対策や戦略は情報を洗い出して考える
対策や戦略は1枚の紙に情報を書き出すことから始める
2017年1月2日
営業担当者から「担当者の意識が低いから無理」「予算がないと言っているから無理」「競合他社と取引しているから無理」このような言葉をよく聞きます。
顧客へ訪問したら・・・
商品の購入を検討していて、検討している商品が自分の会社の商品とピッタリ合っていて、予算も確保されていて、競合他社とも取引していない、競合他社に声をかけない。
このような顧客がたくさんいるのであれば対策も戦略も考えず、多くの顧客へ訪問すれば売り上げは上がるでしょう。
しかし、みなさんの売っている商品やターゲット顧客はいかがでしょうか?
これらの状況がすべて揃っている顧客はめったにないでしょう。
ということは、
・商品の購入を検討させる方法を考えないといけない
・検討しようとしている商品と自社の商品のズレを調整する方法を考えないといけない
・予算を確保させる方法を考えないといけない
・競合他社に勝てる方法を考えないといけない
つまり、今日の営業で顧客から受注を獲得するためには、「担当者の意識が低い」「予算がないと言っている」「競合他社と取引している」という状況に対策や戦略を考えなければならないのです。
しかし、なかなか適切な対策や戦略を考えられない・・・
この適切な対策や戦略を考えられない原因のひとつは、対策や戦略を考える材料となる情報が少ない、部分的、表面的であることです。
次の2つの情報(対策を考えるための情報➀➁)から対策を考えてみてください。
タブレット端末を売る場合、
(スマートフォンと比較し大きな画面で画像・映像を上司や他部門と共有できることを提案)
顧客から、
「若手営業社員の売上が伸びないという課題はあるが、現在、マネージャーの同行指導を進めていてタブレットの購入は検討していない」と言われた。
対策を考えるための情報➀
<営業部の状況>
・営業先はスーパーや家電量販店で郊外、広域
・店内レイアウト、陳列、周辺環境を共有して指導する必要があるが、今までは電話、メール中心
< 営業企画部 課長(面談相手)>
・営業社員が多いため同行指導では限界があると思っていてタブレットの必要性は感じている
・今期は予算をとりにくいと言っている
・昨年、経営企画から移動し、あまり権限がない
<営業企画部 部長(未接触)>
・営業社員にスマートフォンを配布しており、タブレットの配布は考えにくい
<経営者(未接触)>
・営業部の課題は、マネージャーの指導力や営業社員との関係性だと思っている
・ここ数年、売上が伸びてないのに手を打てていない営業部に不満を持っている
<予算の状況>
・ここ数年、業績が伸びていないため経費を抑えている
対策を考えるための情報➁
<営業部の状況>
・営業先はスーパーや家電量販店で郊外、広域
・店内レイアウト、陳列、周辺環境を共有して指導する必要があるが、今までは電話、メール中心
・拠点は、東京・大阪・名古屋で、現在の営業エリアは関東、中部、関西圏
・数年前に、営業社員向けにスマートフォンを配布
<営業企画部 課長(面談相手)>
・営業社員が多いため同行指導では限界があると思っていてタブレットの必要性は感じている
・今期は予算をとりにくいと言っている
・昨年、経営企画から移動し、あまり権限がない
・立場上、営業部との接点は多い
<営業企画部 部長(未接触)>
・営業社員にスマートフォンを配布しており、タブレットの配布は考えにくい
<営業部 マネージャー(未接触)>
・同行中に他の営業社員の指導が行き届かなくなることに心配
・反面、直行直帰の多い営業社員との関係性を考えると同行も重要と思っている
<営業部 部長(未接触)>
・若手の売上が伸びないのは、マネージャーが面倒を見ていないせいと思っている
・営業部全体の売上目標と新商品の売上目標と2つのミッションを持っている
・ここ数年、業績が伸びていないため経費を抑えないといけない
<商品企画部(未接触)>
・新商品を年間10件ぐらいリリースしている
・営業社員向けに各拠点を巡回し新商品説明会を開催している
<経営者(未接触)>
・営業部の課題は、マネージャーの指導力や営業社員との関係性だと思っている
・ここ数年、売上が伸びてないのに手を打てていない営業部に不満を持っている
<会社の方針>
・顧客への提案を促進し顧客の囲い込みを強化
・新商品を増やし、既存顧客に対する売上を伸ばす
<予算の状況>
・ここ数年、業績が伸びていないため経費を抑えている
・ただし、新商品関連の研究開発や人員、販促の投資は強化している
<計画>
・来期、事業エリアを拡大し、福岡と札幌に拠点を出す計画がある
・新拠点立ち上げのため営業社員の採用を進めている
以上の情報➀➁から対策を考えてみてください。
対策を考えるための情報➀の場合、
「今期は予算をとりにくいようなので来期に検討してくれるのを待つ」
ということぐらいしか考えられないのではないでしょうか?
対策を考えるための情報➁の場合、
「若手営業社員の指導でなく、事業エリア拡大、新入社員増加に伴う指導の問題に提案」
「事業エリア拡大、新入社員増加に伴う指導の問題を最も実感する営業部へのアプローチ」
「直行直帰が多い営業社員の新商品知識や新商品の提案という問題に提案」
「新商品関係の問題への提案という切り口で商品企画部へのアプローチ」
など、いくつか対策を考えることができます。
ほとんどの営業が「対策を考えるための情報➀」の少ない情報、部分的な情報、表面的な情報で考えています。
その結果、対策を考えられず「無理、難しい」「来期まで待つ、検討してくれるまで待つ」とあきらめてしまう・・・
なぜ、「対策を考えるための情報➀」で考えているのでしょうか?
3つの原因があります。
(1).関係ない情報と思い取捨選択している
(2).頭の中だけで考え、部分的な情報しか思いついていない(思いついた情報だけで考えている)
(3).必要な情報を理解していないため収集できていない
私も部下に商談後に議事録を書かせているのですが、10行程度で終わっていることが多い・・・
1時間顧客と商談して10行分しか話をしていないということはありえません。聞き出してみると他にもいろんな話をしている・・・勝手に関係ないと思い取捨選択し切り捨てているのです。
また、対策を考えるときに情報を洗い出していない・・・
自分の頭の中で「対策を考えるための情報➁」をすべて整理して考えられるのであれば良いのですが、ふつうは無理です。
対策を考えるためには、知っているすべての情報の中から対策になるものを探さなければなりません。そのためにはすべての情報を洗い出してそれぞれをチェックしたり比較する必要があります。
この(1)(2)の解決策は1枚の紙に知っている情報をすべて書き出すことです。
先ほどの例は形式上箇条書きにしていますが、ホワイトボードや大きな紙を使ってそれぞれの情報を比較できるように書き出すことが有効です。つまり、1枚の紙にすべての情報を書き出して比較しながら考えることが大切なのです。(縦に箇条書きで並べると視覚的に比較しにくい)
1枚の紙にすべての情報を書き出し考えようとすると、対策を考えられるようになるだけでなく(3)の必要な情報も見えてきます。
営業で対策や戦略を考えることは難しいことですが、簡単に商品が売れない時代では対策や戦略は必要です。この難しい対策や戦略は、考える材料となる情報がなければ考えられません。
ぜひ、1枚の紙にすべての情報を書き出すことから始めてみてください。

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