IR資料による顧客の調べ方
顧客を知りたければ、どこに、何が書いてあるかを明確にする
2019年9月15日
課題解決型営業や戦略営業は顧客の情報から考える営業です。
顧客の情報がなければ成り立たない。
「顧客の課題や提案」も「予算や計画の対策」 も「決裁者や組織対策」も、顧客の情報がなければ考えられない・・・
みなさんは、どうやって顧客の情報を把握していますか?
オフィス家具メーカーの営業担当者Aさんはいつも上司に「お客さんの経営課題を把握するように」と指導されていました。
そしてある日、担当顧客の日用品メーカーから事務所移転の話を聞き訪問しました。
一通り顧客の要望を聞いた後・・・
Aさん
「御社の経営課題を教えてもらいたいんですが」
顧客担当者
「なんで?」
Aさん
「御社の課題をより理解するために必要だと思いまして」
顧客担当者
「さっき営業部と技術部のコミュニケーションが課題と話したじゃないですか」
「今まで拠点が離れていたので、事業所を統合する時に、もっと連携を密にする必要があるって」
Aさん
「そうなんでけれど、その理由とか背景を知りたくて」
顧客担当者
「経営課題なんて聞いてどうするの?」
Aさん
「・・・、参考までに知りたかったので・・・すみません」
会社に戻って上司に報告すると・・・
Aさん
「聞いたんですけれど教えてもらえなくて」
上司
「聞き方が悪いんだよ」
Aさん
「じゃあ、どう聞けばいいんですか?」
上司
「・・・・・」
Aさん
「そもそもデスクや什器の営業だから、事務所移転の情報とお客さんの要望を聞ければいいじゃないですか」
「経営課題なんて教えてもらえないし、必要ないですよ」
上司
「お客さんのIR資料とか読んだ?」
Aさん
「読んでません」
上司
「自分のお客さんなんだからIR資料ぐらい読んでおかないと」
「有価証券報告書にはいろいろと書いてあるよ」
Aさんは多少不満げに
「・・・、わかりました」
Aさんは、自分の席に戻ってから顧客のホームページで有価証券報告書を探して見てみました。
ところが100ページも・・・
他の仕事もあったので、後で読もうと思い1か月が経ってしましました。
ここで質問です。
Aさんは、どうしたら担当顧客の経営課題を把握できたのでしょうか?
上司は、どのように指導すれば良かったのでしょうか?
上司は「聞き方が悪いんだよ」と指導していますが、
いきなり「経営課題は?」「御社の戦略を教えてください」と聞いたって教えてくれないでしょう。
仮に「御社のことをもっと知りたいので」や「上司に聞くように指導されているので」と前 置きをしても「聞いて何をしようとしているのか」と不信に思われるでしょう。
商品の提案に対して直接的な課題でない経営課題や戦略は質問するのではなく会話の中で聞き出さなければなりません。
そして、顧客と経営課題や戦略について会話するためには情報(ネタ)が必要です。
そのためには、事前に調べておかなければなりません。
では、なぜAさんは調べないまま、有価証券報告書を読まないまま、1か月も経ってしまったのでしょうか?
有価証券報告書には様々なことが書いてあり、有益な情報がたくさんあるのに・・・
営業という仕事は、関係者が多く、流動的な仕事です。
集中して調べようと思っても、
上司から営業の進捗状況を聞かれ対応しないといけない
他の部門から資料の確認の問い合わせが入り対応しないといけない
顧客からも電話やメールがきて対応しないといけない
今日は時間があるので調べてみようと思っても、
急ぎの引き合いが入り対応しないといけない
トラブルが発生すると、上司に報告したり、顧客に謝罪にいかないといけない
上司に売上が足りないと怒られて、他 の顧客に訪問しないといけない
まとまった時間を作りにくい・・・
営業の仕事の特性を考慮すると、顧客のことを把握するためには、短時間で調べる、移動中や仕事の合間に調べる必要があります。
しかし、100ページも・・・
「IR資料ぐらい読んでおかないと」「有価証券報告書にはいろいろと書いてあるよ」と指導されても、仕事に追われている営業には調べられません。
有価証券報告書は、株式公開している企業に義務付けられている資料です。
そのため、書式や項目とその項目の順番も決まっています。
つまり、100ページをすべて読むのでなく、100ページの中の必要な項目だけ読めばよいのです。
顧客の課題や提案、予算や計画の対策、決裁者や組織対策に必要な顧客の経営課題や戦略を把握するためには、以下の3項目を読めばよいのです。
①.「主要な経営指標等の推移」
・・・5か年の売上や利益の推移(変化)
②.「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」
・・・前期の市場環境、実施した戦略や計画、その結果としての業績(①の理由)
③.「経営 方針、経営環境及び対処すべき課題等」
・・・今期の市場環境の予測、経営課題や重要な戦略(①②を踏まえて今期やること)
特に「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」には、
・うちの会社は今期、これと、これと、これに力を入れていきます
・うちの会社は今期、これと、これと、これにお金をかけます
と書いてくれているのです。
調べる場所が特定できれば、短時間で、移動中や仕事の合間に経営課題や戦略を把握できます。
自分の顧客が未上場の会社であれば、同業他社の有価証券報告書の「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」を読みましょう。
同業であれば、市場環境は同じで経営課題や戦略は類似し参考になります。
他にも、「会社概要」「事業内容」「組織図」「採用情報」「決算説明会資料」「事業報告書」・・・
営業担当者が顧客の情報を知りたければ、
「どこに、どのような情報があり、その情報から何を考えるのか」を明確にしましょう。
上司は、情報の探し方と情報から考えることを標準化しましょう。
インターネットが普及し、情報公開が進んでいる今日、様々な情報が公開されています。
その反面、情報量が膨大で探すのも大変です。
「ホームページを見ろ」「有価証券報告書を読め」では必要な情報を探せないのです。
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