クロージング力強化の第一歩
顧客に購入を判断させるクロージング力とはどのような力なのか?
2018年11月15日
営業強化の中でよく相談されることのひとつにクロージング力があります。
「うちの営業はクロージング力が弱い」
「商品は気に入っ てもらえるんだけど受注まで持っていけない」
「いつも受け身で、交渉できない、説得できない」
予算対策、決裁者対策・・・クロージング力の強化で悩んでいる営業組織は多いものです。
では、そもそも「クロージング力」とはどのような力なのか?
以下のアドバイスを読む前に、みなさんも考えてみてください。
「クロージング力(=受注を獲得する力)とは何か?」
営業のキャリアを積んできた人、営業マネージャーや責任者にこの質 問をしてみます。
すると、たいていの人がしばらく悩みます。
そして、
「顧客に買わせる力」
私
「顧客に買わせる力ってどのような力ですか?」
すると、
「押し込む力」「お願いする力」「顧客と買ってもらえる関係を作る力」
私
「押し込む力って何をする力?」
「お願いすれば買ってもらえる?」
「関係を作ったら買ってもらえる?」
すると、
「うーん、違うような気がする・・・」
「決裁者を説得する力」
私
「決裁者を説得する力ってどのような力?」
「決裁者さえ説得できれば買ってもらえる?使う人や予算、競合は関係ない?」
すると、
「決裁者だけなく、組織全体や予算について説得する力」
私
「組織全体について説得する力ってどんな力?」
「何をどうする力?」
すると、
「・・・・・」
「クロージング力とは何か?」について、ほとんどの人が漠然としている、または一人ひとりの考えが異なる・・・
クロージングとは何をすることか?がわかっていない・・・
そして、
「クロージングは、案件や顧客の状況によって異なるものだから、その場その場 で対応する力なんですよ」と答えてくる・・・
その場その場で対応する力?
何をどうやって強化することができるのでしょうか?
その結果、場数を踏まないと身につけられない力となってしまう・・・
クロージング力の強化の根本的な問題は、「クロージング力とは何か?」についてわかっていないこと、漠然としていること、個人ごとに考えが異なっていることです。
ほとんどの営業が、場数や経験で営業を学び育ってきています。
そのた め、何をすることなのか?どのような力なのか?を明確にせず、その場その場で仕事に励んでいます。
クロージング力の他にも・・・
・営業力とは?
・コミュニケーション力とは?
・マネジメントとは何をする仕事か?
・ ・・・・・
「営業力やコミュニケーション力、マネジメント力を強化したい」とは言うものの、「営業力」「コミュニケーション力」「マネジメント力」について漠然としている、一人ひとりの考えが異なっている・・・何をどうやって強化できるのでしょうか?
「彼は営業力が高い」という言葉を耳にすることがありますが、何の、どのような力を持ち、その力がどれだけ高いのでしょうか?
「営業力が高い」とは非常に不明確で根拠のない言葉です。
営業強化の根本的な問題は「何をすることか?」「どのような力なのか?」について漠然としている、一人ひとりの考えが異なることです。
そして、その中で最も漠然としているものがクロージング力・・・
では、クロージング力とは何か?
受注の獲得は、営業がいくら頑張っても自分では決められません。顧客が決めることです。
当たり前のことですが、受注の獲得とは、顧客が購入を判断するということ。
ということは、クロージング力(=受注を獲得する力)は、顧客に購入を判断させる力です。
では、顧客に購入を判断させる力とはどのような力なのか?
顧客が商品を買う(=購入を判断する)ということは、まず、はじめに、
・解決するべき課題を理解し、解決策と解決したときのメリットを理解する。
この課題と解決策、メリットを理解してから・・・
・決裁者や商品を使う人など関係者を説得しようとする
・予算を確保しようとする
・商品の導入時期を調整しようとする
・ ・・・・・
そして、課題や解決策、メリットの理解、決裁者や関係者の説得、予算の確保、導入時期の調整などはすべて
・競合や代替案と比較しながら考える
その結果、顧客が商品の購入を判断するのです。これが商品を購入するプロセスです。
ということは、顧客に購入を判断させる力とは、
・競合や代替案と比較させながら・・・
・課題や解決策、メリットを理解させる力
・決裁者や関係者の説得を促す力、予算の確保を促す力、導入時期の調整を促す力
・その他顧客が購入を判断するために必要な調整を促す力
これらの個別の力を組み立てながら顧客に商品の購入を判断させる力なのです。
この中で、課題や解決策、メリットを理解させる力を提案力とすると、競合や代替案と比較しながら決裁者や関係者の説得を促す力、予算の確保を促す力、導入時期の調整を促す力、その他顧客が購入を判断するために必要な調整を促す力がクロージング力です。
決裁者や関係者、予算、導入時期、競合や代替案などの情報を収集し、その情報に対して説得や調整を促す方法を考え、実行する力です。
予算の有無や額を把握し「予算を確保してもらう力(=お願いする力、待つ力)」ではありません。
投資計画や予算の状況を把握し「予算を確保させる力(=予算を確保するよう促す力)」です。その結果、購入を判断させる力。
つまり、予算を把握するだけでなく「どうしたら予算を確保させることができるのか?」を考え、実行する力がクロージング力です。
最近、多くの会社で受注率を上げるため、クロージング力を強化するために「決裁者や予算、導入時期、競合・・・」などをチェックし把握しようとしています。
しかし、いくら「予算」をチェックしても、把握しただけで「予算・価格を交渉できない」「お願いするばかりで策を考ない」。その結果、顧客の言いなりになる、あきらめる、失注する・・・
これを営業担当者個人の意識や能力の問題にしている営業組織が多いのですが、根本的な問題は「クロージング力とは何か?」についてわかっていないことです。
そのため、何をすべきなのか?どのような方法が必要なのか?をわかっていない、考えられない・・・その結果、把 握したけれど「予算・価格を交渉できない」「お願いするばかりで策を考ない」ということなのです。
クロージング力を強化するのであれば、意識や能力のせいにする前に「クロージング力とは何か?」「クロージングとは何をすることなのか?」から考えて明確にしましょう。そして、会社や営業組織、チームの中で話し合い統一しましょう。
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