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説得力の6つの要件「具体性」

業務効率、生産性という言葉では意味はわかるけどイメージできない

2022年8月15日

お客さんに課題があることや商品が必要だということをわかってもらいたい。

でも、いくら説明してもわかってもらえない。


そして、

「お客さんの意識が低い」「現場のことをわかっていない」「他に重要な課題があるので理解してくれない」と言っている。


はじめから、「意識が高い」「現場のことをわかっている」「課題の重要性もわかっている」お客さんであれば営業力は必要ありません。

そういうお客さんであれば商品を説明すれば買ってくれるので・・・


意識が低い、現場のことをわかっていない、課題の重要性をわかっていないお客さんが多いから理解させる力や説得する力といった営業力が必要なのです。


どうしたら理解させることができるのでしょうか?

どうしたら商品が必要だと説得できるのでしょうか?



ある日、小売業界を担当している営業Aさんが総務部長Bさんにノートパソコンを配布してもらえるよう説得していました。

自分の会社の総務部長を説得しようと・・・。


営業担当Aさん

「営業社員にノートパソコンを配布してもらえませんか?」


総務部長Bさん

「なんで?今まで配布しなくても仕事できてたんだから必要ないだろう」


Aさん

「外出が多いので、外出中に仕事する必要があるんですよ」


Bさん

「スマートフォンを配布してるだろう」

「それに今年は業績が良くないから予算をとれないよ」

「営業が売上を上げてからだろ」


Aさん

「スマホを配布してもらって外出中に連絡できるようになりましたけど、業務効率にはならないんです」

「営業は外出が多いし社内調整も多いから外出中に仕事できるようにして業務効率を上げないと提案活動に影響しますよ」

「売上を上げるためにもノートパソコンを配布して業務効率を向上しないと」


Bさん

「業務効率って言うけど具体的になんで必要なんだよ?」

「営業部には2台ノートパソコンがあるじゃないか。必要なときは持ち出して使っているだろう」


Aさん

「いや、外出も多いし、社内調整も多いから負担も大きいんですよ」



みなさんが会社にスマートフォンを配布してもらいたいと説得するときはどうしていますか?

もっと具体的に必要な理由を説明しながら説得しようとしませんか?


・1日や1週間の訪問件数や遠方に出張していること

・訪問先が郊外のスーパーが多く移動に時間がかかること

・お客さんの小売り本部への提案書、各店舗への説明資料など資料作成が多いこと

・提案書や説明資料は商品企画部に確認しながら作成するので時間がかかること

・夕方会社に戻ってから上司や商品企画部とミーティングが多いこと

そして、

・お客さんへの提案書の提出が遅くなって競合他社に受注をとられてしまったこと

・残業が多くなっていること

を具体的に説明しながら、

外出中に提案書や説明資料の作成、社内調整をするためにノートパソコンが必要と説得しようとしませんか?



では、営業活動でお客さんを説得するときはいかがでしょうか?



Aさんが、リーディング商事の総務部長Cさんを説得しようと頑張っていました。


営業担当Aさんは、一通り商品を説明した後で

「御社ではノートパソコンを配布しているんですか?」


総務部長Cさん

「ノートパソコンは配布していないですよ」

「営業社員にはスマートフォンを配布しているし、営業部に2台ノートパソコンがあって必要なときは持ち出しているので」


Aさんは、なんとか説得しようと・・・

「そうなんですか、スマートフォンを配布しているんですね」

「御社の営業の方も外出は多いんですか?」


Cさん

「そりゃ、営業だから外出は多いと思うよ」

「でも、スマホを配布しているので普通に仕事はできていますよ」


Aさん

「そうですよね、営業の方ですから外出は多いですよね」

「スマートフォンを配布しているので上司やお客さんとの連絡などは問題ないと思うのですが、

資料作成やミーティングも多いと思うので、外出中に仕事できるようにして業務効率を上げたが良いと思うんですが」

「ノートパソコンを配布すれば社外で仕事できるので営業の生産性も向上すると思うんです」

さらに、

「それに、社内調整が多い場合に負担軽減も必要になると思いますし、残業削減にもつながると思いますがいかがでしょうか?」



社内で説得するときは

「外出中に仕事できるようにして業務効率を上げないと」ということだけでなく、

「お客さんの小売り本部への提案書、各店舗への説明資料など資料作成が多いこと」や「提案書や説明資料は商品企画部に確認しながら作成するので時間がかかること」「お客さんへの提案書の提出が遅くなって競合他社に受注をとられてしまったこと」を具体的に説明しながら説得。


しかし、お客さんに対しては

「外出中に仕事できるようにして業務効率を上げたが良い」「社外で仕事できるので営業の生産性も向上する」「社内調整が多い場合に負担軽減」と説得。



「業務効率」や「生産性」という言葉は、意味はわかるけどイメージできない言葉です。

意識が低い、現場のことをわかっていない、課題の重要性をわかっていない相手を説得するためには、現状や必要性を具体的にイメージさせなければなりません。

だから、社内で説得するときは「お客さんへの提案書の提出が遅くなって競合他社に受注をとられてしまったこと」を具体的に説明するのです。


お客さんを説得するときも同じです。



「業務効率」や「生産性」といった言葉以外に次の言葉も具体的な例や説明が必要です。

「精度向上」「商品力・技術力」「戦略性」「高機能・高性能」「コスト削減」「人員削減・工数削減」・・・


これらの言葉を使うときは、「例えば」を加えて具体的に説明しなければなりません。


「人員削減」というのであれば「どういう人員を、どのくらい削減できるのか」あるいは「人員削減して何ができるのか」をお客さんの事業や業務に合わせて具体的に説明しなければなりません。


「うちの商品のメリットはコスト削減です」と説明している営業担当者が多いのですが、「コスト削減」というのであれば「何のコストがどのように削減できるのか」をお客さんの事業に合わせて具体的に説明しなければわかりません。


どのくらいコスト削減できるのかわからないのに、商品の購入に1,000万円かかると言われても、コスト削減どころかよけいにお金がかかる・・・としか思われません。



自分や自分の会社のことではなく、お客さんのことなので具体的なことを知らない。

そのため、「業務効率」「生産性」という抽象的な言葉だけで説得しようとしている営業担当者が多く見受けられます。


「営業の業務効率化は必要ですよね」「営業業務を効率化できます」ではなく、

「小売り本部への提案書や各店舗への説明資料の作成を外出中にできるようにして、提案活動の時間を増やせるように業務効率化を進める必要がありますよね」と説明しましょう。



お客さんを説得するためには、説得力の6つの要件の「具体性」が必要です。

そのためには、あらかじめお客さんのことを具体的に聞き、調べ、想定し「例えば」のネタを準備しましょう。

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