーションを円滑にする方法についてお話ししましょう。


・顧客との会話が盛り上がらない

・顧客の話に何て返答すれば良いかわからない、返答に困って焦ってしまう

・商品説明と検討できるか否かばかりで顧客の状況を聞いてこない


このように自分のコミュニケーション、部下のコミュニケーションに悩んでいる人は多いものです。



1つ例をお話ししましょう。営業担当Aさんからの相談です。

「お客さんに否定されたり必要ないと言われると話が終わってしまう。話が続かないんです。」


実際にAさんの営業を見てみると・・・


Aさん

「このシステムは顧客情報の共有以外にも、登録したアドレスから直接メールを送れるので外出の多い営業の方には便利です。」


顧客

「うちの営業は会社に戻ってからメール対応しているから必要ないんだよね。」


Aさん

「差支えなければ、メール対応を外出先でしなくてよい理由を聞いてもいいですか?」


顧客

「急ぎのメールが多くないから」


Aさん

「そうなんですか・・・」


顧客

「それに、顧客や案件の情報もマネージャーに報告させているから共有できているし」


Aさん

「毎回、報告させているとマネージャーも大変だし、報告漏れが出るかもしれないので、このシステムを導入するときちんと共有できるメリットがあると思うのですが・・・」


顧客

「毎回、きちんと報告させているし、報告を受けるのもマネージャーの仕事だから必要ないです。」


Aさん

「そうですか・・・」


そして、Aさんの上司に話を聞いてみると・・・

「Aさんは、ほとんど顧客の状況を聞いてこない。断られたら理由を聞いてくるようにいつも言ってるんだけどダメなんだよ。」



なぜ、会話が続かないのでしょうか?

なぜ、上司の指示通り理由を聞いているのに、顧客はちゃんと答えてくれないのでしょうか?

なぜ、顧客の話にうまく対応できないのでしょうか?



Aさんにある指導をしたところ顧客との会話が大きく変わりました。


Aさん

「このシステムは顧客情報の共有以外にも、登録したメールアドレスから直接メールを送れるので外出の多い営業の方には便利です。」


顧客

「うちの営業は会社に戻ってからメール対応しているから必要ないんだよね。」


Aさん

「そうなんですか、メールは会社に戻ってから対応しているんですね。」


顧客

「そうなんです。急ぎのメールはアシスタントに対応させているし、顧客とのメールは簡単な見積依頼が多いからその日のうちに対応すれば大丈夫なんだ。」


Aさん

「そうなんですか、顧客とのメール対応は見積依頼が多いんですね。営業の方の見積対応ってどのくらいあるんですか?」


顧客

「どうだろう・・・、人によって違うけど多い人で週に3~4件ぐらいかな、営業担当1人で20件以上は顧客を担当しているから」


Aさん

「20件以上も担当しているんですか。大変ですね、私なんて10件ぐらいですけど大変です。」


顧客

「うちは、単価が安いから顧客数持たないといけないんだ。だから営業担当も顧客管理が大変だし、マネージャーもチェックするのが大変なんだよ。」



Aさんは、以前と比べてひとつだけ変えました。何を変えたのでしょうか?


答えは「オウム返し」

オウム返しとは、他人の言ったとおりに言い返すこと。(大辞泉)



顧客の「会社に戻ってからメール対応している」に対して、Aさんは「メールは会社に戻ってから対応しているんですね」と繰り返しただけ。


顧客の「メールは簡単な見積依頼が多い」に対して、Aさんは「顧客とのメール対応は見積依頼が多いんですね」と繰り返した後に、「見積対応ってどのくらいあるんですか?」と質問。


顧客の「20件以上は顧客を担当しているから」に対して、Aさんは「20件以上も担当している」と繰り返した後に、「大変ですね、私なんて10件ぐらいですけど大変です」と意見。


Aさんが変えたことは、顧客が言ったとおりに言い返したことです。

このオウム返しひとつで会話が大きく変わったのです。



このオウム返しには、会話を円滑にするための3つのメリットがあります。



1つ目は、

オウム返しは、相手にちゃんと聞いている、理解していると伝える効果があります。

そのため、会話に対してポジティブな意識(潜在的な会話しよう、会話したいという意識)を持たせることができ、相手が話しやすくなるのです。


以前は顧客の反応が薄い、冷たい。

「急ぎのメールが多くないから」「毎回、きちんと報告させているし、報告を受けるのもマネージャーの仕事だから必要ないです」


それが、オウム返しをしただけで、

「メールは会社に戻ってから対応しているんですね」

「急ぎのメールはアシスタントに対応させている」

「顧客とのメールは簡単な見積依頼が多いからその日のうちに対応すれば大丈夫」

と理由や状況をオウム返しの反応としてもらえています。



2つ目は、

オウム返しをはさむことで、相手の話に対する自分の意見や質問などを考える時間をもてることです。

そのため、少し余裕をもつことができ、この少しの余裕で相手の話に返答できるようになるのです。


以前は、「理由を聞いてもいいですか?」といった直接的な質問、「報告させているとマネージャーも大変」や「このシステムを導入するときちんと共有できる」という相手の話を踏まえない直接的な意見。


オウム返しをはさむことで、

「営業の方の見積対応ってどのくらいあるんですか?」という顧客の話を深堀する質問や

「大変ですね、私なんて10件ぐらいですけど大変です」という相手の話に合わせた意見を

返すことができています。


以前は、相手の話に対して「何か返さないと」「何か言わないと」「否定的な意見に対応しないと」という焦りから余裕をもった対応ができなくなっていました。

そのため、相手が答えにくい直接的な質問やズレた意見になったり、返答を返せなくなっていたのです。


オウム返しは、相手の言ったことをそのまま言い返すというあまり頭を使わない返答です。

このオウム返しをすることで次に言うべきことを考える時間を少し持て、余裕をもって会話することができるのです。

その結果、相手の話を深堀したり、相手の話に合わせた意見など適切な返答ができるのです。



3つ目のメリットは、

オウム返しが簡単にできる返答だということです。


会話の中の返答として「はい」「いいえ」の次に簡単な返答です。

その簡単な返答をすることでコミュニケーションが改善できるのです。


上司が「顧客の状況を聞いてくるように」「断られたら理由を聞いてくるように」と指導しても変わらなかったAさんが、

オウム返しを指導しただけで顧客の状況や断られたときの理由を聞いてこれるようになりました。

これは、オウム返しが簡単に実践できることだからです。



相手の反応が悪い、適切な返答ができない、顧客の情報を聞き出せない・・・

コミュニケーションに悩んでいたらオウム返しを試してみてください。

有料会員限定コンテンツです。
会員の方はログインしてください。

​関連するアドバイス

顧客視点とは想像すること

「自分がお客さんだったら」という想像が課題解決型営業を実現する

組織対策を考える方法②

決裁者が誰かを把握するだけでなく背景のMCPPCを把握する

顧客を想像する方法

現場の状況や課題は7つの要素をひとつずつ想像する

顧客課題を考える方法(潜在課題)

お客さんの潜在課題は商品や技術用語禁止で上位の課題を考える

説得力の6つの要件「具体性」

業務効率、生産性という言葉では意味はわかるけどイメージできない

戦略を考えるための3C・SWOT分析

集めた情報を比較できるように想像してもう一歩落とし込む

顧客の経営課題を考える方法①

「どういうこと?」と「なぜ?」で具体的な内容と重要性にこだわる

訪問商談とオンライン商談の違い

表情がわかりにくいオンライン商談は顧客を想像して資料を準備

戦略営業は課題の想定から

受注獲得計画(アカウントプラン)は課題がわからなければ考えられない

顧客を知るには「聞く・調べる・考える」

課題解決型営業・戦略営業は顧客の情報がなければ成り立たない

「なぜ?なぜ?」による指導

対策や指導には「なぜ?なぜ?」による原因追及が必要

指導力を強化するための情報共有

営業の指導は全体的な情報の共有と原因の考察から始める

仮説提案の目的

仮説の提案は情報収集と課題・ニーズ発掘のためのもの

顧客の立場で課題を想像する

顧客の課題を想像するためには顧客の商品を理解することから始める

bottom of page