仮説提案の入り方
顧客から要求されていない積極的な提案はソフトに入る
2017年1月1日
今回は、仮説提案のポイントの1つであるプレゼンテーションの入り方についてお話ししましょう。
仮説提案は新規案件や顧客の潜在ニーズを獲得するために有効な手段ですが、プレゼンテーションで失敗している人が多い・・・
この原因の1つがプレゼンテーションの入り方です。
「プレゼンテーションの入り方が硬い」「提案のアポイント獲得方法が硬い」
仮説提案は顧客がすでに商品購入を検討していて、顧客から要求された提案とは異なり、営業自らが課題や解決策、その効果(メリット)を仮の説として考え、積極的に行う提案です。
つまり、顧客が検討していない、必要と思っていないことに対する提案です。
顧客は、必要と思っている、検討している、また要求したことは、当然真剣に聞きますが、この仮説提案では、必要と思っていない、検討していないこと、要求されていないことを聞かせなければなりません。
以下の2つの提案の入り方を比べてみてください。
・「ぜひ、〇〇について提案させてください」「〇〇についてご提案させていただきます」
・「少し〇〇のことを考えてきたので、ちょっと聞いてもらいたいんですけど」
この2つで提案を受ける人はどのような印象を持つか・・・
少し例をお話ししましょう。私が家電量販店で空気清浄器を購入した時のことです。
家電量販店に行った目的はドライヤーが古くなり調子が悪かったので買い換えることで、空気清浄機の購入は目的ではありませんでした。
つまり、空気清浄機を必要と思っていないし、検討もしていませんでした。
ドライヤーを見た後で最近の家電ってどんなものがあるかと興味本位で見ていたら、店員が
「最近の加湿器は、空気清浄機と一体型で花粉症にもいいんですよ」と声をかけてきました。
春先からいつも花粉症で苦労していることもあり、買う気はなかったのですが単なる興味本位で見せてもらいました。
これが、買う気がなかった(=必要と思っていない、検討していない)空気清浄機を購入したきっかけです。
もし、空気清浄器を買う気がない私に、
「お勧めの花粉症にも効く加湿器一体型の空気清浄器があるので、ぜひご紹介させてください。」
と店員が声をかけてきたら、私はどのように思ったでしょう。
おそらく「買う気がない」「購入を検討しない」という意識が働き、店員の案内を断るでしょう。断った後に一人で見に行くかもしれませんが・・・
また、たまたま私が花粉症だったので気になったのですが、花粉症でなかったら興味を持たないでしょう。
では、「最近の加湿器は、空気清浄機と一体型で花粉症にもいいんですよ」と声をかけられて、なぜ私は店員の案内を受けてしまったのでしょうか?
ここに2つのポイントがあります。
・購入を検討しないといけないという意識を持たなかった
・花粉症という私にとってひっかかるキーワードがあった
この2つがあったため気軽かつ興味を持って空気清浄機の案内を受けてしまったのです。
では、仮説提案の場合はいかがでしょう?
「ぜひ、〇〇について提案させてください」「〇〇についてご提案させていただきます」
この入り方は、仮に「〇〇」というキーワードが興味のある内容だとしても、顧客は購入を検討しないといけないという意識を潜在的に持ってしまいます。
すると、必要と思っていない、検討していない場合は、「断ろう」と提案の機会をもらえない、または「聞くけど必要ない」というネガティブな意識を持たれてしまいます。
では、「少し〇〇のことを考えてきたので、ちょっと聞いてもらいたいんですけど」の場合はいかがでしょう?
・購入を検討しないといけないという意識をあまり持たずに聞くことができる
・「〇〇」というキーワードにひっかかれば興味を持つ
この2つにより、仮説提案を気軽かつ興味を持って聞かせることができるのです。
顧客が必要と思っていない、検討していない提案の入り方は、ネガティブな意識にさせないこと。つまり、購入の検討を意識させずに気軽に聞かせることと興味を持たせるキーワードが重要です。
具体 的に理解させる、考えさせる、検討させることは、提案の中身や提案後のヒアリングですることです。
そのためには、仮説提案の入り口ではネガティブな意識にさせず純粋に聞かせる空気を作ることが必要です。
仮説提案をするときに、通常の提案(顧客から要求された提案)と同じように「〇〇についてご提案させていただきます」と硬くきちんと入ってしまっているケースが多く見受けられます。
ちゃんと提案しなければ、提案内容を理解してもらいたい、という気持ちが強く、提案の入り方も硬くなってしまっているのです。
その結果、提案そのものを断られたり、提案できても「必要ない」で終わってしまう・・・
顧客から要求されていない提案(=仮説提案)は、気軽かつ興味を持たせる入り方で「購入」 という邪魔な意識を持たせない空気が顧客との提案内容の議論や課題の発掘、提案内容の検討に結びつくのです。
ちゃんと提案しなければ、提案内容を理解してもらいたい、という気持ちを抑えて「少し〇〇のことを考えてきたので、ちょっと聞いてもらいたいんですけど」というソフトな入り方で、提案のアポイントを獲得し、プレゼンテーションに入ってみてください。
提案の入り方で、提案を受ける顧客の意識や提案の場の空気が変わります。
少し気を付けてみてください。
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