課題は原因から理解させる
一生懸命に商品のメリットや他社の事例を説明しても理解されない
2022年4月15日
初めてのお客さんに訪問したとき、取引先に新商品を紹介したいとき・・・
おそらく課題はあるはずだ、なんとか理解してもらいたい。
営業部なら・・・
外出やテレワークでマネージャーと部下のコミュニケーションに課題があるはずだ。
人事部なら・・・
社員のモチベーションを上げ成長させるための評価方法に課題があるはずだ。
製造業なら・・・
品質管理を徹底するために作業員が確認するだけでなく自動で不良品を検知する仕組みが必要なはずだ。
でも理解してもらえない。
「今は必要ない」
課題があるはずだし、うちの商品が必要なはずなのに・・・
みなさんは、お客さんに課題を理解させるときどうしていますか?
思い出してみてください。
課題はどうやって理解させるのか?
ある日、営業担当Aさんが自分の会社の営業部長にスマホを購入して配布してくれるようお願いしていました。
外出先からお客さんや上司に電話することが多くて毎月の電話代が高い。
なんとかして欲しい・・・
Aさん
「スマホを会社で購入して配布してもらえませんか?」
営業部長
「なんで?」
Aさん
「仕事の電話が多くて毎月の電話代が高いんです」
営業部長
「今期は予算がないから難しいんだよ」
「それに、5年前に携帯電話を配布したんだけど、私用電話が多くて問題になったことがあったから総務部が承認してくれるかわからない」
Aさん
「そうなんですか」
「でも、営業部に移ってきてから毎月3千円も電話代が上がっているんですよ」
「ほとんど外出なのに頻繁にお客さんに電話しないといけないし」
「桜井マネージャーからお客さんとの打ち合わせが終わったら毎回電話入れるように言われているし、電話したら説教が長くて」
営業部長
「桜井のことはおいといて・・・」
「なんでそんなにお客さんに電話しないといけないんだ。会社に戻ってから電話すればいいじゃないか」
Aさん
「いや、すぐに電話しないとお客さんに怒られるんです」
「昨年リリースした新商品の使い方がわからないと言ってしょっちゅう連絡がくるんです」
「使い方がわからないと仕事が止まってしまうと言って怒られるから、すぐに電話しないといけないんですよ」
「競合商品との機能勝負になっているから商品企画部が頻繁に機能を追加して更新しているんですよ」
「だから、更新するたびにお客さんに使い方を教えてあげないといけなくて」
同じ営業部のBさんも営業部長にお願いしていました。
Bさん
「スマホを会社で購入して配布してもらえませんか?」
営業部長
「なんで?」
Bさん
「この間、家電量販店に行ったらちょうどいいスマホがあったんです」
「薄くて軽いスマホで荷物が多くてもじゃまにならないし、スマホならメールやカレンダーも確認できるからノートパソコンを持ち歩かなくてもいいし」
「便利だからスマホを買って配布してくださいよ」
営業部長
「必要なら考えるけど、なくても大丈夫だろう」
Bさん
「でも、他社も配布していますよ」
「同業のIT企業で働いている友人が多いんですが、みんな会社支給のスマホ持っていますよ」
「営業は外出が多いからお客さんや上司との連絡にスマホが必要だって言っていました」
「お客さんとのコミュニケーションが増えて関係も良くなるし、それに社内での相談もしやすくなるみたいなので配布してくださいよ」
みなさんだったらAさんとBさんのどちらのパターンでお願いしますか?
おそらくほとんどの人がAさんのパターンでは?
Bさんの場合だと、
「薄くて軽いスマホでもう ちには必要ない」
「他社は他社、当社は当社」
では、営業活動でお客さんに課題を理解させようとするとき、みなさんはどうしていますか?
ある日、営業担当Cさんがお客さんに「スマートフォンが必要」という課題を理解させようとしていました。
お客さんに一通り商品を説明するとお客さんは、
「うちは営業社員からスマホを配布してほしいという要望が出ていないから問題ない」
営業担当Cさん
「そうなんですか」
「うちのスマートフォンは他のスマートフォンと比較しても薄くて軽いんです」
「だから外出が多い営業社員にとっては荷物が多くてもじゃまにならないし、メールやカレンダーも確認できるからノートパソコンを持ち歩かなくても良くなりますよ」
お客さん
「必要なら考えるけど営業部からの要望もないし」
営業担当Cさん
「御社の同業のIT企業様では営業社員にスマートフォンを支給している会社が多いですよ」
「私の取引先のセントカンパニー様では営業社員にスマートフォンを配布したらお客さんとのコミュニケーションも増えて関係が良くなっているようですし、それに社内での相談もやりやすくなったみたいです」
「御社ではいかがですか?」
お客さんに課題を理解させようとするとき、このように話している営業担当者が非常に多い・・・
Aさん、Bさん、Cさんを比べてみましょう。
BさんとCさんはまったく同じパターンで課題を理解させようとしています。
「スマートフォンを購入して営業社員に配布する必要がある」
この課題を理解させるために・・・
Bさん
・薄くて軽いスマホで荷物が多くてもじゃまにならない
・メールやカレンダーも確認できるからノートパソコンを持ち歩かなくてもいい
Cさん
・他のスマートフォンと比較しても薄くて軽い、荷物が多くてもじゃまにならない
・メールやカレンダーも確認できるからノートパソコンを持ち歩かなくても良くなる
これは、”商品の強みやメリット”をアピール・・・つまり「いい商品ですよ」
Bさん
・IT企業で働いている友人はみんな会社支給 のスマホ持っている
・営業は外出が多いからお客さんや上司との連絡にスマホが必要
・お客さんとのコミュニケーションが増えて関係も良くなる
・社内での相談もしやすくなる
Cさん
・同業のIT企業様では営業社員にスマートフォンを支給している会社が多い
・セントカンパニー様ではお客さんとのコミュニケーションも増えて関係が良くなっている
・セントカンパニー様では社内での相談もやりやすくなったみたい
これは、”他社の事例”をアピール・・・つまり「他の会社も買っていますよ、メリットがありましたよ」
では、Aさんはいかがでしょうか?
・ほとんど外出なのに頻繁にお客さんに電話しないといけない
・昨年リリースした新商品の使い方がわからないと言ってしょっちゅう連絡がくる
・使い方がわからないと仕事が止まってしまうと言って怒られるから、すぐに電話しないといけない
これは、”課題の原因”
・競合商品との機能勝負になっている
・商品企画部が頻繁に機能を追加して更新している
これは、”課題の原因の背景”
BさんとCさんは、”商品の強みやメリット”と”他社の事例”を説明して課題を理解させようとしています。
たしいて、Aさんは、”課題の原因”やその”背景”を説明して理解させようとしています。
お客さんが気づいていない課題は、
・課題の原因である仕事内容や組織間の連携、商品の内容など現場の状況・・・「○○○(現場の状況)だから課題がある」
・現場の状況の背景である経営課題や戦略・・・「△△△(経営課題や戦略)を進めているから現場の状況がある」
この2つで理解させるのです。
そのためには、あらかじめお客さんの現場の状況と経営課題や戦略を調べて準備していなければなりません。
お客さんの現場の状況や経営課題を準備しないで面談し、何も情報がないから知っている”商品のメリット”と”他社の事例”を一生懸命に説明して課題を理解させようとしている営業が多い・・・
「うちの商品はいい商品ですよ」「他の会社も買っていますよ、メリットがありましたよ」
「薄くて軽いスマホがあったので買ってください」「他の会社も配布しているから買ってください」で上司は理解してくれるでしょうか。
ほとんどの人が知人や社内の上司に課題を理解させるときに、メリットや他人、他社の事例ではなく、課題の原因と背景を説明しています。
営業活動でお客さんに理解させるときも同じです。
お客さんに課題を理解させたいなら商品のメリットや他社の事例ではなく、課題の原因と背景を説明しましょう。
他社の事例はそのあとに補足として説明するものです。
そのために、仮説でよいのでお客さんの課題の原因と背景をあらかじめ準備しましょう。
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