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営業社員が顧客に興味を持つために

商品や売上より顧客を知り、考える時間を増やす

2017年8月15日

「うちの営業は顧客に興味を持たないんだよな・・・」

経営者や営業責任者からこのような相談を受けることが多い・・・


実際に、

何度も訪問しているのに顧客のことをあまり知らない・・・

顧客の課題や悩みを聞いてこない、聞こうとしない・・・

顧客から課題や要望を聞いても、その理由を聞いてこない・・・



以前、私がメール配信サービスの営業を受けたときのことです。


営業担当Aさん

「うちのサービスは、10万人の会員から御社に合ったターゲットを絞り込んでメールを配信できるので新商品のPRに有効だと思います」


「そうなんですね、新商品を立ち上げて、セミナーもやっているので販促には力を入れているんです」「ただ、新商品の販売やセミナーの集客に結びつけるのに苦労していて」


営業担当Aさん

「そうなんですか、どのような販促をしてるんですか?」


「毎月メールを配信していて、その他に隔月でDMを送ってます」


営業担当Aさん

「メール配信やDMで効果を上げるのは難しいですよね」「うちのサービスだと御社のターゲットに合わせて直接メール配信できるので・・・」



せっかく、私が「新商品の販売やセミナーの集客に結びつけるのに苦労していて」と言っているのに、「どのような販促をしてるんですか?」と聞いただけで、すぐに「うちのサービスだと御社のターゲットに合わせて直接メール配信できるので・・・」と商品のPRをしてきました。



もっと、私(顧客)のことを知ろうとして突っ込んで聞いていたらどうなっていたでしょう?


「ただ、新商品の販売やセミナーの集客に結びつけるのに苦労していて」


営業担当Aさん

「そうなんですか、どのような販促をしてるんですか?」


「毎月メールを配信していて、その他に隔月でDMを送ってます」


営業担当Aさん

「そうなんですか、DMも送っているんですね」「どのくらい送っているんですか?」


「1回に500通ぐらいは送っているんだけど、問合せは7~8件ぐらいかな・・・」


営業担当Aさん

「7~8件もきているんですね。顧客にはメールもDMも大量に届くので効果が低くなるから、7~8件もあれば良い方では?」


「そうかもしれないけど、セミナーの来場者も増やさないといけないし、問合せから新商品の販売につながる顧客も限られるので倍にしたいんです」


営業担当Aさん

「そうなんですか、たしかに新商品の売上を考えると問合せを増やさないといけないですね。新商品って昨年立ち上げたパッケージですよね。競合の○○社も販売しているようですけど、差別化できるところってどの辺ですか?」


「機能は絞っているんだけど、価格が安いから中堅、中小企業にはうちの方が強いと思うんですよ」



「新商品の販売やセミナーの集客に結びつけるのに苦労していて」に対して、悩んでいる理由や状況を聞いていたら「問合せ件数を倍にしたい」「中堅、中小企業に強い」といった情報を収集でき、単なる商品のPRでなく私(顧客)が興味を持つ具体的な提案ができたはず・・・



なぜ、悩んでいる理由や状況を聞かないで、商品のPRをするのでしょうか?


聞き方(ヒアリング力)に問題があるケースも多いのですが、一番多いのは多くの経営者や営業責任者が言っているとおり意識の問題・・・


顧客の課題や悩みを聞こうという意識

課題や悩みの理由を聞こうという意識

顧客の状況を聞こうという意識



ただ、営業現場では上司や先輩がけっこう指導しています。


「顧客の課題や悩みを聞いてくるように」

「課題や悩みの理由を聞いてくるように」

「顧客の状況を聞いてくるように」


しかし、顧客の課題や悩み、その理由や状況を聞かず、商品のPRをしている・・・


・顧客の課題や悩み、その理由や状況を聞かず

・商品のPRをしている

です。



この2つについて営業現場や日々の指導を振り返ってみましょう。


「顧客の課題や悩み、その理由や状況(顧客について)」と「商品のPR(商品や売上について)」、この2つについて考える時間はどのくらいとらせていますか?



「顧客の課題や悩み、その理由や状況」について(顧客について)

見込み案件を獲得したときに少し確認する程度で、すぐにどの商品が売れるか、どうやって売るか、売れるか否かを考えている・・・

また、日々の指導や営業会議でもちょっと突っ込むぐらいで、すぐに売れるか否か、売上はどのくらいかを考えている・・・


「商品のPR」について(商品や売上について)

どの商品が売れるか、どうやって売るか、売れるか否かを訪問する前、提案する前、見込み案件の対応前、営業会議などいつも考えている・・・


つまり、日々の仕事の中で、顧客について考えている機会や時間は少しかなく、商品を売ろうと商品や売上を考える時間ばかり。




意識というものは、行動や言動に反映されるものです。

そして、その意識は日々の環境や活動で醸成されるものです。



商品や売上を考えるばかりで、顧客について考える機会や時間が少なければ、必然的に商品や売上ばかり意識し、顧客の課題や悩み、その理由や状況に対して意識しなくなります。


「顧客の課題や悩み、その理由や状況を聞いてくるように」と指導していても、営業担当者に商品や売上ばかり意識させる環境で、顧客を意識させる環境になっていないのです。


その結果、商品や売上ばかりに興味を持ち、顧客に対して興味を持たない。

すると当然、顧客の課題や悩み、その理由や状況を聞こうとせず、商品をPRしようとする・・・



営業の仕事は顧客を理解してはじめて成り立つ仕事です。

顧客を知ろうという意識や顧客に対する興味は、営業活動の大前提であり、なくてはならないものです。


そのため「顧客の課題や悩み、その理由や状況」に対して意識させ、興味を持たせるための環境が必要です。


「顧客の課題や悩み、その理由や状況」を日常的に考える環境

・訪問前に、顧客の課題や悩み、その理由や状況を考えさせる

・営業会議や日々の指導で、顧客の課題や悩み、その理由や状況を話し合う

・報告書に、顧客の課題や悩み、その理由や状況を書かせる

・ ・・・・・


「顧客の課題や悩み、その理由や状況」について考える機会が多いほど、考える時間が長いほど、顧客を知ろうという意識や顧客に対する興味が醸成されます。



私がはじめて営業の仕事についたときに先輩から「商品を売る前に、顧客といろんな会話をして顧客のことを知り、仲良くなれ」と指導されました。そして、接待も多々あり顧客と様々な会話をしました。


しかし今日では、商品を売ることに対して直接的かつ端的に見える商品のPRや提案、受注を獲得する方法ばかりで、間接的かつ遠回りに見える顧客といろんな会話をして顧客のことを知り、仲良くなるという指導が少ない気がします。そして、商談や提案など直接的な営業行為ばかりで、接待など様々な会話をする機会も少なくなっています。



「顧客の課題や悩みを、その理由や状況を聞いてくるように」と指導するだけでなく、顧客について考えさせる機会や時間を増やしてあげてください。


日々の仕事に追われている中で遠回りに見えるかもしれませんが、より顧客のことを知ることができ、より適切な提案ができ、そして顧客との関係も強化でき、売上を上げるためには近道です。

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