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実績のアピール

実績そのものではなく、実績の重要性をアピールする

2018年10月15日

商品紹介や提案の場面で、商品や会社の信用性や良さを理解してもうために実績をアピールすることも多いでしょう。


しかし、一生懸命に実績を説明しても、ほとんど聞き流されている・・・

多少反応してもらえたとしても顧客の検討にはたいして影響を与えていない・・・



営業担当Aさんが上司Bさんと〇〇社に対するタブレットの提案書について打ち合わせをしていたときのことです。


Aさんの提案書を見ると・・・

1枚目に、提案の背景として、顧客の課題や要望

2枚目に、提案のコンセプト

3枚目以降に、提案の詳細

そして最後の方に、タブレットに関する大手顧客への導入実績を一覧でまとめてありました。


<当社導入実績>

大手食品メーカー△△社

(用途)全社のコミュニケーション活性化、(導入)1000台

大手自動車メーカー□□社

(用途)営業社員の業務効率化、(導入)500台

大手総合商社◇◇社

(用途)海外拠点および出張時の連携力強化、(導入)300台

・・・・・

他、多数


上司Bさん

「この実績のページで何をアピールしたいの?」


Aさん

「大手顧客への導入実績が多いということです」


Bさん

「それは見ればわかる。

大手顧客への導入実績が多いことを説明して何をアピールしたいの?」


Aさん

「競合よりうちの実績が多いので、競合と比較し商品の信用性をアピールしたいと思っています」


Bさん

「なるほど、この提案でいこう!」



翌週に提案し、その1か月後に返事がきました。


Aさん

「今回は、競合の方を選んだそうです」


Bさん

「なんで?実績はうちの方が多いのに」


Aさん

「先方の社内で検討したようなのですが、実績を重視しなかったようです」


Bさん

「そっか・・・、しょうがないな」



一般的に実績が少ないよりは多い方がよいでしょう。

なぜ、Aさんの提案では「実績を重視されなかった」のでしょうか?



答え・・・顧客に「実績を重視されなかった」のではなく、Aさんが「重視させなかった」から。


Aさんの提案では実績をまとめてありましたが、実績を重視させるための情報が欠けていたのです。

「実績が重要な理由」=「実績で本当にアピールしたいこと」が欠けていました。そのため、伝わらずに重視されなかったのです。


では、「実績が重要な理由」=「実績で本当にアピールしたいこと」とは何か?



この「実績が重要な理由」=「実績で本当にアピールしたいこと」は2つあります。


「顧客にとって実績が重要な理由」

「自分が実績で本当にアピールしたいこと」



まず、「自分が実績で本当にアピールしたいこと」からお話ししましょう。

先ほどのAさんとBさんの打ち合わせを続けてみます。


Aさん

「競合よりうちの実績が多いので、競合と比較し商品の信用性をアピールしたいと思っています」


Bさん

「競合先と比較した商品の信用性って何?」


Aさん

「多くの大手顧客に使われているので、壊れにくいという信用性と、壊れてもすぐに復旧できる体制を整えているという信用性をアピールしたいと思っています」


ということは、Aさんが本当にアピールしたいことは、大手顧客への導入実績が多いことではなく、壊れにくい、壊れてもすぐに復旧できる体制を整えているという信用性です。

しかし、本当にアピールしたいことが書いていない・・・


であれば、導入実績の一覧の上にでも

「「壊れにくい」「壊れてもすぐに復旧できる体制を整えている」ため大手顧客への導実績が多い」

と記載する必要があったのです。



次に、「顧客にとって実績が重要な理由」についてお話ししましょう。

さらにAさんとBさんの打ち合わせを続けてみます。


Aさん

「多くの大手顧客に使われているので、壊れにくいという信用性と、壊れてもすぐに復旧できる体制を整えているという信用性をアピールしたいと思っています」


Bさん

「なるほど・・・

でも、〇〇社にとって、壊れにくいことと壊れてもすぐに復旧できる体制を整えていることは重要なの?」


Aさん

「〇〇社の場合、営業や商品開発の人の海外出張が多いようなのですが、タブレットが壊れてしまうとせっかく海外出張しても仕事にならなくなってしまうから、壊れないということと海外で壊れてもすぐに対応できるということが重要なんです」


Bさん

「そうなんだ・・・、でも、なんで営業や商品開発の人は海外出張が多いの?」


Aさん

「ここ数年、多くの新商品をリリースしているようなのですが、競合の海外メーカーに勝つためには、営業と商品開発が海外の販売店をまわって新商品に関する指導をする必要があるようです」

「商品情報や販売方法はタブレットを使って指導するようなので、タブレットのトラブルは海外での販売促進に影響してしまうはずです」


ということは、顧客にとって重要なことは、海外での新商品の販売促進であり、タブレットが壊れない、また海外で壊れてもすぐに対応でき、営業や商品開発の人が海外の販売店に対し支障なく指導できるということが実績を重要とする理由なのです。

しかし、顧客にとって重要なことが書いていない・・・


であれば、Aさんの提案書の中に、

「〇〇社にとって海外で新商品の販売を促進する必要がある」「そのため営業や商品開発の人が海外の販売店に対し支障なく指導できることが重要」

とタブレット導入の背景や要件としてまとめる必要があったのです。



実績を有効に活用しアピールするためには以下の2つが必要です。


①.提案書のはじめの方で、「顧客にとって実績が重要な理由」をまとめ意識させる。

つまり「営業や商品開発の人が海外の販売店に対し支障なく指導できることが重要」ということを意識させる。


②.実績のページで「自分が実績で本当にアピールしたいこと」を記載し理解させる。

つまり「「壊れにくい」「壊れてもすぐに復旧できる体制を整えている」ため大手顧客への導入実績が多い」ことを理解させる。


この2つによって実績を重視させることができるのです。



様々な会社で提案書を見ていると、実績で本当にアピールしたいことが漠然としていて、ただ実績をまとめてあるだけの提案書が多く見受けられます。

また、商品説明のシーンでも実績が多いことばかり説明している営業担当者が多く見受けられます。

これらのほとんどは、実績そのものを理解させようとしているのです。


しかし、実績は、何かを理解させるための補足の情報です。


実績で理解させたい何か

・商品や会社の信用性

・様々な経験から蓄積している多様なノウハウ

・様々な顧客との取引に対応できる柔軟性

・ ・・・・・


これらの理解させたい何かがなく、補足の情報である実績だけを説明しても意味がありません。


実績は「顧客にとって実績が重要な理由」を意識させた後に、「自分が実績で本当にアピールしたいこと」を理解させることで生きてくるのです。


実績を生かすためには、

「自分が実績で本当にアピールしたいこと」とは何なのか?

そして、「顧客にとって実績が重要な理由」とは何なのか?

を突き詰めて考えてください。



みなさんの提案書に「自分が実績で本当にアピールしたいこと」と「顧客にとって実績が重要な理由」は入っていますか?

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