指導力を強化するための情報共有
営業の指導は全体的な情報の共有と原因の考察から始める
2017年1月2日
「うちの会社は営業のマネジメントができていない」「上司が部下の指導をできない」「営業のマネジメントを強化しないと」
多くの会社の営業に関わっているとこのようなことをよく耳にします。
営業マネージャーを見ていると、けっして部下の面倒をみていないわけではない、指導もしている・・・
営業組織としても、営業会議で案件や顧客の状況も共有したり、営業管理システムを導入している・・・
≪営業会議でよくみるシーン➀・・・対策のない報告会≫
受注・見込案件の一覧表だけを共有して、
営業担当Aさん
「現在、目標の5,000万円に対して、売上は2,000万円、Aランクの見込が1,000万円、Bランクが2,000万円、Cランクが2,000万円です。」
上司Bさん
「Bランク、Cランクを頑張って受注するように」
Bランク、Cランクに対して頑張れば目標の5,000万円を達成できるのだろうか?
報告だけで、課題や対策を考えなくてよいのだろうか?
≪営業指導でよくみるシーン➁・・・短絡的な指導≫
営業担当が顧客との商談後に上司の席の横にきて、
営業担当Cさん
「担当者は前向きですが、決裁者がメリットを理解していないみたいです」
上司Dさん
「じゃあ、一緒に行くから決裁者と商談する場をセッティングしろ」
はたして案件が進まないのは決裁者がメリットを理解していないからなのだろうか?
決裁者を説得する方法は考えているのだろうか?
≪営業指導でよくみるシーン➂・・・原因を考えない対策≫
上司が営業担当の売上を心配し営業担当の席まで来て、
上司Fさん
「Eさん、売上どうなっているんだ?」
営業担当Eさん
「時間がなくて新規顧客との商談ができていない・・・」
上司Fさん
「じゃあ、アシスタントのGさんに事務処理任せていいから新規顧客との時間を作りなさい」
新規顧客との商談が増えないのは時間の問題なのだろうか?
時間がとれないのは事務処理の問題なのだろうか?
営業会議や営業現場を見ているとこのようなシーンは多いものです。
そして、毎週同じような報告をして、同じような課題を話している・・・
なぜでしょう?
これらの原因は以下の3つが考えられます。
(1).一部の情報、部分的な情報しか見ていない
(2).顧客から聞いたことや目に見える情報という表面的な情報だけしか見ず原因を考えていない
(3).原因を追究しない
≪営業指導でよくみるシーン➀≫の場合
たしかに、課題や対策を考えようという意識の問題もありますが、そもそも課題や対策を考えるための情報を共有していません。
売上金額や提案件数などの数値の情報や見込案件の進捗情報だけを共有しても課題はわからず、対策を考えることもできません。
≪営業指導でよくみるシーン➁≫の場合
決裁者がメリットを理解しないと言っていても、本当は決裁者個人の考えではなく予算の問題だったり、また決裁者以外に説得すべき人がいるかもしれません。
そもそも決裁者が理解しない理由がわからなければ対策を考えられません。
≪営業指導でよくみるシーン➂≫の場合
時間をとれない原因は、営業担当の意識や仕事の進め方、技術部門との調整、会議、上司や社内への報告など雑多に存在します。
他のことが原因であれば「事務処理の削減」改善しないでしょう。
実際に「時間がなくて新規の商談ができていない」と言っている部下の仕事内容をよく見ると、時間がないのではなくターゲットを探すのに苦労し時間がかかっている、アプローチ方法や営業スキルの問題で時間がかかっているというケースも多いのです。
この部分的な情報、表面的な情報で判断し原因を考えない、課題や対策を考えない根本的な原因は、営業が個人主義で行い、属人性に依存してきたことです。
営業の目標達成には、様々な要因が関係しその要因が複雑に絡んでいます。
そしてその要因は状況に応じて変化するものです。
決裁者の理解ひとつとっても他の人の状況や会社の方針、売上や予算が影響する・・・
そして、その決裁者の考えや理解は競合他社の提案や業績によって変化する・・・
この雑多かつ複雑で変化する情報を個人の力や管理に依存すると全体的、深層的にみることができません。
「うちの部長が貴社の提案に対して否定的」
顧客からインパクトの強い情報を伝えられると、その情報に固執してしまい幅広く顧客の情報をチェックできなくなってしまいます。
また「部長が否定的」に対する原因に視点がいく前に、「部長に会おう」「部長によく思ってもらえる提案」といった対策に視点がいってしまい、
適切な対策を考えられず、その結果うまくいかない・・・
営業の目標達成には、様々な要因が関係しその要因が複雑に絡んでいます。
そしてその要因は状況に応じて変化するものです。
このような営業に対しての指導は、目標達成に影響する雑多かつ複雑で変化する情報を全体的、継続的にチェックし考える必要があります。
適正な営業指導を実現するためには、
・自社の営業組織にとって、営業計画管理、案件管理に対して必要な情報を標準化し、
・営業進捗 や商談の報告書、営業会議資料においても標準化した情報を全体的にまとめさせ、
・そして「状況」だけでなく「課題」「原因」を報告させ、
・その「課題」「原因」に対して上司と部下が一緒に考える
ことが必要なのです。
考えるべきことを標準化せずに場当たり的に考えさせる、また、何の情報や資料も持たず部下の報告だけをあてにした指導では難しいでしょう。

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